新人住宅設計士に設計の仕事は来ない
新人には重要な仕事が回ってこないのは、どこの仕事でも同じです。設計士も同様で、小規模の設計事務所の場合、設計担当の補佐に回ることが多いでしょう。補佐といっても雑務のようなもので、設計自体に関わることはほとんど無いといったこともあります。
最初にする仕事は、事務所の電話対応や、CAD図の描画、来客応対などさまざまです。これらの仕事は、設計事務所でなくてもできる仕事ですので、仕事をしている感覚にならずに嫌になってしまう方も多いです。
仕事のやる気を維持しよう
設計の仕事ができないからといって、仕事のやる気を無くしてしまってはもったいないです。やる気がない状態での仕事は、すべての吸収が遅くなり、せっかく良い経験をしていてもそれを自分のものにできないという状態が続いてしまいます。
理不尽な仕事などをこなす必要はありませんが、必ず誰かがやらなければいけない仕事はしっかりとこなすべきです。
では、どのようにして設計事務所での雑務をこなしていけば、やる気を維持でき、自分のスキルとして吸収していけるでしょうか。
■設計士として独立を目指す
まさしく、全ての雑務は、設計士として独立した際にも自分か誰かが行わなくてはいけません。このような雑務も自分が独立した時に、どのようにすべきかを常に考えて取り組みましょう。
雑務といっても非常に重要な仕事も含まれています。
例えば電話応対でも様々なことが身に付きます。
電話といっても、設計事務所にかかってくるわけですから、仕事に関わる電話になります。営業、各取引先、施主様、各工事業者、行政など様々な仕事のやりとりが電話で行われます。
これらの電話応対をするだけで、どのように仕事が回っているのか、何から始まり、どのようにつながり、1つの現場にどれだけの人が関わっているのかを知ることができます。これらの実際の業務を全体から見ることができるのは、非常に良い機会です。
また、電話応対一つでも仕事がスムーズにいくかが決まりますし、新しい仕事を獲得するチャンスでもあります。事務所の窓口として重要な業務です。
設計士は、建築士の資格を取るべき
住宅設計士として必要なものは、まずは建築士の資格です。二級建築士は必ず取得するようにしましょう。建築士の資格がなければ、専任業務もできませんし、営業ツールにもなります。
施工管理技士や取引先でも建築士を持っている方は多くいらっしゃいます。その中で設計士が建築士の資格を持っていないことは、マイナスなイメージにしかならないでしょう。また、インテリアコーディネーターなどの民間資格もほとんど役に立ちませんので、建築士を取るようにしましょう。
■設計図を模写してみよう
先輩設計士の設計図を模写してみるのもよい勉強法です。設計図というものは個人情報でもあるので、なかなか出回りません。設計図を模写することで、ただ眺めているだけではわからないものも発見することができます。
資格を取っても、大学で勉強してもわからない生の仕事を体験する良い方法です。どのような思いで設計したのか、どこに工夫がされているのかを想像しながら模写してみましょう。
模写していてその設計図を読み取る力が身に付いたら、自分のアイデアをその設計図に少し組み込んでみましょう。すると意外に難しいことがわかると思います。アイデアを盛り込もうとすると、納まりが合わなくなったり、頭で考えているだけでは気づかないことも多くあります。このように少しの変化を加えることが問題なくできるようになれば、設計士として独立できる日も近いのではないでしょうか。