資金計画提案は難しい!住宅設計、営業のポイント

資金計画提案は難しい!住宅設計、営業のポイント

住宅を建てようとしている方から依頼があった際に、資金計画を行うことは重要です。予算が決められなければ、どのような設計にすれば良いか選択肢の幅がありすぎて、お客様も設計者も方向性を決めることができません。しかし、お客様は予算感がわからず、どのくらいの金額をかければ、どのくらいの設計ができるのかがわかりません。そのため、設計者から予算に応じたサンプルをお見せしても、いまいちピンとこず、お客様からこれだけ費用を払っても、これだけしかできないのかと気分を悪くされる方もいらっしゃいます。うまくお客様との関係を維持しながら、設計が楽しくなる資金計画提案を行うポイントについてご紹介いたします。


住宅購入のための費用を教える

住宅は、諸費用を入れると、予想以上に金額が膨れ上がっていくことがあります。5500万円で考えて設計していくと、諸費用も入れると6000万円を超え、後から細かいグレードをアップさせていくと6500万円など、当初の予定から1000万円も増えていたということもよくあります。

お客様に予算の余裕があれば良いですが、設計者とお客様の間でうまく購入資金の打ち合わせができていないと、1からやり直しということになってしまいます。そこで、まずはお客様に対して、住宅購入にはどのような費用がどのくらいかかるのかについて事前に教えておく必要があります。

住宅購入の総費用内訳

住宅購入においては、土地と建物だけではなく、様々なものに費用がかかります。

・土地代
・建物代
・土地取得にかかる費用(10~50万円)
印紙税、土地仲介手数料、登記手数料、登録免許税、不動産取得税、固定資産税など
・建設にかかる費用(10~数百万円)
印紙税、登録免許税、登記手数料、不動産取得税、土地改良工事費(地盤の改良が必要な場合)、工事割増費用(重機が入れない土地など、手間がかかる場合には費用が割増になります)
・ローンにかかる費用(20~100万円)
印紙税、手数料、火災保険料・地震保険料、団体信用生命保険料など
・その他費用(50~100万円)
祭事費用、引っ越し費用、仮住まい費用、解体費用、各種加入金(インターネットなど)、家具家電費用

以上のように、土地と建物だけでなく、諸費用から引っ越し・家具家電なども考えると多くの費用が必要だということがわかります。諸費用や引っ越し代、家具家電費で、500万円以上となることもあります(諸費用は土地建物代の10%程度)。全てを考慮しておかないと、資金が足りないということになってしまうため、要注意です。住宅を購入しようとしているお客様は、ご存知の方も多いですが、設計に夢中になっていると、最後までこのことを忘れて予算を考えてしまう方もいらっしゃいます。設計者は、しっかりお客様と資金面での確認を行うようにしましょう。

どこに費用を一番かけるかを決める

住宅購入において、諸費用などがいくらかかるかについて、総費用について共有して、そこから設計のどこに費用を一番かけるかを決めると良いでしょう。

外観・機能・内装・庭、これらについてざっくりとどこに一番こだわりを持っていきたいかを決めていきます。まずは設計における重点を決めておかないと、お客様と打ち合わせをしていても、設計の要望と予算の釣り合いが保てるところがどこなのかを見つけるのが難しくなります。

例えば、機能を一番重視したいということであれば、全居室に床暖房、浴室・キッチン等の設備関係のグレードには、どのような幅があって、どこのランクを選ぶのかを決めていきます。するとこの設備関係だけでざっくりとした費用感が出ます。
次に、内装を重視するということであれば、どこの部屋の内装を重視するかを決めます。リビングと決めたら、イメージと施工方法と予算をすり合わせて決定します。
というように予算感をお客様と一緒に1つずつ考えて決めていくことで、スムーズに設計を進めることができます。

一番重要なのは、お客様に知識をつけること

住宅購入の資金計画において、一番重要なことは、お客様に知識をつけてあげることです。設計者や、営業担当が知っていることをアテにして話を進めていると、お客様自身が後からこれはこうしたいと変更を申し出てきてしまうことがあります。

この原因は、お客様がどの知識が必要なのかがわかっていないためです。設計側が、お客様が知っておくべき知識や情報などを伝え、お互いの感覚をなるべく共有することが、よりより設計や予算で相違がないようにする方法です。

また、お客様がどこを削って、どのような選択肢の中からどこにこだわったのかについて理解することは、お客様満足度を上げるために非常に重要なことです。専門的な知識があって、細部にまでこだわったお客様だけが本当に満足いく住宅が建てられるというわけではありません。

設計側で、お客様に知識を与えながら、お客様からもご自身で理解し納得していくといった環境と関係性づくりが大事です。

関連するキーワード


住宅 設計 営業

関連する投稿


スケルトン・インフィル住宅は、長期優良住宅で何世代も住みやすい間取りの実現に最適

スケルトン・インフィル住宅は、長期優良住宅で何世代も住みやすい間取りの実現に最適

 スケルトン・インフィル(SI)住宅というものが注目され始めています。長期優良住宅という70~100年以上、住み続けられる構造上の耐久性が高い住宅が、国からも推奨されています。しかし、100年住み続ける場合にも、2世代、3世代と世帯主も代わり、世帯人数も変わることが予想されます。世帯人数に合わせた間取り設計が必要になりますが、従来の構法では自由に間取りを変えることなどが困難でした。それを解消できるのがSI住宅になります。


戸建て住宅の需要が20~30代で増加|コロナの影響で生活スタイルの変化が要因

戸建て住宅の需要が20~30代で増加|コロナの影響で生活スタイルの変化が要因

 戸建て住宅の需要が若者世代で増加傾向にあるようです。新型コロナウイルスの影響で、リモートワークなどが浸透したことにより、都心部などで勤務する必要性が薄まってきたことが要因になります。また、地方で住宅を購入すれば、都心部でワンルームの家賃を払うよりもお得だと考えている方も多いのではないでしょうか。


住宅営業は平日休み|平日休みのメリット10選

住宅営業は平日休み|平日休みのメリット10選

住宅営業マンは平日休みとなっています。土日休みの企業で勤務していた方は、平日休みとなってしまうことに違和感などを感じる方も多いかと思います。これから転職を考えている方も、土日休みじゃないと嫌だと考えている方もいるかもしれません。しかし、平日休みに慣れてしまうと土日休みが嫌だという方もいらっしゃいます。この記事では平日休みのメリットについてご紹介していきます。


人口減少により住宅業界も衰退していくのか!?これからの転職は考え直した方が良いのか

人口減少により住宅業界も衰退していくのか!?これからの転職は考え直した方が良いのか

 転職を考える際に、業界規模や市場、今後の市場推移などを把握することは将来を考える上で非常に重要です。住宅業界というのは、人口に直接的に関わってくる業界と言えます。日本は人口減少が進んでおり、少子高齢化していっています。そこで実際に住宅業界の現場と、今後の予測をご紹介いたします。


クレームの少ない住宅営業マンが実践する4つのポイント|基本を抑えて、あなたもできる営業マンになろう

クレームの少ない住宅営業マンが実践する4つのポイント|基本を抑えて、あなたもできる営業マンになろう

 営業マンにはクレームの多い営業マンと少ない営業マンがいます。クレームが多い営業マンは、売上にかかるプレッシャーと、お客様からの精神的負担が大きくなります。営業活動における体力と精神力の両方が疲弊していきます。この記事では、クレームの少ない営業マンが実践する行動をご紹介いたします。


最新の投稿


建設業界の積算とはどんな仕事?資格は必要?

建設業界の積算とはどんな仕事?資格は必要?

建設業界で特有の仕事に「積算」という職種があります。 「積算」は、建築物をつくる過程で欠かせない仕事であり、また同時に責任の重い仕事でもあります。 では、「積算」とは具体的にどのような仕事なのでしょうか? また「積算」の仕事するうえで資格を取得しなくてはならないのでしょうか? そこで本記事では、建設業界における「積算」とは具体的にどのような仕事をするのか、また資格は必要なのかなど解説したいと思います。


文系出身でも住宅建築の施工管理はできる?

文系出身でも住宅建築の施工管理はできる?

住宅建築に関わる仕事といえば、理系の人が適しているというイメージを持っている人が多いかもしれません。 とくに施工管理の仕事は、工事の責任者となるだけに専門的な知識が必要です。 では実際のところ、施工管理の仕事は文系出身の人でもできるのでしょうか? 結論として、もちろん可能であり、さらには未経験でも問題ありません。 また、実務経験を積み重ねスキルアップすることで、文系や理系に関係なく昇進や昇給のチャンスがあります。 そこで本記事では、文系出身でも施工管理の仕事が問題なく行える理由について解説したいと思います。


スケルトン・インフィル住宅は、長期優良住宅で何世代も住みやすい間取りの実現に最適

スケルトン・インフィル住宅は、長期優良住宅で何世代も住みやすい間取りの実現に最適

 スケルトン・インフィル(SI)住宅というものが注目され始めています。長期優良住宅という70~100年以上、住み続けられる構造上の耐久性が高い住宅が、国からも推奨されています。しかし、100年住み続ける場合にも、2世代、3世代と世帯主も代わり、世帯人数も変わることが予想されます。世帯人数に合わせた間取り設計が必要になりますが、従来の構法では自由に間取りを変えることなどが困難でした。それを解消できるのがSI住宅になります。


戸建て住宅の需要が20~30代で増加|コロナの影響で生活スタイルの変化が要因

戸建て住宅の需要が20~30代で増加|コロナの影響で生活スタイルの変化が要因

 戸建て住宅の需要が若者世代で増加傾向にあるようです。新型コロナウイルスの影響で、リモートワークなどが浸透したことにより、都心部などで勤務する必要性が薄まってきたことが要因になります。また、地方で住宅を購入すれば、都心部でワンルームの家賃を払うよりもお得だと考えている方も多いのではないでしょうか。


建設業界の働き方が変わる!建設キャリアアップシステムとは

建設業界の働き方が変わる!建設キャリアアップシステムとは

人口減少と高齢化の加速にともない、建設業界の働き方も大きく変わろうとしています。 とくに次世代を担う人材が不足しているという点は深刻な問題であり、若い世代が働きたいと魅力を感じる環境づくりは急務となっています。 国としても、建設業の働き方改革を加速化させるいくつかの取り組みを策定していますが、そのひとつが「建設キャリアアップシステム」です。 「建設キャリアアップシステム」とは、建設業に携わる技能士のキャリアなどを見える化し、適正な評価のもとに待遇向上を目指すものになります。 そこで本記事では、「建設キャリアアップシステム」の取り組みについて、その内容をくわしく解説したいと思います。


最近話題のキーワード

ハウジングインダストリーで話題のキーワード


新築工事 現場監督 施工管理 住宅 利益 営業 職人 風水 現場監理 働き方改革