工事予算とは?〜粗利の確保〜
売上に対し、工事を行う上でかけられる予算があります。(売上)ー(工事にかかる費用)、これを粗利と言います。
施工管理が行う工事予算の管理は、この工事にかかる費用の管理を行います。この費用をいかに抑えるかで、会社の利益が決まり、社員の給与などにも影響します。工事費用が予想以上にかかってしまった場合、工事をしない方が予算があったという赤字になりますので、重大な責任を伴う仕事です。
今はあまり聞きませんが、昔は施工管理のミスで工事費用がかさんでしまった場合、施工管理が自腹を切って補填するということもありました。会社が赤字になってしまうため、ミスをした社員に損害賠償を請求するという感覚です。
お金の管理は、全社員、会社に関わることのため、必ず間違いのないようしっかりと行いましょう。
工事が完成しないと赤字?
売上代金というのは、工事完成後に支払いが行われることが一般的です。着手金、中間金、完工金と別れることもありますが、つまり、工事中に施工費用はどんどんかかってきます。
例えば、この施工費用を下げて経費にしていくと、引渡しまでに2年かかる場合、その間は売り上げが0で収益がなくなってしまいます。
これでは経営が立ち行かなくなってしまうため、建設業では、一般会計とは別の処理を行います。これは建設業において法律で定めれられていることです。
経理の方法
建設業会計で定められているのですが、工事にかかった費用計上は「工事進行基準」という方法が原則使われています。工事の進捗に応じて売上や経費を計上していきます。これにより、工事完成後に赤字になってしまっていたということを避けることができます。
建設業会計には一般会計にはない科目もあります。
・完成工事高:工事完了時に得られる売上
・完成工事原価:材料費、労務費、外注費、経費など
・完成工事総利益:完成工事高から完成工事原価を引いたもの
・未成工事支出金:完成前の工事で発生した費用
・完成工事未収入金:完工し、翌期に入金予定のもの
・未成工事受入金:完工前に受領したもの
・工事未払い金:工事費の未払金
このように一般会計とは違う科目を用いて経理処理することで、工事期間が1年以上続くものでも正しく計上できるようにしています。
注意!リフォーム工事での予算管理
現場管理で、工事予算が赤字になるということは住宅建設においてほとんどありません。新築の場合、決まった工事内容となっていることと、お客様からの突然の要望なども追加費用が発生したり、建売住宅の場合はお客様がまだ付いていない場合が多いからです。
一方、リフォーム工事においての予算管理は非常に大変です。リフォームをしていて粗利がほとんどなくなってしまったり、ひどい時には赤字工事になってしまうこともあります。
・見積もりの不備
・お客様からのクレーム
これら2つの原因についてご紹介いたします。
■赤字になる原因:見積もりの不備
実際の工事に入ってみたら、当初予定していた工事内容では足りないという場合です。営業や見積もり担当が現場を詳しくチェックせずに見積もりを作成した場合に起こります。
お客様には「この10万円の工事を行えば、綺麗になりますよ」と伝えているにも関わらず、工事が始まってから「やっぱり30万円かかります」と言ってしまうことはほとんど詐欺です。このような場合には、なんとか職人に無理を言って安くやってもらったり、できるところは施工管理の人間が対処したりします。
このようなミスをしてしまうと粗利が0%ということにもなります。このような工事が続いてしまうと会社が持ちませんので、見積もり作成の段階から入念にチェックする必要があります。
■赤字になる原因:お客様からのクレーム
施工後にお客様からクレームが入り、完全にやり直しになる場合があります。リフォーム工事の場合、お客様との意思疎通がうまくできておらず、完成形がこうではなかったとクレームなることもあります。
全てのやり直しとなると工事原価が2倍かかることになりますので、赤字工事になります。絶対にこのような事態になることは避けたいです。
施工管理としては、施工中に施主様にしっかりと途中確認を行なっておくことが必要です。工事中にお客様が仕事であまり会えなかったり、業者に安心して任せているからと仰られている場合は特に注意が必要です。工事完成後に「安心して任せていたのに、全然違う仕上がりじゃないか」というクレームはよくあります。
気を抜かずに必ず途中確認を行ってもらうようにしましょう。
※この記事はリバイバル記事です。