新築工事中は、適正な品質を確保するため、あるいは法律が守られていることを確認するため、さまざまな検査が行われています。
また検査は、施工管理者による検査だけでなく、その他にもいくつかの専門機関によって行われることになります。
複数の視点から実施することで、建築主の安心と利益保護につながるわけです。
そこで本記事では、新築工事ではどのような検査が実施されているのか、おもな種類とその内容について解説したいと思います。
新築工事で実施する検査の種類とは
住宅の新築工事では、着工か竣工までに多くの検査が実施されます。
おもに検査を担当する機関によって種類が分かれますますが、基本的に実施する必要がある検査の他に建築主の任意で実施する検査などもあります。
今回ご紹介するのは、基本的に実施する必要がある検査についてです。
おもな検査の種類について、個別に解説いたします。
■建築基準法に基づく検査
建築基準法に基づく検査は、行政、または民間機関である指定確認検査機関によって実施される検査です。
おもな検査内容は以下の通りになります。
- 中間検査
- 完了検査
検査は基本的に2回実施されますが、地域によっては中間検査を実施しなくてもよい場合があります。
いずれの検査も、確認申請時に添付した設計図書の通りに施工されていることを確認するものです。
そして中間検査に合格すると「中間検査合格証」が、完了検査に合格すると「検査済証」が交付されます。
■住宅瑕疵担保責任保険の検査
住宅瑕疵担保責任保険の検査は、住宅会社が同保険を申請するときに受ける必要がある検査で、住宅瑕疵担保責任保険法人の検査員によって実施されます。
おもな検査内容は以下の通りになります。
- 基礎検査
- 構造体検査
住宅瑕疵担保責任保険とは、「住宅瑕疵担保履行法」によって定められている、新築住宅を購入する消費者を守るための保険になります。
住宅会社などの事業者には、引き渡しから10年間について主要構造部分に瑕疵(欠陥、不具合)の存在が認められる場合は責任を負わなければいけないことが定められています。
そして、その責任が生じたときの資金を確保するための保険が瑕疵担保責任保険です。
■工事監理者検査
工事監理者検査は、法律で配置が義務付けられている工事監理者によって設計図書通りに施工されているか照合、確認するというものです。
工事監理者検査は、おもに国土交通省の「工事監理ガイドライン」に則って実施されることになります。
その確認項目は多岐にわたりますが、とくに重要な内容は以下の通りです。
- 着工時の確認
- 土工事・地業工事の確認
- 基礎工事の確認
- 木造躯体工事の確認
- 断熱工事の確認
- 各種仕上げ工事の確認
- 設備工事の確認
- 工事完了の確認
■自社検査
自社検査は、住宅会社の立場で建築主に対して十分な品質を提供するための検査であり、現場監督など品質管理担当者によって実施されます。
自社検査は住宅会社によって異なりますが、とくに重要な内容は以下の通りです。
- 配置検査
- 基礎配筋検査
- 構造体検査
- 断熱検査
- 設備検査
- 木完検査
- 竣工検査
住宅会社は通常業務として品質管理を行っていますが、とくに重要な内容については自社のルールに基づいて検査を実施し、合格することで次の工程へ進むという流れが一般的です。
また一方で、その他の検査を受ける立場でもあるため、それら検査に合格できる品質を確保しておくことも必要になります。
新築工事で実施される検査のなかでも、住宅会社による自社検査は十分な品質を得るうえで最も重要な検査といってよいでしょう。
まとめ
以上が新築工事中に実施される検査になります。
これらの他、建築主の任意で行われる検査に「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく「住宅性能評価検査」などがあります。
いずれにしても、ものづくりを担う会社は、一定水準の品質を確保する義務があり、そのためにはいくつもの検査に合格しなくてはいけません。
建築主の安心と安全を守るためにも、複数の視点からの検査に合格することが必要になるわけです。
※この記事はリバイバル記事です。