住宅省エネ性能の説明義務化について
住宅省エネ性能の説明義務化が決まりました。2021年4月から契約する住宅に関しては、省エネ性能について、売主から説明を行う必要があります。
背景は、国として二酸化炭素排出量を削減するために、住宅性能を上げることを1つの方法とし、それを実現しようとしています。2030年までには新築住宅を、外部から電気・ガスなどのエネルギー供給を受けなくても、1つの住宅でエネルギーをまかなうことができるような住宅(ZEH)に半分以上することを目標としています。
■説明する目的
売主が買主に、省エネ性能を説明する目的はなんでしょうか?これは、省エネについての意識を高め、省エネ性能が高い住宅を購入したいという意思を持ってもらうためです。
住宅について、専門的な知識がない買主にとって、住宅の省エネ性能について、知る機会がありません。そこで、購入前に省エネ性能についての説明を促すことで、どのような機能を持った住宅があるのか、広い知識を持つことができます。そこで、「もっと良いもの、国の基準があるものなら、省エネ性能を高くした方が良い」と買主が思ってもらえるようにします。
これにより、住宅全体の需要も、省エネ性能に意識がいきます。建築会社も、省エネ性能の高い住宅を建てるようになります。そして、二酸化炭素排出量も減少します。
■住宅の省エネ基準は、昔からある
住宅の省エネ基準は、最近にできたわけではなく、実は昔からあります。
昭和55年基準(旧省エネ基準)
平成4年基準(新省エネ基準)
平成11年基準(次世代新省エネ基準)
平成25年基準
平成28年基準(建築物省エネ法)
以上のように、省エネ基準はより厳しく更新されており、新しくなるにつれて断熱性能の基準が高くなっています。設備機器の技術の発達や、建築技術の発達により、このように基準が更新され続けています。
住宅の省エネって何?ー主に断熱ー
住宅の省エネとは、どういう意味でしょうか?主に、断熱性能になります。
日本の住宅のエネルギー消費は、冷暖房が約30%を占めています。よって、冷暖房のエネルギー消費を省エネ化することで、エネルギー消費を抑えることができます。
そして、冷暖房のエネルギー消費を減らすためには、断熱性能をあげる必要があります。冷暖房機器を使用した際に、室温が下がった状態もしくは、暖まった状態が長くようになるということです。
省エネ性能を高めるための3つの要素
・断熱
・日射
・気密
についてご紹介いたします。
■断熱
断熱とは、熱を遮断するという意味で、外部の熱と室内の熱の移動を少なくすることです。つまり、外が寒い時に、室内も寒くならない、外が暑い時に、室内が暑くならないということです。
住宅の断熱は、壁や天井と室内壁の間に、断熱材を詰めるなどをしています。これらの断熱材の性能や、住宅の構造から断熱性能の違いがあります。昔の住宅は、隙間が多かったため、断熱性能は、非常に低かったです。
住宅の断熱で特に重要なのが、開口部(窓など)です。開口部は、6,7割の熱を移動させてしまっています。開口部は、サッシとガラスでなっていますので、この性能を上げることで断熱につながります。サッシは、木やプラスチック、ガラスはペアガラスにすることで断熱性能が上がります。
■日射
夏に室内の温度上昇の要因は、日射熱が一番大きいです。遮熱をすることで、日射量を抑えることができます。遮蔽物を外に置いたり、大きい庇、オーニングなどが効果的です。窓ガラスに貼る、遮熱シートなどもあります。
■気密
住宅内の隙間を無くすことで、断熱性能も高くなります。隙間から空気が流れることで、冷えた空気もしくは暑い空気が入ってきてしまうからです。
気密性能を高くしても、室内の湿度が高くなってしまったりするため、換気性能もあげる必要があります。
住宅の省エネの基準に用いる数式
UA=(単位温度当たりの総熱損失量)/(外皮総面積)
住宅全体から、冷暖房の熱が非効率的に外に出てしまっている値です。値が低いほど、省エネ性能が高い住宅です。
ηAC=(単位日射強度当たりの総日射取得量)/(外皮総面積)×100
住宅全体から、日射によるエネルギーが、室内に入り暑くなってしまう値です。値が低いほど、日射エネルギーが室内に入らず、省エネ性能が高い住宅です。
数値の算出などは、計算方法が複雑になる場合もあり、建築士の方でないと難しいです。ですが、以上のように数値の意味を知り、値が低い方が良いのか、高い方が良いのかを覚えておきましょう。