住宅建築の現場監督の仕事は、多くの業務をこなしていかなくてはいけません。
なかでも「品質管理」は、建築主の要求に沿ったものを約束の期日までに忠実につくるといった、施工管理として重要な業務のひとつとなります。
工事現場には多くの資材が納入され、また多くの作業員が工事を行います。
これらに間違いが生じることのないよう管理することが「品質管理」のおもな仕事です。
そこで本記事では、現場監督が行う「品質管理」の仕事の内容について、詳しく解説したいと思います。
現場監督が行う品質管理の仕事内容
現場監督は、工事を進めるにあたり非常に多くの業務をこなさなくてはいけませんが、とくに重要なものといえば以下の4つです。
- 工程管理
- 安全管理
- 品質管理
- 原価管理
これらのうち品質管理とは、建築主との約束でもある設計図面の品質を満たすために管理することをいいます。
住宅建築においては、建築主の要求するものを設計者が設計図面や仕様書として作成し、見積もりなどを含めて承認を得ることで契約の締結となります。
そのため、設計図面や仕様書に記載されていることは、現場の都合によって勝手に変更することはできません。
もし、建築主の了解を得ることなく変更が行われ、必要な強度が得られなかったり、あるいは違う設備が取り付けられていたりすると、きわめて大きな問題となるでしょう。
そのようなことが起こらないようにするため、現場監督による「品質管理」が必要なのです。
現場監督が行う品質管理の方法
現場監督が工事に関する品質を確保するための具体的な方法をご紹介いたします。
■自社検査の実施
工事期間中は、品質を確保するためにさまざまな検査が行われます。
おもな検査は以下の通りです。
- 行政機関などで行われる「建築基準法に基づく検査」
- 瑕疵担保責任保険法人で行われる「住宅瑕疵担保責任保険の検査」
- 工事監理者で行われる「工事監理者検査」
- 住宅会社で行われる「自社検査」
これらのなかでも、とくに重要な検査といえるのは、住宅会社が独自で行う自社検査になるでしょう。
というのも、自社検査以外の検査は要所で行われるスポット的な要素が強く、また一方で常駐ではないにせよ専門業者を厳しく管理できる立場にあるためです。
よって、会社のルールに則って自社検査を必ず実施し、間違いのないことを確認しなくてはいけません。
そのうえで、検査の合格をもって次の工程に移行することを周知徹底する必要があるでしょう。
なお、住宅建築の工事中に行われる検査については「【住宅建築の基礎知識】新築工事で実施する検査の種類とは?」の記事で詳しく解説しています。
■工事の記録を残す
工事中の各工程における品質を得る重要なポイントとして、必ず写真を撮り記録として残しておくことが挙げられます。
なぜなら、工事が完成した後では、隠れてしまう個所が多く適正な工事が行われたのか確認できないためです。
例えば、基礎工事では、適正な強度を得るには鉄筋の種類や配置などが正しく施工されていることが重要になりますが、コンクリートを流し込むとその後は確認できません。
これら重要項目について写真を撮っておくことで、品質を確保できている証明となります。
品質管理は工程を安定させることもポイント
品質管理は、おもに設計図面通りにつくることをいいますが、ゆとりのある工程で工事が進むこともポイントになります。
その理由は、工程に余裕がないと、かえって品質を損ねかねない状況が生まれやすくなるためです。
例えば、工程が遅れてしまうと、遅れを取り戻すために人員を多く入れて対応することもあります。
そうなると、工事に対する責任が分散されることで雑な施工になったり、また現場が雑然とすることで仕上げ材にキズが付いたりしやすくなります。
また、現場監督に余裕がないと、問題点に気づきにくく何かあっても見逃してしまうことになるかもしれません。
設計図面通りの品質を得ることと工程を安定させることは、セットで取り組むことが品質管理には重要なのです。
まとめ
現場監督の品質管理は、建築主との約束を守るため、そして信頼を得るためにもきわめて重要な業務となります。
また、品質管理は現場監督ひとりの力でなんとかなるようなことではありません。
各工事を担当する専門業者に協力してもらうことが必要になるため、コミュニケーション能力も求められます。
現場監督は、非常に責任の大きな仕事です。
しかし一方で、完成品質が建築主に満足を得られたときは感謝の言葉を直接もらえることもあるなど、やりがいを感じられる仕事でもあります。
※この記事はリバイバル記事です。