【施工管理なら知っておきたい】木材腐朽菌とはなに?

【施工管理なら知っておきたい】木材腐朽菌とはなに?

木造住宅はもちろんのこと、鉄骨造やRC造でも必ず木材を使用します。 木材は経年とともに「腐れ」が生じてしまうことがありますが、その原因となるのが「木材腐朽菌」です。 「木材腐朽菌」には種類があり、そして一定の環境にあると発生する特徴があります。 また、木材の「腐れ」は、見た目を悪くさせるだけでなく、耐久性を著しく低下させる原因となるため十分に注意しなくてはなりません。 そこで本記事では、木材腐朽菌とはどのようなものなのか、その種類や特徴などについて詳しく解説したいと思います。


木造住宅はもちろんのこと、鉄骨造やRC造でも必ず木材を使用します。
木材は経年とともに「腐れ」が生じてしまうことがありますが、その原因となるのが「木材腐朽菌」です。

「木材腐朽菌」には種類があり、そして一定の環境にあると発生する特徴があります。
また、木材の「腐れ」は、見た目を悪くさせるだけでなく、耐久性を著しく低下させる原因となるため十分に注意しなくてはなりません。

そこで本記事では、木材腐朽菌とはどのようなものなのか、その種類や特徴などについて詳しく解説したいと思います。

木材腐朽菌とはなに?

木材腐朽菌とは、木材の腐れを引き起こす菌のことであり、シイタケやエノキなどのキノコと同じ仲間となります。
木材腐朽菌には、以下の種類があります。

  • 褐色腐朽菌
  • 白色腐朽菌

褐色腐朽菌

褐色腐朽菌は、住宅建材としてよく使われている針葉樹をおもに腐朽します。
褐色腐朽菌の特徴は、腐れが進行すると茶褐色に変色すること、表面に亀裂が生じて手でつかむと粉状になることなどです。

白色腐朽菌

白色腐朽菌は、広葉樹をおもに腐朽します。
白色腐朽菌の特徴は、腐れが進行すると白色に変色すること、木材に豆粒ほどの穴が多くできることなどです。

木材腐朽菌の特徴

木材腐朽菌は、木材の腐れを引き起こします。
木材を構成する成分は、大きく「セルロース」「ヘミセルロース」「リグニン」になりますが、木材腐朽菌は、これらを分解して栄養源とします。

その結果、木材は質量を大きく減らすことにより、著しく耐久性を低下させるため、十分な注意が必要です。
とくに木造住宅の柱や梁など重要構造が腐朽することがあると、建物寿命に大きな影響を与える原因にもなります。

ちなみに、木材に含まれる「セルロース」「ヘミセルロース」「リグニン」などの成分は分解することが非常に難しく、その他多くの菌はこの分解能力を有していません。
また、シロアリも「セルロース」を分解し、栄養源としていますが、シロアリの場合は体内にいるバクテリアなどの力を借りることで分解を可能としています。

木材腐朽菌には対策が必要

木材腐朽菌が発生し、それを放置すると、建物の耐久性に影響するため、適切な対策が必要となります。
適切な対策とは、木材腐朽菌にとって都合のよい環境をつくらないことが重要になります。

木材腐朽菌対策:水分を供給しない

まず、効果的な木材腐朽菌対策として有効なのは、「水分を供給しない」ということです。
木材腐朽菌が生育するには、以下の通り、大きく4つの条件が必要となります。

  • 酸素
  • 適温
  • 栄養
  • 水分

これらのうち、酸素と温度については、基本的に対策しようがありません。
そして、木材腐朽菌にとって栄養分となるのは木材であり、住宅には多くの木材が使用されています。

そのため、これらのうち対策できるものといえば、水分のみとなります。
つまり、水分を供給しないようコントロールすることが、最も効果的な対策となるわけです。

建物内部に水分が供給されるケースとは、雨漏りや水漏れ、結露などが考えられますが、これら症状がある場合はできるだけ早期に対処することがポイントとなります。

木材腐朽菌対策:換気を妨げない

続いて、効果的な木材腐朽菌対策として有効なのは、「換気を妨げない」ということです。
床下など、日光が射し込まないような場所は、湿気がこもりやすく、通気口を通じて換気することが重要になります。

要するに、湿気を多く含んだ空気を外部へ排出することで、床下空間の湿度低下を図れるようになるわけです。
そのため、室外機や物置などで通気口を塞がないよう、配慮することがポイントとなります。

まとめ

木材腐朽菌は、住宅の耐久性を損なう原因となるため、生育しにくい環境をつくることが重要です。

そして、木材腐朽菌と同様に気を付けておきたいものにカビがあります。
カビは、木材腐朽菌のように木材の強度低下につながることはありませんが、飛散する胞子を吸い込むと、アレルギー疾患など健康に影響を与えることがあります。

また、カビが生育する条件も「酸素」「適温」「栄養」「水分」の4つです。
そのため、建物にとって「水分」は大敵であり、できるだけ供給しない環境づくりが重要なのです。

関連するキーワード


住宅 施工管理

関連する投稿


【新しい生活様式】工事現場における夏のマスク対策とは?

【新しい生活様式】工事現場における夏のマスク対策とは?

新型コロナウィルスの爆発的な流行により、私たちの生活は大きな変化を余儀なくされました。感染防止を防止することを目的とする「新しい生活様式」は、全員で取り組むべきことであり、また当然ながら建設業界にも求められます。しかし、工事現場において気温が高くなる時期は、コロナ感染だけでなく熱中症リスクにも気を付けなければなりません。というのも、建設業では熱中症による労働災害がきわめて多いためです。また「新しい生活様式」ではマスクの着用が基本となりますが、工事現場においては熱中症リスクを高めてしまう可能性も懸念されています。そこで本記事では「新しい生活様式」の基本であるマスク着用を工事現場ではどのように対応するべきなのかご紹介したいと思います。


施工管理は何歳までできる仕事?高齢者でも大丈夫?

施工管理は何歳までできる仕事?高齢者でも大丈夫?

建設業界の仕事は、「体力が必要で、高齢者にとってはきついのでは?」というイメージを持つ人もいるのではないでしょうか? 確かに、高齢化にともない筋力や視力の衰えなど身体機能の低下による影響が出てくることは、安全面で不安な部分が生じてくる可能性があります。 しかし一方で、業界の著しい高齢化に対応するべく、高齢者へ配慮された現場の環境づくりは徐々に進んでいます。 では、施工管理の仕事は何歳までできる仕事なのでしょうか?また高齢者でもできるのでしょうか? そこで本記事では、施工管理はいったい何歳までできる仕事で高齢者でも可能なのか、ご紹介したいと思います。


【建設業のヒヤリハット】認識する重要性と事例をご紹介!

【建設業のヒヤリハット】認識する重要性と事例をご紹介!

建設業界の労働災害は、減少傾向にあるとはいえ他の産業と比べても多く発生しています。 また、工事現場で作業に従事する人は、労働災害にいたらないまでも「ヒヤリ」としたり「ハッ」としたりといった経験は少なからずあるでしょう。 このような、つい見過ごしてしまいがちな「ヒヤリハット」を認識し、危険の芽を摘み取ることが労働災害を防止するうえで重要になります。 そこで本記事では、建設業界の「ヒヤリハット」を認識することの重要性について、事例を交えながらご紹介したいと思います。


住宅ローンの定番「フラット35」とは?特徴や銀行ローンとの違い

住宅ローンの定番「フラット35」とは?特徴や銀行ローンとの違い

住宅を購入する際、多くの人が利用する住宅ローンですが、なかでも定番といえるのは「フラット35」になるでしょう。 「フラット35」の最大の特徴は「固定金利型」であることです。 「固定金利型」であることで、借り入れの時点で返済金額がわかり、また計画も立てやすくなります。 また、この他にも民間銀行が取り扱う住宅ローンとは異なる特徴があるため、知識として理解しておくとよいでしょう。 そこで本記事では、「フラット35」の特徴や銀行ローンとの違いについて徹底解説したいと思います。


【住宅建築の基礎知識】セメント、モルタル、コンクリートの違いとは?

【住宅建築の基礎知識】セメント、モルタル、コンクリートの違いとは?

住宅建築においては、非常に多くの建材が使われています。 なかでも「セメント」「モルタル」「コンクリート」については、必ず使用されるポピュラーな建材となります。 しかし、これらがどのような建材なのか、またそれぞれの違いがよくわからないという人もいるのではないでしょうか? そこで本記事では、「セメント」「モルタル」「コンクリート」について、それぞれの特徴の違いなどを徹底解説したいと思います。


最新の投稿


住宅会社における事務職の種類(総合・技術・営業)

住宅会社における事務職の種類(総合・技術・営業)

事務職はどの会社でも必要な業務を担う重要な仕事です。事務がいることで他の実務が円滑に進みます。住宅会社での事務は、実は様々な業務があります。住宅工事がとても複雑であるだけでなく、営業、施工外注、不動産など様々な業者、お客様とやりとりをするため、連絡だけでも煩雑になります。住宅会社での事務はどのような仕事を行なっているのでしょうか?この記事では大きく3つに分けてご紹介いたします。


【おすすめ資格5選】住宅会社の事務員に役立つ資格はどれ?

【おすすめ資格5選】住宅会社の事務員に役立つ資格はどれ?

事務員が有能であれば、仕事も非常に捗ります。住宅会社の事務としてレベルアップを図りたいという方も多いと思います。しかしただ建築士の免許を取っても、設計士や施工管理技士になるわけではないため、あまり実務では必要とされないかもしれません。そこで、事務として取得してレベルアップになる資格についてご紹介いたします。


住宅設計士は現場を知らない!?迷惑な設計士にならない方法

住宅設計士は現場を知らない!?迷惑な設計士にならない方法

住宅設計士は、建築士の資格も持ち、住宅建築の専門家です。しかし、実態としては工事現場の状況や、具体的のどのように工事が進んでいくのかをほとんど理解していない設計士も多いです。設計士は設計が仕事であって、現場見学を何日も行ったり、積極的に現場にくる方というのは少ないです。現場は、現場監督や職人が管理するもので、設計士は行く必要がないと考えている人が多いです。ただ、このような設計士は一般的に現場では迷惑で嫌われます。このような嫌われる特徴、そうならないためにどのような仕事をすれば良いのかをご紹介いたします。


住宅設計士はこれを読め!おすすめ本6選

住宅設計士はこれを読め!おすすめ本6選

住宅設計士は常に新しい情報を取り入れつつ、歴史的建築物などの知識も豊富であることが提案力を身につけるために必要です。設計士として読んで良かった書籍を6つご紹介いたします!本を読む際に、実際に仕事でどのように活かせるのかを考えながら取り入れていきましょう。資格の勉強のようにただ覚えるのではなく、どのようにアウトプットするかが大事です。


【設計者の道】住宅設計の失敗事例|ヒアリング不足・スキル不足

【設計者の道】住宅設計の失敗事例|ヒアリング不足・スキル不足

住宅設計は明らかな失敗というのは、不良設計くらいで、多少のトラブルなどは施工でカバーするなどしてそこまで問題になることはありません。万が一工事途中で変更せざるを得ないときでも、設計を途中変更して完成まで持っていきます。しかし設計者として大事なのは、細かい失敗にどれだけ気づくことができるかです。もっと良くできた、こうすればよかったと後から気づくことができて成長します。決して失敗した住宅を建てているわけではなく、更なる成長のための気づきです。この記事では、具体的な事例などをご紹介していきます。