働き方改革により、残業時間の上限が設定される
働き方改革とは、2019年4月1日から厚生労働省により施行されたもので、ものすごく簡単に言うと「働きやすくなるように法律の整備をして実行する」ということです。この中でも特に注目されているのが、残業時間の上限が設定されたことです。順に詳しくご説明致します。
■働き方改革の背景は、少子高齢化
2020年時点で総人口は1億人を超えていますが、2050年には9000万人程度になると推定されています。また、少子高齢化により働き手が空くなっていくことが予想されており、そこで政府が対策として掲げているのが「1億総活躍社会」です。つまり働きやすい環境を整備することで、働き手の数を維持しようということです。
■長時間労働の改善(新36協定)
働き方改革の中でも特に注目されているのが、新36協定による残業時間の規制です。新36協定では、特別条項付きでも1ヶ月100時間、2~6ヶ月間で平均80時間という上限の規制が入ることになりました。また、大企業を対象として月50時間を超える時間外労働賃金の割増率を50%とすると定められています。
従来の36協定は、1ヶ月45時間、1年間360時間までしか残業させてはいけないというものです(36協定を労使間で交わさない限り1日8時間/週40時間の労働しかさせてはいけないことになっています)。一見問題なさそうに見えますが、実は例外があり、特別条項付きでは実質残業時間が無制限になります。
つまり簡単にまとめると、新36協定により残業時間が無制限とできていたものが、制限ありになったということです。
■建設業の新36協定は、2024年からの適用
大企業は2019年4月から、中小企業は2020年4月から適用されることになった新36協定ですが、建設業では、2024年からの適用になります。5年間の猶予を与えられている理由は、建設業で長時間労働が深刻に慢性化しており、年間300時間以上の時間外労働を行なっているというデータがあったためです。新36協定のように急激に残業時間の短縮を行なってしまうと、企業の対応ができないことを想定して、5年間の猶予が与えられました。
住宅業界の残業は徐々に減ってきている
住宅業界は慢性的に残業が多く、現場仕事などの場合には、休日出勤や時間外労働を行なっているところが多かったです。しかし、働き方改革を受けて徐々に効率的に働くことで残業などを減らす動きになっています。IT技術の導入やテレワークの導入により徐々に効果が表れているようです。
■IT技術導入による業務効率化
IT技術といってもまず基本的なものとしてFAXや電話、メール業務などの業務は実は非常に非効率的なものも多かったです。例えばFAXは印刷してからまたそれをFAXし、それを受け取ってデータ化して処理する、電話やメールで何度もやりとりをしてまとめるなどです。エクセルの共有機能を使ったり、カレンダーで複数人のスケジュールを共有したり、タスク管理アプリを使うなど、知識が無い年配の方に合わせて導入していなかったものを採用するだけで効率化しているところもあります。(これだけで2,3時間の短縮になる企業もあります。)
いわゆるIT技術導入の例としては、施工管理アプリなどがあります。工事においては、営業、施工管理(発注確認から職人配置まで)、職人、工程進捗確認など様々な人が関わるため、確認作業が多くなります。しかし、施工管理アプリを導入することで、その確認作業がアプリを見るだけで全員と共有できるようになります。全てが一元化されることで業務効率化された例になります。このような効率化が一つできるようになると、他の業務も同じように簡便化できないかと考えられ、社内で業務効率化が進むようになります。
■テレワークの導入による業務効率化
テレワークは、社内で行っていることを自宅で行うだけで、業務自体の効率化にはなりません。ではなぜ業務の効率化になるかというと、web会議やテレワークを導入することで業務の見直しを行うからになります。まず、web会議は無駄話が少なくなります。コミュニケーションが取りづらくなる反面、仕事の話しか進めないため、効率的になります。そしてテレワークを行うためにはどのように業務を行うか見直し、テレワークでも問題なく仕事を行えるようにします。つまり、業務を効率化することでテレワークを可能にしようという動きになるためです。
このように住宅業界では時間外労働が慢性化していましたが、業務効率化が進んでおり、従来の長時間労働は少なくなってきています。
※この記事はリバイバル記事です。