中古住宅買取再販事業とは?住宅業界の動向を知ろう

中古住宅買取再販事業とは?住宅業界の動向を知ろう

中古住宅買取再販事業が近年注目され始めています。個人でも行なっている方がいましたが、不動産業者やハウスメーカーも参入するようになってきています。中古住宅をそのまま仲介売買に出すのではなく、比較的低い金額で不動産会社やハウスメーカーに売り、業者がリフォームを行い再版するという仕組みです。従来の仲介では、ニーズマッチができない物件の場合には長く市場に放置されてしまうというのが問題でしたが、リフォームすることでニーズを合わせた商品として販売することができ売買がスムーズになります。この記事では、中古住宅買取事業についてわかりやすくご紹介いたします。


中古住宅買取再販事業とは

中古住宅買取再販事業とは、中古住宅を不動産屋やハウスメーカーなどがリフォーム前提で買取し、売主となってその住宅を販売することを言います。不動産仲介事業と違う点は、仲介の場合には売主は中古住宅の持ち主ですが、再販の場合は持ち主が不動産屋などになるということです。

中古住宅買取再販事業の収益は、中古住宅の仕入れ値とリフォーム後の販売価格の差となります。例えば中古住宅を2000万円で仕入れて、500万円をかけてリフォームを行い、3000万円で販売を行なった場合には、3000-(2000+500)= 500万円の利益となります。
一方、仲介事業の場合には、不動産屋などは3000万円の物件を売買するとその仲介手数料が利益となります。

仲介ではなく、再版として扱うことは一見あまり変わらないように見えますが、中古住宅としてそのまま販売しても売れ残ってしまうような物件は、再版の方がスムーズに売買が進むようになります。よりわかりやすくするために、メリットデメリットについてご紹介いたします。

売主のメリットデメリット

売主側にはどのようなメリットデメリットがあるでしょうか?物件によって、仲介に出すか再販に出すかを決めるポイントです。

(メリット)
・早期の現金化が可能
買い手を見つけるまで待つ必要がなく、住む人が見つからなくてもまずは企業に買い取ってもらうことができます。そのため入居までの手続きなどを待たずとも現金化することができ、そのまま中古市場に出しても売れ残ることが予想される場合にはメリットが大きいです。

・契約不適合責任を負う必要がない
売主は買主に対して、物件引き渡し後に欠陥があった場合に損害賠償やリフォーム費用などを負担する必要があります。しかし、再販の場合には持ち主が不動産会社などであるため、これらの責任を負う必要がなく、売主にとってリスクが少なく済みます。

(デメリット)
・売却金額は低い
住み手が見つかっていない状態での売却になるため、不動産会社などにとってもリスクがあります。また、リフォームを前提としているためそれらの費用を差し引いた金額での買取となります。一般的には中古住宅相場よりもかなり低い金額となってしまうため、できるだけ高く売りたいという方にとっては利用しにくいです。

買主(不動産、メーカーなど)のメリットデメリット

買主(ここでは、不動産屋やハウスメーカーなど)にとってのメリットデメリットはどのようなものでしょうか?仲介だけではなく、再販業を行うことはどのような利点があるでしょうか。

(メリット)
・仲介で放置される物件も売れるようになる
不動産屋にとって、仲介業としていつまでも売れ残ってしまうものがあります。これらを再販として扱うことで、スムーズな取引が可能となり、商品の回転率が良くなります。売れない物件をいつまでも扱っていると管理も面倒で、売れない物件を紹介し内見などの手間を重ねることは会社にとって負担となってしまうためです。

・ニーズに合わせた商品に変えることができる
リフォームを行うことで、その土地や地域柄に合わせてニーズに合わせた物件に作り替えることができます。仲介の場合には、物件所有者である個人の方が売買のためにリフォーム費用を負担することは中々できないため、再販の方がメリットがあります。

・利益率が上がる
仲介手数料よりも、再販を行なった場合の方が仕入れ値と販売価格の差額が大きくなり、利益率が上がります。

(デメリット)
・仕入れコストの負担
仲介の場合には、コストはほとんどかかりませんが、再販の場合には仕入れコストが大きく負担となります。

・売れないリスクもある
再販がうまく行かずに、リフォームを行っても売れ残ってしまうというデメリットがあります。

ハウスメーカーも参入してきている

中古住宅買取再販の取り扱い件数は、2015年には約2.5万件であったものが2019年には約4万件と大幅に増えてきています。ハウスメーカーが事業として参入し、リフォームの技術やブランド力をうまく活用し、再販事業を拡大しようとする動きが出てきています。パナソニックホームズなどは、2030年までに売上高350億円を目指して新規参入を行なっています。

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