【現場監督がよく使う建設用語】玉掛けとは?仕事内容や資格を徹底解説

【現場監督がよく使う建設用語】玉掛けとは?仕事内容や資格を徹底解説

建設現場では、さまざまな職種の人が協力しながら、ひとつの建築物をつくりあげます。 いずれも重要な役割を担いますが、とくに危険が伴う作業については専門的な技術と知識を有していることが求められます。 その作業のひとつが「玉掛け」です。 「玉掛け」とは、おもにクレーンなどの吊り荷を掛けたり外したりする作業のことをいいます。 しかし「玉掛け」は、危険が伴うことから、誰にでもできる作業というわけではありません。 そこで本記事では、「玉掛け」に関する仕事内容について、また必要となる資格などを徹底解説したいと思います。


建設現場では、さまざまな職種の人が協力しながら、ひとつの建築物をつくりあげます。
いずれも重要な役割を担いますが、とくに危険が伴う作業については専門的な技術と知識を有していることが求められます。

その作業のひとつが「玉掛け」です。
「玉掛け」とは、おもにクレーンなどの吊り荷を掛けたり外したりする作業のことをいいます。

しかし「玉掛け」は、危険が伴うことから、誰にでもできる作業というわけではありません。
そこで本記事では、「玉掛け」に関する仕事内容について、また必要となる資格などを徹底解説したいと思います。

玉掛けの仕事内容とは?

玉掛けとは、クレーンなどで材料搬入を行うとき、ワイヤーロープなどの玉掛用具を使い、材料をフックに掛けたり外したりする作業のことをいいます。
例えば、木造住宅の建て方工事では、柱や梁などの材料を組み立てる順番にクレーンで吊って作業員の位置まで運びますが、このときに必要となるのが玉掛け作業です。

そして、玉掛け作業は、基本的に有資格者でなければできません。
また、クレーンオペレーターも玉掛け作業を行う場合は、クレーンの免許や資格とは別に玉掛けの資格が必要となります。

玉掛け作業のポイントについて

玉掛け作業を行う場合は、安全確保のため適切に行われる必要があります。
玉掛け作業の重要なポイントについて、簡単に解説いたします。

玉掛用具の準備と点検

作業にあたっては、必要となる玉掛用具を準備し、事前に必ず点検を行うことが重要です。
吊り荷の重量やサイズに適しているか、またワイヤーロープに損傷はないかなど、問題がないことを確認して作業を行います。

作業前の打ち合わせ

まず、現場監督は、玉掛け作業者やクレーンオペレーター、運送業者、交通誘導員などに対し、計画書に則って安全確保のための指示を出す必要があります。
また、玉掛け作業者は、クレーンオペレーターとの連携がきわめて重要で、誘導の方法や緊急時の対応について、合図などの確認を事前に行います。

適切な玉掛け作業

玉掛け作業は、必ず適切な方法で行わなければなりません。

例えば、クレーンの巻き上げにより吊り荷を床から離すことを「地切り」といいますが、「地切り」の前後でしっかりと安全確認をすることがポイントです。
「地切り」前は、ワイヤーが張った状態でいったん止め、問題なく荷掛けされていることを確認します。
そして、「地切り」後にも再度止めて、荷掛けの状態や安定性を確認します。

また、吊り荷が移動するときには、その下に人が入らないようにすること、そして玉掛け作業者は事前に打ち合わせた合図通りに目的地まで吊り荷を誘導することなどが重要です。

玉掛け作業のリスクについて

玉掛け作業には、一定の危険が伴います。

例えば、誤った掛け方をしてワイヤーロープから外れたり、あるいはワイヤーロープが切断したりするなどして、吊り荷が落下するケースです。
この場合、材料や建物が損壊する可能性があるだけでなく、人に激突することがあると大事故につながりかねません。

実際に玉掛け作業に関連する死亡事故も多く発生しています。
そのため、玉掛けを行う人は資格取得が必要であり、また現場監督は玉掛けを行う工事に関わる十分な配慮が必要となるのです。

玉掛け作業に必要な資格とは?

玉掛け作業を行うときに必要となる資格は、以下の通りクレーンの大きさによって異なります。

  • 制限荷重が1トン未満のクレーン:玉掛け特別教育
  • 制限荷重が1トン以上のクレーン:玉掛け技能講習

制限荷重が1トン未満のクレーン:玉掛け特別教育

まず、制限荷重が1トン未満のクレーンを使用するときの玉掛け作業では、必ずしも有資格者である必要はなく、その代わりに「玉掛け特別教育」を修了していることが望ましいとしています。
しかし、現場によってはクレーンの大きさに関わらず無資格者の玉掛け作業を禁止しているケースも増えており、安全確保のためにも受講しておくことが重要になるでしょう。

なお、「特別教育」は、社内で受講するか、あるいは社外の各都道府県にある登録教習機関で受講することで得られます。

制限荷重が1トン以上のクレーン:玉掛け技能講習

制限荷重が1トン以上のクレーンを使用するときの玉掛け作業では、「玉掛け技能講習」を受講し、必ず資格を取得しなくてはなりません。
年齢が18歳以上であれば誰でも受験が可能であるため、玉掛け作業を行う可能性のある人は取得しておくとよいでしょう。

なお、「技能講習」は、都道府県労働局長の登録を受けた教習機関で受講し、修了することで得られます。

まとめ

玉掛けとは、クレーンを使用する工事で必要となる作業のことをいいます。
しかし、玉掛作業は、一定の危険が伴うため、現場監督により十分な安全対策を講じたうえで進めていかなくてはなりません。

また、玉掛け作業を無資格者が行うことは違法行為となるケースもあり、その場合は作業者だけでなく事業者にも罰則が科される可能性があります。
必ず必要な資格を取得して作業を行いましょう。

関連する投稿


施工管理が注意しておきたい住宅建築の結露対策

施工管理が注意しておきたい住宅建築の結露対策

住宅にとってリスクとなることのひとつに「結露」があります。 「結露」は、カビやダニなどが発生する原因となる他、重要な構造を傷めて建物寿命を縮めてしまう可能性もあるため、十分な注意が必要な現象です。 また「結露」対策として重要なことといえば、建物の断熱性能を高めることが挙げられます。 しかし断熱性能は、施工精度にも大きく影響を受けるため、施工管理は適切な施工が行われていることをチェックすることが重要です。 そこで、本記事では、住宅のリスクである「結露」の正体と、「結露」対策として施工管理が注意しておきたい施工ポイントについて解説したいと思います。


【施工管理なら知っておきたい】工事現場に仮囲いをする目的とは?

【施工管理なら知っておきたい】工事現場に仮囲いをする目的とは?

住宅の新築工事は、周囲に「仮囲い(かりがこい)」と呼ばれるフェンスを設置して行うことが一般的です。 「仮囲い」は、工事を進めるうえで重要な目的があり、とくに施工管理者は万全な計画を立てて確実に設置する必要があります。 では工事期間中に設置する「仮囲い」の重要な目的とはどのようなことでしょうか? また必ず設置しなくてはならないものなのでしょうか? そこで本記事では、施工管理者が知っておきたい工事現場に設置する「仮囲い」の目的について、詳しく解説したいと思います。


【現場監督の安全管理】工事現場の「5S活動」とはなに?

【現場監督の安全管理】工事現場の「5S活動」とはなに?

現場監督の重要業務のひとつに安全管理があります。 安全管理は、現場に潜む危険を排除し、安全に作業を進めるための環境をつくることが大きな目的です。 そして、安全な環境づくりにはさまざまなアプローチの方法がありますが、なかでも「5S活動」は効果が高いとして多くの現場で取り組まれています。 では「5S活動」とは具体的にどのような活動なのでしょうか? また、取り組むことでどのような効果が期待できるのでしょうか? そこで本記事では、住宅の工事現場で行う「5S活動」とはどのような活動なのか、そして取り組むことで期待できる効果などについて解説したいと思います。


現場監督が工事現場の近隣トラブルを防ぐためにやっておきたい3つのこと

現場監督が工事現場の近隣トラブルを防ぐためにやっておきたい3つのこと

工事期間中、現場監督がとくに注意しておきたいことといえば「近隣トラブル」です。 いったん「近隣トラブル」が起こると、解決のために奔走しなくてはならないことから、工事に集中して取り組めなくなる恐れがあります。 しかし、現場監督としてやるべきことをしっかりやっておけば、多くの「近隣トラブル」は防ぐことが可能です。 そこで本記事では、「近隣トラブル」を防ぐために現場監督がやっておきたいことについて、とくに重要な3つのことをご紹介したいと思います。


住宅業界のリペア業とは?資格は必要?

住宅業界のリペア業とは?資格は必要?

住宅の建築工事では着工から竣工まで多くの専門業者が携わりますが、そのひとつに「リペア業」があります。 「リペア業」とは、住宅の建築工事で使用する仕上げ材や家具、設備などについたキズを補修する業者のことをいい、「補修屋」と呼ばれることもあります。 比較的歴史の浅い技術ですが、住宅の建築工事では補修の工程が当たり前に設定されるなど、非常に注目の業種です。 では、「リペア業」の仕事は具体的にどのようなことを行うのでしょうか? また、「リペア業」の技術を習得し活躍するには資格が必要なのでしょうか? そこで本記事では、住宅業界で注目の「リペア業」とはどのような仕事なのか、そして活躍するために資格は必要なのかなど、詳しく解説したいと思います。


最新の投稿


左官職人とはどんな仕事?必要な資格とは?

左官職人とはどんな仕事?必要な資格とは?

住宅建築は、実際に施工を行う職人の技術が必要です。 そして職人の技術は、経験の蓄積によって培ったものであり、簡単に手に入れられるものではありません。 なかでも「左官」の技術は習得が難しいとされており、そしてその伝統的な技術は古くから脈々と受け継がれてきたものでもあります。 では、住宅建築における「左官職人」は、どのような仕事なのでしょうか? また「左官職人」として仕事をするうえで必要な資格はあるのでしょうか? そこで本記事では、「左官職人」とは具体的にどのような仕事内容なのか、資格は必要なのかなど解説したいと思います。


施工管理が注意しておきたい住宅建築の結露対策

施工管理が注意しておきたい住宅建築の結露対策

住宅にとってリスクとなることのひとつに「結露」があります。 「結露」は、カビやダニなどが発生する原因となる他、重要な構造を傷めて建物寿命を縮めてしまう可能性もあるため、十分な注意が必要な現象です。 また「結露」対策として重要なことといえば、建物の断熱性能を高めることが挙げられます。 しかし断熱性能は、施工精度にも大きく影響を受けるため、施工管理は適切な施工が行われていることをチェックすることが重要です。 そこで、本記事では、住宅のリスクである「結露」の正体と、「結露」対策として施工管理が注意しておきたい施工ポイントについて解説したいと思います。


敷地調査は何を調べる?設計条件の整理をしよう

敷地調査は何を調べる?設計条件の整理をしよう

住宅を建てる前には、敷地調査を行います。どのような住宅設計がその土地に適しているのか、どのような工事が必要になるかを事前に調べる重要な調査です。設計者がどのようなところに注意して調査を行なっているのか、どのように調査をしているのかについてご紹介いたします。


【成功のポイント】住宅販売は集客イベントを活用しよう!

【成功のポイント】住宅販売は集客イベントを活用しよう!

住宅販売では、集客イベントを行なっている会社が多いです。それだけ住宅購入は、オンラインでの集客を行なっても、実際に来店していただかなければなかなか成約に結びつかないことがわかります。住宅展示場や、自社のイベントでの集客、集客してからの追客イベントなどがあります。それらはイベントを開催すれば人がやってくるというわけではありません。そのイベントに集客するための方法も考えなければ、なかなか成功しないものです。集客イベントというものは、どのように行なっているのか、具体例からご紹介いたします。


住宅営業、資料作成の秘訣!使っていない資料がある方必見

住宅営業、資料作成の秘訣!使っていない資料がある方必見

住宅営業は、会社の営業資料を使用しますが、それ以外にもお客様用に自らが簡単にまとめた資料を作成することもあります。小さい工務店などでは、営業資料も少なく、どのような資料が良いのか試行錯誤しているところもあるでしょう。どこの会社でも問題になるのが、営業資料をマーケティング部が作成しても、営業が効果的に使っていないということがあります。そこで、営業資料はどのように作成し、どのように活用すれば良いのかについて少しでも皆様のご参考になれば幸いです。


最近話題のキーワード

ハウジングインダストリーで話題のキーワード


新築工事 現場監督 施工管理 住宅 営業 利益 知識 職人 仕事 働き方 転職