工事写真とは、各工程の記録方法の1つ
工事写真は施工記録として管理されるものです。工事の全期間の各工程ごとに撮影されることが一般的です。建築工事は工事完了後に、中の構造を見ることができなくなることがほとんどです。そのため、施工途中の様子を後から確認したり、品質保証の資料としても用いられます。
施工業者が施工ミスをしていないことなどを裏付ける資料として、お客様に提出することもあります。また、下請け業者が施工ミスをしていないかどうかの品質担保として元請けが指示することもあります。
公共工事などでも施工から数年経った後で、当時はどのような状況であったのかなどを確認する資料としても重要なものです。
以上のように、工事写真は客観的に施工状況を正しく記録するために非常に有効な記録方法となります。
4つのポイント|工事写真の撮り方
施工管理をする際、工事写真を撮ることはどのような新人でも行います。そのため、特に研修もなく、ただ撮影すれば良いというままベテランになってしまっている方もいます。しかし、本来は他者が見た際に分かりやすくなければ意味をなしません。そこで工事写真の撮り方について4つのポイントをご紹介いたします。
・撮影計画を立てる
・5W1Hがわかるようにする
・たて、よこの線を合わせる
・俯瞰、引き、アップの写真を撮る
実はこれだけポイントが多いです。伝える写真ということを意識して、今までやってこなかった方も是非参考にしてみてください。それでは、1つずつご紹介していきます。
■撮影計画を立てる
工事において、写真撮影が必要な工程についてあらかじめ確認し、撮影計画を立てます。これを怠ると、後々撮り忘れてしまったということになります。工事は毎日進んでいき、半日で終わってしまう工程もあります。そして終わった後は中が塞がってしまい、もう写真を撮るためには壊すしかないという状況もよくあります。必ず撮影計画は立てましょう。
特にハウスメーカーの工事や公共工事などは撮る項目が細分化され決まっています。写真がなければ該当施工をしているという証明ができないということですので、必ず撮影する必要があります。
天候などで工事日程がズレることにより、撮影予定日がズレることもあります。施工管理と写真撮影はセットの仕事ですので、どの工程管理の際にどの写真を撮るのか撮影計画と一緒に、その日に何をするのか確認を怠らないことが重要です。
■5W1Hがわかるようにする
Who 誰が(施工者・立会い者)
When いつ(施工日時、撮影日時)
What 何を(工事名・種目・分類、寸法)
Why なぜ(工事目的、規格)
How どのように(施工方法)
施工写真だけではわからない情報もあります。工事現場の黒板などを写真に撮るか、メモ書きなどを撮影する方法が良いです。
*施工写真だけを撮って、それを後でPCでファイルごとに取り込み、工事日時や施工方法・状況などをまとめるというのは良くありません。写真データの羅列からは、間違える可能性が高いのと、後でわからなくなります。必ず施工写真を撮り始める前に、メモ書きなども写真データとして一緒に残しましょう。
■たて、よこの線を合わせる
実際の写真の撮り方になります。写真の中でたて、よこの線を合わせるのが基本です。
例えば、柱に金具を取り付けている写真があるとします。この場合は柱のたてのラインを写真の垂直に合わせるようにして撮影してください。大抵の方は、その金具が写るように写真を撮るだけです。このような写真は、斜めに写ったようになっており、非常に見にくいです。
住宅の全景を撮る際、住宅を真ん中に写そうとするのではなく、真ん中にしつつ、壁のたてのラインを写真の垂直に合わせるように撮影しましょう。また、水平も合わせるようにします。このように撮影することでどのような位置関係にあるのかが写真からすぐにわかるようになります。
■俯瞰、引き、アップの写真を撮る
写真撮影の前には俯瞰写真を撮りましょう。これで、どこの写真を撮っているのかを写真データの羅列からもわかるようになります。
次に施工箇所の引きの写真、アップの写真を撮ります。このように写真撮影をしていれば、基本的には問題ありません。
施工箇所だけの引きとアップをとった場合、後で見返した際に、この施工箇所は全体のどの辺りだっただろうかとわからなくなるため、俯瞰写真は必ず撮りましょう。
まとめ
工事写真は簡単そうに見えて実は奥が深いです。丁寧に他者に伝えることを意識して撮影しましょう。
・撮影計画を立てる
・5W1Hがわかるようにする
・たて、よこの線を合わせる
・俯瞰、引き、アップの写真を撮る
以上の4つのポイントを守るだけで、分かりやすい写真になりますので、参考になれば幸いです。
※この記事はリバイバル記事です。