耐震等級とは、品確法により定められた住宅性能の表示方法の一つ
従来、住宅の性能については消費者にとってよくわからないものとなっていました。今でもハウスメーカーによってどの技術が良いのかなど素人にはよくわからないものが多くあります。そこで品確法により消費者にとっても分かりやすく住宅性能について表示することが定められました。この住宅表示制度の性能分野において10項目のうち「構造の安定」という項目を耐震等級で表示しています。
*耐震基準について
1950年から旧耐震基準が適用されていたものが、1987年の宮城県沖地震による被害を受け1981年に新耐震基準が施行されました。そして1995年の阪神淡路大震災による被害を受け、新耐震基準では不足していると考慮された部分の改正がなされました。2000年に改正され、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(品確法)が施行されました。
耐震等級の違い(どの等級も人命は確保される想定となっている)
耐震等級は1から3まであり、3が一番高い等級となっています。簡単にざっくりと説明すると耐震等級1は震度6~7の大きい地震によって、家屋の倒壊は起きないとされています。つまり、家屋が倒壊することにより人命が失われる事態は避けられるであろうということです。耐震等級が2以上になると震度6~7の大きい地震によって、建物の損傷度合いが軽減されることを想定されたものです。では詳しくみてみましょう。
■<耐震等級1>
建築基準法で定められている最低限の耐震性能を満たす水準です。数百年に1度の地震(震度6-7程度の阪神淡路大震災など)が起きても、建物が倒壊しない程度になります。数十年に1度の地震(震度5程度)は住宅が損傷しない程度となっています。
つまり、震度6~7の地震によって建物倒壊による人命被害は出ないと想定されるが、建物の損傷は受ける可能性があります。損傷を受けた場合、大規模な改修工事が必要になる場合があります。
■<耐震等級2>
耐震等級1の1.25倍の地震に耐えられる耐震性能を示すものです。「長期優良住宅」という認定にはこの耐震等級2以上が必要になります。学校や避難所に指定される建造物は耐震等級が2以上になります。
■<耐震等級3>
耐震等級1の1.5倍の耐震性能を示すものです。震度6~7の大きな地震によってもほとんど損傷を受けない程度を意味しています。消防署や警察署などの防災施設はこの耐震等級3の建造物となっています。
地震後の生活を維持するためには耐震等級2以上
耐震等級1での新耐震基準をクリアした建物のため、地震に対して不安になる必要はありません。しかし、大きな地震が起きた際に大規模な改修工事もしくは建て替えなどが必要になる場合があります。震災後に住むことができなくなる場合があるため、耐震等級2以上であればその危険性も回避できる確率が高くなります。
<地震保険の割引>
耐震等級が表示されている家屋は地震保険の割引が適用されます。このような制度も加味して、実際に住む住宅の耐震等級を検討することも重要です。
耐震等級1は10%オフ、耐震等級2は30%オフ、耐震等級3は50%オフとなります。
耐震性の高い住宅は、主に4つのポイントからなる
1. 建造物の重さが軽い方が耐震性が高い
2. 耐力壁(筋交いなどで補強された壁)が多い方が耐震性が高い
3. 構造材を補強する金物の設置
4. 建物の区画(床の水平構面、上下階の位置)
これらのことを知っていれば、住宅が耐震等級が高いかどうかで、どのような構造をした家屋なのかが想像できるようになります。
まとめ
耐震性能が高ければ安心に越したことはありませんが、その分コストもかかります。住む人の将来設計や住む場所の近くの避難所など、災害についてリスクを考えトータルに検討して住宅性能を選択する必要があります。地震保険に加入すれば、地震による改修工事の費用もある程度工面できます。一方で、震度6以上の地震が100年に1度ではなく10年に1度程度の頻度で起こっています。地震による被害を改修工事するお金があっても、改修工事をすることでその期間は生活に負担がかかります。このように様々な事態を想定して住宅を検討する必要があるため、このように一つ一つの用語を理解することが大切です。少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。
※この記事はリバイバル記事です。