住宅建築には、さまざまな工法が用いられます。
なかでも「ツーバイフォー住宅」は、他の工法よりも地震に強いという話を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか?
というのも、過去に起こった大地震において、「ツーバイフォー住宅」が倒壊を免れたという報告が多かったことが大きな理由かもしれません。
では、「ツーバイフォー住宅」は、実際に地震に強い住宅なのでしょうか?
また、日本の伝統的な工法である在来工法と比べると、地震に対してどちらが有利なのでしょうか?
そこで本記事では、「ツーバイフォー住宅」は地震に強い住宅なのか、在来工法の住宅と比較しながら徹底解説したいと思います。
ツーバイフォー工法と在来工法の違い
木造住宅には、いくつかの工法が存在します。
なかでも代表的なものとして挙げられるのがツーバイフォー工法と在来工法です。
これらの違いについて簡単に解説いたします。
■ツーバイフォー工法とは
ツーバイフォー工法とは、19世紀にアメリカで生まれた、木造住宅で用いられる工法です。
角材と合板を使ってパネル化し、そのパネル材を組み合わせることで、床や壁、屋根などの構造をつくります。
このときに使用する角材の多くが、2インチ×4インチのサイズであることから、ツーバイフォー工法と呼ばれています。
比較的単純な構造であり、それほど高度な技術を必要としないため、誰が施工しても品質にバラつきが生じにくいことが特徴です。
■在来工法とは
在来工法は、日本の住宅で最も多く採用されている工法であり、正しくは「木造軸組工法」といいます。
柱や梁、筋交いなど、主要な木材を組み合わせながら構造をつくります。
古くから広く普及している優れた工法ですが、ツーバイフォー住宅と比べて施工が難しく、品質にバラつきが生じるケースがあることが特徴です。
ツーバイフォー住宅は地震に強い?
ツーバイフォー住宅は、パネル化した材料を組み合わせてつくるため、地震の揺れを「面」で支える構造となります。
よって、ツーバイフォー住宅は、建物全体で揺れに抵抗できる、地震に対して強い構造といえます。
また、構造自体も単純であることから、住宅ごとに性能面で大きな差が生じにくいことも利点といえるでしょう。
在来工法の耐震性について
ツーバイフォー工法で建築した住宅は、比較的安定した耐震性が得られる構造です。
しかし、在来工法で建築した住宅が耐震性に劣るのかといえば、けしてそうではありません。
なぜなら、大地震が起こるたびに住宅の耐震基準は見直されており、現行の耐震基準で建築した住宅は優れた耐震性が期待できるためです。
そもそも在来工法は、柱や梁、筋交いなどを組み合わせてつくるため、地震の揺れを「線」で支える構造となります。
よって、古い耐震基準でつくられた住宅は、柱や梁、筋交いなどの接合部に強い力が加わり、支え切れなくなると倒壊するケースも見られました。
しかし、「阪神・淡路大震災」を受けて行われた2000年の耐震基準改正では、地盤に応じた基礎設計や接合金物の取り付け、耐力壁の配置など、木造住宅の性能強化が図られています。
そのため、現在建てられている木造住宅は、工法に関係なく耐震性に大きな差はなくなっているのです。
ただし、2000年の改正耐震基準よりも以前に建てられた木造住宅については、ツーバイフォー工法のほうが耐震性では有利といえるかもしれません。
なお、住宅の耐震性に関する内容は、「【住宅建築の基礎知識】住宅の耐震性能はどこでわかる?」の記事を参考にしてください。
住宅の地震に対する強さは耐震性能強化だけではない
地震に強い家づくりは、構造として耐震性を強化することが基本となりますが、長期的にはそれだけで十分とはいえません。
なぜなら、住宅は経年とともに劣化し、著しく進行するようなら建物強度が損なわれるためです。
とくに注意しておきたいのは「雨漏り」になります。
「雨漏り」は、多くの住宅で発生する現象ですが、木材の腐れを引き起こし、耐久性を低下させる大きな原因のひとつです。
「雨漏り」を防止するには、定期的なメンテナンスが必要であるため、建てて終わりではなく長期的な視点で管理していくことが重要になります。
まとめ
ツーバイフォー住宅は、地震に強いといえます。
ただし、現行の耐震基準で建てられた住宅であれば、工法に関わらず耐震性に大きな差はないと考えられます。
よって、現在において、地震に強いのはツーバイフォー住宅だけではなく、その他の工法においても当てはまるということです。