現場監督の仕事は幅広く、現場で起こるあらゆることに取り組まなくてはいけません。
また、工事を進めるうえでムダを抑え、会社の財務健全性を保つために必要な仕事となるのが「原価管理」です。
「原価管理」は、「現場監督よりも経理の仕事では?」と思う人がいるかもしれません。
しかし、建設業界における「原価管理」は、現場監督が行うその他の管理業務との関連性も強いため、一元的に実行していくことが必要なのです。
そこで本記事では、現場監督が行う「原価管理」の仕事について、その詳しい内容をご紹介したいと思います。
現場監督が行う原価管理の仕事内容
現場監督の仕事のうち、とくに重要なものは以下の4つになります。
- 工程管理
- 安全管理
- 品質管理
- 原価管理
これらのうち原価管理とは、工事を完成させるために必要となる原価を把握し、必要に応じて改善することで適正な利益を確保することをいいます。
また、住宅建設における原価の合計は大きく以下の4つで構成されています。
- 材料費
- 労務費
- 外注費
- 経費
そして大まかにいうと、受注金額から原価を差し引いた金額が利益となります。
工事が始まると基本的に受注金額が増えることはないため、ムダなコストを減らすなど原価が増えないよう管理することがポイントになります。
現場監督が原価管理で気を付けること
現場監督が行う原価管理でとくに気を付けておきたいことについて、いくつかをご紹介いたします
■発注ミスをしない
現場監督は、工程表通りに工事を進めるためにも材料や外注工事、重機などを適切なタイミングで正しく発注しなくてはいけません。
ところが、発注ミスをしてしまうとムダなコストが発生し、原価を増やしてしまう原因となります。
例えば、外注工事を依頼している日に必要とする材料が入ってこなかったり、あるいは違うものが入ってきたりすると、外注工事業者は手待ちとなります。
その日は仕事にならないばかりか、それ以降の工程にも影響が出るかもしれません。
■品質検査を行う
工事中には節目となる重要工事では必ず検査を実施します。
そして検査の合格をもって次の工程に移行することになりますが、検査が甘い、あるいは検査を実施しないと、適正な品質が得られないまま工事が進行する可能性があります。
引き渡し時の施主検査などで指摘を受けた場合、現場監督の責任で手直し工事をしないといけないケースが発生すると、原価率が上がる原因にもなるでしょう。
■外注工事のコストダウンを無理強いしない
原価を抑えるためとはいえ、外注業者にコストダウンを無理強いしてしまうとモチベーションの低下や不信感を招き、品質にまで影響が及ぶ可能性があります。
まして、現在の人手不足という状況のなか、外注工事をしてくれる業者が減ってしまうことは避けなければいけない事態といえるでしょう。
双方にとって利益になる、よい関係づくりをすることも現場監督の仕事です。
現場監督の原価管理で得られること
現場監督が適切な原価管理をすることで、得られるのはおもに以下の3つです。
- 経営の健全化
- 品質の向上
- 快適な作業環境づくり
■経営の健全化
現場監督の原価管理で適切な利益を確保することは、会社経営を健全化することにつながります。
赤字工事を続くようなら経営にダメージを与えることもあり、社員の昇給は見込めないばかりか場合によっては人員削減や倒産の可能性もあります。
つまり、自身の待遇を向上させるためにも、原価意識を持って適切な利益を確保することが不可欠なのです。
■品質の向上
ムダな原価を増やさない工事管理は、出戻り工事や手直し工事などが少なくなるため品質向上につながります。
また工程もスムーズに流れやすく、時間にも余裕が生まれます。
よって、遅れを取り戻すために人員を多く投入する必要もないなど、安定した完成品質が期待できるというわけです。
■快適な作業環境づくり
原価管理ができず適切な利益が確保できないと、本当に必要なコストにまで影響が及ぶ可能性があります。
とくに安全を確保するためのコストを削減するようなら、労働災害が起こることにもつながりかねません。
また労務費や外注費を削減すると、人材の確保も難しくなり、ひとりの現場監督への負担が大きくなって広い視野を持てなくなるでしょう。
そうなると、快適な作業環境づくりにも支障が生じます。
そのことはつまり、安全性や品質の低下、さらに工程の遅れを招くなど、悪循環へとつながります。
原価管理によって適切な利益を得ることは、快適な作業づくりをするうえで絶対に欠かせません。
まとめ
現場監督の仕事は、工事の品質を確保して工期内に終わらせるだけでは、けして十分とはいえません。
会社にとって適正な利益を残すことで経営が成り立つのです。
そのためにも、現場監督が原価を把握し、どの程度の利益を残せるのか意識して工事管理をすることが重要になります。
※この記事はリバイバル記事です。