住宅購入のための費用を教える
住宅は、諸費用を入れると、予想以上に金額が膨れ上がっていくことがあります。5500万円で考えて設計していくと、諸費用も入れると6000万円を超え、後から細かいグレードをアップさせていくと6500万円など、当初の予定から1000万円も増えていたということもよくあります。
お客様に予算の余裕があれば良いですが、設計者とお客様の間でうまく購入資金の打ち合わせができていないと、1からやり直しということになってしまいます。そこで、まずはお客様に対して、住宅購入にはどのような費用がどのくらいかかるのかについて事前に教えておく必要があります。
■住宅購入の総費用内訳
住宅購入においては、土地と建物だけではなく、様々なものに費用がかかります。
・土地代
・建物代
・土地取得にかかる費用(10~50万円)
印紙税、土地仲介手数料、登記手数料、登録免許税、不動産取得税、固定資産税など
・建設にかかる費用(10~数百万円)
印紙税、登録免許税、登記手数料、不動産取得税、土地改良工事費(地盤の改良が必要な場合)、工事割増費用(重機が入れない土地など、手間がかかる場合には費用が割増になります)
・ローンにかかる費用(20~100万円)
印紙税、手数料、火災保険料・地震保険料、団体信用生命保険料など
・その他費用(50~100万円)
祭事費用、引っ越し費用、仮住まい費用、解体費用、各種加入金(インターネットなど)、家具家電費用
以上のように、土地と建物だけでなく、諸費用から引っ越し・家具家電なども考えると多くの費用が必要だということがわかります。諸費用や引っ越し代、家具家電費で、500万円以上となることもあります(諸費用は土地建物代の10%程度)。全てを考慮しておかないと、資金が足りないということになってしまうため、要注意です。住宅を購入しようとしているお客様は、ご存知の方も多いですが、設計に夢中になっていると、最後までこのことを忘れて予算を考えてしまう方もいらっしゃいます。設計者は、しっかりお客様と資金面での確認を行うようにしましょう。
どこに費用を一番かけるかを決める
住宅購入において、諸費用などがいくらかかるかについて、総費用について共有して、そこから設計のどこに費用を一番かけるかを決めると良いでしょう。
外観・機能・内装・庭、これらについてざっくりとどこに一番こだわりを持っていきたいかを決めていきます。まずは設計における重点を決めておかないと、お客様と打ち合わせをしていても、設計の要望と予算の釣り合いが保てるところがどこなのかを見つけるのが難しくなります。
例えば、機能を一番重視したいということであれば、全居室に床暖房、浴室・キッチン等の設備関係のグレードには、どのような幅があって、どこのランクを選ぶのかを決めていきます。するとこの設備関係だけでざっくりとした費用感が出ます。
次に、内装を重視するということであれば、どこの部屋の内装を重視するかを決めます。リビングと決めたら、イメージと施工方法と予算をすり合わせて決定します。
というように予算感をお客様と一緒に1つずつ考えて決めていくことで、スムーズに設計を進めることができます。
一番重要なのは、お客様に知識をつけること
住宅購入の資金計画において、一番重要なことは、お客様に知識をつけてあげることです。設計者や、営業担当が知っていることをアテにして話を進めていると、お客様自身が後からこれはこうしたいと変更を申し出てきてしまうことがあります。
この原因は、お客様がどの知識が必要なのかがわかっていないためです。設計側が、お客様が知っておくべき知識や情報などを伝え、お互いの感覚をなるべく共有することが、よりより設計や予算で相違がないようにする方法です。
また、お客様がどこを削って、どのような選択肢の中からどこにこだわったのかについて理解することは、お客様満足度を上げるために非常に重要なことです。専門的な知識があって、細部にまでこだわったお客様だけが本当に満足いく住宅が建てられるというわけではありません。
設計側で、お客様に知識を与えながら、お客様からもご自身で理解し納得していくといった環境と関係性づくりが大事です。