地震対策の主な3つの技術
震度7以上の大きな地震により多くの死者が出ています。古い家屋などの場合、地震対策がなされていないため全壊・半壊などにより多くの被害が出てしまいます。そこで建築基準法等により耐震性能の基準が設けられています。この耐震性能を実現しているのが大きく分けると3つの技術、耐震・制震・免震になります。どれも地震対策の技術なのですが、詳しくみていくと全く違う技術になります。
■耐震技術について
地震の横揺れに耐性を持つように作る技術になります。一般的にイメージされる地震対策で、建物が揺れることによる倒壊を防ぐために、建物の強度を上げることです。どれだけ建物が揺れても倒壊しない強度を持たせるということです。具体的には耐力壁という建物の強度を上げる壁を内部構造に配置することで耐震性を上げることができます。耐力壁は筋交いといって対角線上に補強材を内部壁に設置することで、揺れに対する強度をあげた壁になります。この耐力壁がどの程度住宅にあるかで耐震性が判断されます。また、金物などで木と木を接合することで強度を上げる方法も建築基準法で行うように定められています。
■制震技術について
制振装置により地震のエネルギーを抑制する技術になります。簡単にイメージできるもので、車のサスペンションなどの振動抑制装置のようなものになります。住宅の内部構造に設置することで、躯体の地震による揺れを緩衝するような働きをします。オイルダンパー、ゴムダンパーなど様々な種類があります。スカイツリーなどの高層ビルなどで採用されている技術になります。高層階になるほど地震の揺れは大きくなるため非常に有効な技術になります。近年では一般住宅にも使用されるようになってきています。
■免震技術について
地盤と基礎が揺れても、建物は揺れない構造にする技術のことです。地盤と建物の間に免震装置を入れることで、地盤と建物を絶縁状態にします。これにより地震の揺れが直接建物に伝わらなくなります。建物が揺れることを防ぐためのもので、耐震や制振技術よりも揺れを防ぐことができます。
各技術のメリット・デメリット
・耐震技術
一般的に採用されている技術で、コスト面や工期で優れています。しかし、地震の揺れを直接伝えてしまうため、揺れを一番そのほかの技術より感じます。家具なども揺れるため地震により何かしらの損傷を受ける可能性があります。
・制振技術
耐震技術より地震対策としては優れています。また、コスト面では耐震技術よりもかかるが、免震技術よりは低コストという特徴があります。
・免震技術
地震対策の技術としては一番優れています。コスト面でかなり不利で一般木造住宅への導入は300~600万円かかると言われています。施工業者もまだ少ないようです。
耐震技術の向上と建築基準の改正
これだけの耐震技術の向上は、建築基準法の改正の歴史も大きく関わっています。1950年から旧耐震基準が適用されていましたが、1978年に宮城県沖地震が発生し、家屋の全壊1,183棟、半壊5,574棟、死者28名、負傷者1,325名の被害がありました。これにより旧耐震基準では不十分であると判断し、1981年に新耐震基準が施行されました。旧耐震基準では震度5程度を想定されたものでしたが、新耐震基準により震度7程度の地震を想定した基準になりました。
そして2000年にはまた改正が行われ、さらに厳しい耐震基準が設置されました。1995年に阪神淡路大震災が発生し、家屋の全壊104,906棟、半壊144,274棟、死者6,434名の被害があったことを受けてになります。
今まで以上の大きい地震が来てから技術を開発していては、被害は防げません。そのためハウスメーカー、各研究機関などは様々な地震対策技術を研究開発しています。それと同時にコストがあまりにも高くなってしまっては導入されないため、コストを抑えながらも地震対策を十分に確保できる技術が求められています。
まとめ
地震が多い日本でまだまだ新耐震基準を満たしていない建物も多く建っています。新築などの場合は基準を満たしていますが、築年数の経過した建物は耐震改修を施されていない建物が多く存在します。そのため地震対策の補助金なども国の制度があります。耐震・制振・免震とこれらの技術の違いを知ることは、これからの地震に対する備えにも役立ちます。これからの住宅業界でどのような地震対策がされている家屋が建っているのか把握していきましょう。少しでも皆様のお役に立てる情報であれば幸いです。
※この記事はリバイバル記事です。