継手・仕口とは
継手・仕口とは、木造建築において、土台、柱、梁などの部材を接合するために用いられる凹凸の加工のことを言います。現代の木造建築のほとんどは、この継手・仕口だけでなく金物を使用して接合することが建築基準法により義務付けられています。金物を利用した方が構造耐久性が上がるためです。
しかし、法隆寺に代表されるように伝統的な木造建築は、精巧な技術により金物を使用しなくても十分な強度を発揮することもわかっています。このような技術を用いれば、金物を使用しなくても建築許可が下りることもあります。
・継手
継手は、長物方向に木材の長さが足りない時に使う補助的な接合方法です。
腰掛け鎌継ぎ(こしかけかまつぎ)
台持ち継ぎ(だいもちつぎ)
追掛け大栓継ぎ(おっかけだいせんつぎ)
・仕口
仕口は、木材を角度を持って接合する方法です。
ほぞ差し
胴差仕口(どうさしぐち)
桁差(けたざし)
大入れ蟻掛け(おおいれありかけ)
兜蟻掛け(かぶとありかけ)
などがあります。
継手・仕口の種類は、非常に豊富で、その木材に合った方法を適材適所で大工が判断していきます。
木組みの技術が世界でも注目されている!
木組みの方法は、非常に多種多様で、ほとんど利用されないものももちろんあります。それは、大工の腕の見せ合いで、複雑な木組みの方法も考案されてきたためです。しかし、それらの方法もそれぞれに特徴があり、精巧な技術であることに変わりありません。そこで、木組みが注目される5つの理由についてご紹介いたします。
1.強度が高い
木組みを行うことで、いくつもの木材を接合しても、まるで1本の木材のように高い強度を保つことができます。そして構造体を形成することで、耐震性にも優れた強度を発揮できます。現在の家屋は、金物を使用することで、強度を担保していますが、金物もメリットだけではありません。金物に緩みが生じて、長期間での強度は落ちてしまったり、金物周りに結露し木材が腐食するなどのデメリットもあります。
2.木材を継手で伸ばすことができる
木材は、その長さ以上の部材として使用する場合には、継手により材を伸ばすことができます。建築物だけでなく、家具などでもその木組み技術は活きてきます。木材を無駄なく利用するために継手の技術は、非常に効果的です。
3.メンテナンスがしやすい
金物を使用せずに、高い強度で木材を接合できるということは、様々な部位の補強・交換が可能です。柱の下部が腐ってしまった場合でも、その部分を木組みの技術で接合することが可能です。神社仏閣や歴史的建築物も、メンテナンスをすることで数百年以上もっています。
4.解体して組み直せる
金物や釘を使用していない木組みだけで作られた建物は、綺麗に解体すれば、また別の土地で組み立て直して移築することが可能です。これは、貴重な高品質な材木を利用しているからこそできる方法です。コンクリート造や他の建築方法では、このような移築はできないです。
5.技術を継承した職人しか扱えない
木組み自体は、誰でもその形を真似すればできます。しかし何十年何百年と持つ構造を維持するための木組みは、その木材1本1本の性質を見抜き、適材適所で、その向きや位置を見極めて使用しなければいけません。また、木組みの継手や仕口の加工自体も、その木材の性質を見極めなければうまく加工できません。ノミの入れ方ひとつで、木材にヒビが入ってしまう場合もあるからです。
大量生産の建築物にとっては、これはデメリットですが、精巧な技術が必要とされるということが、誰にも真似できない素晴らしい技術ということで注目を浴びている一因でもあります。