住宅の建築工事中には、近隣からクレームが発生する場合があります。
クレームが発生すると、場合によっては工事が進まなくなるケースもあるため、現場監督が中心となって近隣に配慮しなくてはいけません。
またよくあるクレームを知っておくことで、どのようなことに注意しておけばよいのか対策を練ることもできるでしょう。
そこで本記事では、住宅の建築工事でとくに多い3つの近隣クレームについて、そしてクレームを防ぐための対策についてもご紹介したいと思います。
工事現場でよくあるクレーム3選
住宅の建築工事の現場でよくあるクレームといえば、以下の3つです。
- 騒音
- 粉じんや飛散物
- 作業員のマナー
■騒音
工事中に最も多いクレームといえば、騒音に関することです。
一般的な住宅の建築工事は、基本的に日曜日と祝日を休みとし、作業時間は8:00~17:00、遅くても19:00には現場から退場しておく必要があるでしょう。
以上の時間外に騒音が発生するような作業をすると、クレームになることがあります。
また工事の騒音に関しては法律や条例によって一定のルールが定められているため、逸脱しない範囲で進める必要があります。
しかし、現場との位置関係や当事者によっては感じ方も変わることから、配慮が欠けるとルールを守っていてもクレームになりやすいのが騒音問題です。
また建て主(施主)にとっては完成後も近隣住民との関係が続くことから、絶対のトラブルに発展しないようにしなくてはいけません。
時間外での作業は避けること、そしてやむをえず時間外の作業や騒音が出る作業をする必要がある場合は事前に許可を得ることなどの対応が必要になるでしょう。
■粉じんや飛散物
工事現場から発生する粉じんやゴミなどあらゆるものが飛散すると、クレームになることがあります。
解体工事や、建材をカットしたり削ったりすることで粉じんは発生しますが、飛散すると洗濯物や車両などを汚す原因になります。
とくに解体工事では、飛散防止ネットを張るなどの対策は必須です。
そして建材の梱包材やブルーシート、その他ゴミなどを適切に処理されないまま放置していると、風が吹いて飛散し、近隣に迷惑をかけてしまうことがあります。
とくに台風の接近など強風が吹くことがわかっている場合は、飛散しそうなものはないかチェックし、あるなら固定するか建物内に取り込むなどの対応が必要です。
また飛散するのは目に見えるものだけでなく、臭いなど目に見えないものにも注意を払う必要があります。
最も多いのは、現場入場者が利用する仮設トイレの臭いです。
近隣住宅との距離が近い場合、仮設トイレの位置はできるだけ離して設置するなどの配慮が必要になるでしょう。
これらはいずれも現場監督の責任で確実に実行しなくてはいけません。
■作業員のマナー
工事現場に入場する作業員のマナーが悪い場合も、クレームになることがあります。
とくに注意しておきたいのは駐車マナーです。
近隣住民の車両が出入りしにくくなったり、また通行に支障が生じたりする場合は、すぐにクレームになる可能性があるばかりか、警察に通報されることなども珍しくありません。
この点は、現場監督による事前の現場調査で工事車両が十分に停められるだけの駐車場を確保することも重要になります。
また、たばこのポイ捨てやツバ吐き、休憩中の大声での会話などもクレームになりやすく、ときには近隣の住人から直接建て主(施主)に伝えるといったケースもあります。
現場入場者に対しては、安全とともにマナーの教育も徹底することが重要になるでしょう。
クレームを防ぐための対策
近隣からのクレーム防ぐには、まず事前に徹底した根回しをすることがポイントになります。
工事が始まる前のタイミングで近隣へのあいさつ回りを行い、工事のスケジュールや工事担当者、電話番号などを記載した案内文を配布しておきます。
そのうえで、大きい音が発生するような工事や粉じんが飛散しそうな工事の前には改めて案内するなど、しっかりと説明しておくことが重要です。
また、近隣の人に会ったときには必ずあいさつをすることもクレームを防止するうえで大きな効果を発揮します。
これは現場監督に限らず、現場で作業に従事する人は全員が実行するべきことであり、おもにマナー教育を通じ共通認識として確立する必要があるでしょう。
まとめ
近隣からのクレームの対応は、現場監督の仕事のひとつとして真剣に取り組む必要があります。
対応を間違うと、大きなトラブルに発展する可能性があるばかりか、建て主(施主)と近隣住民との関係悪化を招く原因になるかもしれません。
また、クレーム対策は現場監督ひとりでできることではなく、現場に入場するすべての人の意識の統一を図ることが重要です。
そのためにも、現場監督が中心となり、マナー教育などの啓蒙活動を実施していくことが大きなポイントになるでしょう。
※この記事はリバイバル記事です。