【有休5日取得義務】現場監督の現実。なぜ取れない?

【有休5日取得義務】現場監督の現実。なぜ取れない?

年間5日間の有給休暇取得が義務付けられました。これにより建築業における、有給が取れない部署として名高い、現場監督も例外なく有休取得が義務付けられています。しかし、現状なかなか有給休暇を取得させることができていない企業や、不正を行ういわゆるブラック企業などもまだまだ存在しています。現場監督が有給を取りづらい現状について、そしてどのような企業であれば有給が取りやすいのかご紹介いたします。


有休5日取得義務について

働き方改革により、2019年4月に「年5日の年次有給休暇の確実な取得」が使用者に義務付けられました。これは大企業や中小企業問わず、同時に施行されたものになります。日本の場合、有給制度があるにも関わらず、有休をと取得している社員の数や、その日数が少ないものとなっていました。

これを是正するために施行され、有給取得義務は働き手のリフレッシュを促すことで、日本が直面する「少子高齢化」、「働く手のニーズの多様化」などの課題に対応することを目的としています。しかし、いまだに有給休暇を取得させていない使用者がいるのが現状です。

参考)年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説|厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署 https://www.mhlw.go.jp/content/000463186.pdf

現場監督が有休取得しにくい理由3つ

建築業の中でも、現場監督は有給かが取得しづらい部署です。他の事務職、営業職、設計職などは問題なく有休を取れる環境があるところが多いですが、なぜ現場監督は有休を取得しにくいのでしょうか。理由は3つあります。

1. 現場(工事)が休みにならない
2. 監督は1人で、替えが効かない
3. 休んでも業務対応が必要
それぞれについてご説明いたします。

1. 現場(工事)が休みにならない

現場監督者は、建設規模にもよりますが、工事現場に必ず1人いなければいけません。そのため現場が稼働している限り、現場監督として行かなければいけません。

常に監視している必要がなくても、工事はどんどん1日で進んでいきます。もし1つの工程でミスがあった場合、進んでしまった工事を壊してからでないとやり直せないということにもなりかねません。そのため、確認作業を現場監督が行うことは、重大な責任が伴います。

もし自分が休んだ日に、現場でミスがあった場合、結局は自分の責任になってしまうので、現場監督を休むことができないという心理的な負担もかかってしまいます。

天候に左右されずに進む工事(内装工事など)ではなく、雨天の日に工事が休みの場合でも、普段できていない事務処理や、発注関係、工事の段取りの再スケジューリングなどで業務が発生します。以上のことから非常に休みづらい環境と言えるでしょう。

2. 監督は1人で、替えが効かない

現場監督は、通常、1現場に1人が会社で割り当てられます。そこで、予備の現場監督というものを置かないのです。そのため、担当の現場監督が休んだとき、他の現場監督者も他現場を担当していますので、代わることができないのです。

会社側も、現場監督者を5人雇っていた場合、5現場を同時に稼働させます。ここで、4現場を稼働させて1人を予備の人材としていても、この1人は何も仕事がなくなってしまいます。そのため常に稼働していなければいけないという状況になってしまっています。

3. 休んでも業務対応が必要

どうしても休みたいとき、有給取得したにも関わらず、実は業務対応が必要です。現場監督は、営業、現場、設計と多くの部署の情報を集約しているため、他の部署の社員は電話をしてきます。休みなのになぜ電話してくるんだ?と思うかもしれませんが、他部署の社員は、あなたが有給で休んでいることを知らないのです。

このように休みであっても、昼まで寝ていたら、トラブルの電話の着信履歴が何件も残っていたりと、リラックスして休めないという状況になります。そのため、仕事をしていた方がこのような余計なストレスを抱える必要がないため、有休を取らない方がいいと考える社員がいることも事実です。

有休を取らせないブラック企業

有休を故意に取らせないブラック企業も存在しています。法律改正でも、従業員が反発しない限り、罰則もないことや、会社に目をつけられて困るのは従業員という立場の問題もあるため、このような企業体質のところもあります。

有給取得による不利益取り扱いは禁止されている

以前は有休を取得したことでボーナスを減額したりなど、査定に影響を与えている企業もありました。しかし今回の働き方改革により、このような不利益取扱は禁止されています。

もしこのようなことがあった場合は、労働基準監督署に通報しましょう。

違反企業は30万円以下の罰金

有休取得義務に違反した場合、従業員1人につき30万円以下の罰金が科されます。これも従業員側から申告しないと、勝手に判断されるわけではないため注意が必要です。

もしこのようなことがあった場合は、労働基準監督署に通報しましょう。

有給が取れる会社に転職しよう

ブラック企業は論外ですが、しっかりと法令を守った会社に転職しましょう。5日間の有給休暇取得義務は、どの会社でも10日間の有休付与義務のある従業員には適用されます。

現場監督として、業務が多い会社は仕事があるということで経営的には信頼できるかもしれませんが、長く働ける環境づくりをしているのかを確認しましょう。

工事ごとの常駐の必要性や、風邪で休んだ時などの対応を聞くのがお勧めです。そのような人員不足時に、どのような体制を組んで対処しているかを聞くようにしましょう。

関連するキーワード


現場監督

関連する投稿


【超重要】現場監督が行う原価管理の仕事

【超重要】現場監督が行う原価管理の仕事

現場監督の仕事は幅広く、現場で起こるあらゆることに取り組まなくてはいけません。 また、工事を進めるうえでムダを抑え、会社の財務健全性を保つために必要な仕事となるのが「原価管理」です。 「原価管理」は、「現場監督よりも経理の仕事では?」と思う人がいるかもしれません。 しかし、建設業界における「原価管理」は、現場監督が行うその他の管理業務との関連性も強いため、一元的に実行していくことが必要なのです。 そこで本記事では、現場監督が行う「原価管理」の仕事について、その詳しい内容をご紹介したいと思います。


ハウスメーカーの現場監督の仕事とは?ゼネコンとの違いは?

ハウスメーカーの現場監督の仕事とは?ゼネコンとの違いは?

ハウスメーカーの現場監督は、どのような仕事しているのかよくわからないという人も多いのではないでしょうか? ハウスメーカーとは、戸建て住宅の建設と販売を行う会社のことをいいます。 おもに自社の規格を確立していることが多く、工業化やマニュアル化によって効率的な家づくりを可能としています。 またハウスメーカーの家づくりにおける実際の施工は、下請けの工務店とその協力工事会社が行っていることが一般的です。 そのため、ハウスメーカーの現場監督は、ゼネコンと比べると仕事内容は少し異なります。 そこで本記事では、ハウスメーカーの現場監督の仕事内容について、またゼネコンの場合とどのような違いがあるのかご紹介したいと思います


現場監督に必要な能力とは?【5選】

現場監督に必要な能力とは?【5選】

住宅の新築工事現場では、あらゆるシーンで現場監督の能力に左右されることが多くあります。 よって、工事を円滑に進めるためにも一定の能力を有していることが求められます。 現場監督は、住宅という「モノ」をつくる仕事ですが、けしてひとりでできる仕事ではなく、必ず多くの人に動いてもらわなければいけません。 つまり現場監督には、ひとつの「モノ」をつくる集団のリーダーとして、まとめ上げ、推進していく能力を身に付ける必要があるのです。 そこで本記事では、現場監督に必要となる能力について、とくに重要な5つをご紹介したいと思います。


【超重要】現場監督が行う工程管理の仕事

【超重要】現場監督が行う工程管理の仕事

住宅建築の現場監督の仕事内容は多岐に渡ります。 なかでも「工程管理」は、建築主との約束事でもある工期を守るため、そして効率よく工事を進めるために重要な業務となります。 「工程管理」が乱れると他の業務にも影響が及ぶ可能性があることから、その点では十分な注意が必要になるでしょう。 よって、工程表通りに工事が進んでいない状況が生じたときには、現場監督の調整力が求められます。 また「工程管理」が適切に行われると、その他にさまざまな効果を得ることも可能です。 そこで本記事では、現場監督が行う「工程管理」の仕事内容や、適切に行われることで得られる効果について解説したいと思います。


【住宅建築の基礎知識】施工管理なら知っておきたい基礎工事のポイント

【住宅建築の基礎知識】施工管理なら知っておきたい基礎工事のポイント

戸建て住宅を建てるとき、非常に重要な工程のひとつに「基礎工事」があります。 そもそも基礎とは建物の重量を支えている構造部であり、暮らす人にとっては丈夫な基礎があることで安心して生活が送れるのです。 そのため住宅の基礎には、法令により厳しい規定が定められています。 規定が守られていない場合、十分な耐久性が得られないばかりか、建物寿命にも影響を与えてしまう可能性もあります。 よって施工管理者は、基礎工事において適正な施工が行われいるかしっかりとチェックしなくてはいけません。 そこで本記事では、住宅の基礎工事について、施工管理の立場で知っておきたいポイントなどを解説したいと思います。


最新の投稿


戸建て住宅の需要が20~30代で増加|コロナの影響で生活スタイルの変化が要因

戸建て住宅の需要が20~30代で増加|コロナの影響で生活スタイルの変化が要因

 戸建て住宅の需要が若者世代で増加傾向にあるようです。新型コロナウイルスの影響で、リモートワークなどが浸透したことにより、都心部などで勤務する必要性が薄まってきたことが要因になります。また、地方で住宅を購入すれば、都心部でワンルームの家賃を払うよりもお得だと考えている方も多いのではないでしょうか。


建設業界の働き方が変わる!建設キャリアアップシステムとは

建設業界の働き方が変わる!建設キャリアアップシステムとは

人口減少と高齢化の加速にともない、建設業界の働き方も大きく変わろうとしています。 とくに次世代を担う人材が不足しているという点は深刻な問題であり、若い世代が働きたいと魅力を感じる環境づくりは急務となっています。 国としても、建設業の働き方改革を加速化させるいくつかの取り組みを策定していますが、そのひとつが「建設キャリアアップシステム」です。 「建設キャリアアップシステム」とは、建設業に携わる技能士のキャリアなどを見える化し、適正な評価のもとに待遇向上を目指すものになります。 そこで本記事では、「建設キャリアアップシステム」の取り組みについて、その内容をくわしく解説したいと思います。


【超重要】現場監督が行う原価管理の仕事

【超重要】現場監督が行う原価管理の仕事

現場監督の仕事は幅広く、現場で起こるあらゆることに取り組まなくてはいけません。 また、工事を進めるうえでムダを抑え、会社の財務健全性を保つために必要な仕事となるのが「原価管理」です。 「原価管理」は、「現場監督よりも経理の仕事では?」と思う人がいるかもしれません。 しかし、建設業界における「原価管理」は、現場監督が行うその他の管理業務との関連性も強いため、一元的に実行していくことが必要なのです。 そこで本記事では、現場監督が行う「原価管理」の仕事について、その詳しい内容をご紹介したいと思います。


住宅営業は平日休み|平日休みのメリット10選

住宅営業は平日休み|平日休みのメリット10選

住宅営業マンは平日休みとなっています。土日休みの企業で勤務していた方は、平日休みとなってしまうことに違和感などを感じる方も多いかと思います。これから転職を考えている方も、土日休みじゃないと嫌だと考えている方もいるかもしれません。しかし、平日休みに慣れてしまうと土日休みが嫌だという方もいらっしゃいます。この記事では平日休みのメリットについてご紹介していきます。


人口減少により住宅業界も衰退していくのか!?これからの転職は考え直した方が良いのか

人口減少により住宅業界も衰退していくのか!?これからの転職は考え直した方が良いのか

 転職を考える際に、業界規模や市場、今後の市場推移などを把握することは将来を考える上で非常に重要です。住宅業界というのは、人口に直接的に関わってくる業界と言えます。日本は人口減少が進んでおり、少子高齢化していっています。そこで実際に住宅業界の現場と、今後の予測をご紹介いたします。


最近話題のキーワード

ハウジングインダストリーで話題のキーワード


新築工事 現場監督 施工管理 住宅 利益 営業 職人 風水 現場監理 働き方改革