【住宅建築の基礎知識】ツーバイフォー住宅は地震に強いのか徹底解説

【住宅建築の基礎知識】ツーバイフォー住宅は地震に強いのか徹底解説

住宅建築には、さまざまな工法が用いられます。 なかでも「ツーバイフォー住宅」は、他の工法よりも地震に強いという話を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか? というのも、過去に起こった大地震において、「ツーバイフォー住宅」が倒壊を免れたという報告が多かったことが大きな理由かもしれません。 では、「ツーバイフォー住宅」は、実際に地震に強い住宅なのでしょうか? また、日本の伝統的な工法である在来工法と比べると、地震に対してどちらが有利なのでしょうか? そこで本記事では、「ツーバイフォー住宅」は地震に強い住宅なのか、在来工法の住宅と比較しながら徹底解説したいと思います。


住宅建築には、さまざまな工法が用いられます。

なかでも「ツーバイフォー住宅」は、他の工法よりも地震に強いという話を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか?
というのも、過去に起こった大地震において、「ツーバイフォー住宅」が倒壊を免れたという報告が多かったことが大きな理由かもしれません。

では、「ツーバイフォー住宅」は、実際に地震に強い住宅なのでしょうか?
また、日本の伝統的な工法である在来工法と比べると、地震に対してどちらが有利なのでしょうか?

そこで本記事では、「ツーバイフォー住宅」は地震に強い住宅なのか、在来工法の住宅と比較しながら徹底解説したいと思います。

ツーバイフォー工法と在来工法の違い

木造住宅には、いくつかの工法が存在します。
なかでも代表的なものとして挙げられるのがツーバイフォー工法と在来工法です。
これらの違いについて簡単に解説いたします。

ツーバイフォー工法とは

ツーバイフォー工法とは、19世紀にアメリカで生まれた、木造住宅で用いられる工法です。
角材と合板を使ってパネル化し、そのパネル材を組み合わせることで、床や壁、屋根などの構造をつくります。

このときに使用する角材の多くが、2インチ×4インチのサイズであることから、ツーバイフォー工法と呼ばれています。
比較的単純な構造であり、それほど高度な技術を必要としないため、誰が施工しても品質にバラつきが生じにくいことが特徴です。

在来工法とは

在来工法は、日本の住宅で最も多く採用されている工法であり、正しくは「木造軸組工法」といいます。
柱や梁、筋交いなど、主要な木材を組み合わせながら構造をつくります。

古くから広く普及している優れた工法ですが、ツーバイフォー住宅と比べて施工が難しく、品質にバラつきが生じるケースがあることが特徴です。

ツーバイフォー住宅は地震に強い?

ツーバイフォー住宅は、パネル化した材料を組み合わせてつくるため、地震の揺れを「面」で支える構造となります。
よって、ツーバイフォー住宅は、建物全体で揺れに抵抗できる、地震に対して強い構造といえます。

また、構造自体も単純であることから、住宅ごとに性能面で大きな差が生じにくいことも利点といえるでしょう。

在来工法の耐震性について

ツーバイフォー工法で建築した住宅は、比較的安定した耐震性が得られる構造です。

しかし、在来工法で建築した住宅が耐震性に劣るのかといえば、けしてそうではありません。
なぜなら、大地震が起こるたびに住宅の耐震基準は見直されており、現行の耐震基準で建築した住宅は優れた耐震性が期待できるためです。

そもそも在来工法は、柱や梁、筋交いなどを組み合わせてつくるため、地震の揺れを「線」で支える構造となります。
よって、古い耐震基準でつくられた住宅は、柱や梁、筋交いなどの接合部に強い力が加わり、支え切れなくなると倒壊するケースも見られました。

しかし、「阪神・淡路大震災」を受けて行われた2000年の耐震基準改正では、地盤に応じた基礎設計や接合金物の取り付け、耐力壁の配置など、木造住宅の性能強化が図られています。
そのため、現在建てられている木造住宅は、工法に関係なく耐震性に大きな差はなくなっているのです。

ただし、2000年の改正耐震基準よりも以前に建てられた木造住宅については、ツーバイフォー工法のほうが耐震性では有利といえるかもしれません。

なお、住宅の耐震性に関する内容は、「【住宅建築の基礎知識】住宅の耐震性能はどこでわかる?」の記事を参考にしてください。

住宅の地震に対する強さは耐震性能強化だけではない

地震に強い家づくりは、構造として耐震性を強化することが基本となりますが、長期的にはそれだけで十分とはいえません。
なぜなら、住宅は経年とともに劣化し、著しく進行するようなら建物強度が損なわれるためです。

とくに注意しておきたいのは「雨漏り」になります。
「雨漏り」は、多くの住宅で発生する現象ですが、木材の腐れを引き起こし、耐久性を低下させる大きな原因のひとつです。

「雨漏り」を防止するには、定期的なメンテナンスが必要であるため、建てて終わりではなく長期的な視点で管理していくことが重要になります。

まとめ

ツーバイフォー住宅は、地震に強いといえます。
ただし、現行の耐震基準で建てられた住宅であれば、工法に関わらず耐震性に大きな差はないと考えられます。

よって、現在において、地震に強いのはツーバイフォー住宅だけではなく、その他の工法においても当てはまるということです。

関連するキーワード


住宅 新築工事

関連する投稿


工事請負契約書とは?住宅営業は全て理解しよう!

工事請負契約書とは?住宅営業は全て理解しよう!

工事請負契約書は、住宅営業にとって、成績を左右する一番大事な書類です。お客様の前で新人営業マンは、よくわからずに上司と一緒にお客様に書いてもらうこともあるのではないでしょうか。工事請負契約書は、お客様との取引の上で一番大事な書類です。それにもかかわらず、実は内容を全て理解していないという営業マンも、もしかしたらいるのではないでしょうか?この記事では、工事請負契約書というものが、どのようなものかをわかりやすくご紹介いたします。


【強みを伝える】住宅営業が失敗する、自社商品の知ったつもり

【強みを伝える】住宅営業が失敗する、自社商品の知ったつもり

住宅営業は、他者と相見積もりなどで競合することが多いです。お客様は、メーカーや工務店などの様々な選択肢の中から1社を選びます。お客様の事前知識やイメージで1社に決めていることや、ほとんど決定している場合もありますが、営業の言葉だけでその決定が覆ることもあります。上司から、「他者に負けるな!」と言われつつも、どう営業をすれば良いのか、自社商品と他社商品の違いも知っているけど、それを活かせているかわからないという方もいらっしゃると思います。この記事では、住宅営業が自社商品をどのようにお客様にアピールすれば良いか、そのポイントについてご紹介いたします。


【施工管理なら知っておきたい】工事現場に仮囲いをする目的とは?

【施工管理なら知っておきたい】工事現場に仮囲いをする目的とは?

住宅の新築工事は、周囲に「仮囲い(かりがこい)」と呼ばれるフェンスを設置して行うことが一般的です。 「仮囲い」は、工事を進めるうえで重要な目的があり、とくに施工管理者は万全な計画を立てて確実に設置する必要があります。 では工事期間中に設置する「仮囲い」の重要な目的とはどのようなことでしょうか? また必ず設置しなくてはならないものなのでしょうか? そこで本記事では、施工管理者が知っておきたい工事現場に設置する「仮囲い」の目的について、詳しく解説したいと思います。


【住宅事務必見!】ビジネス書類の作り方|ポイント解説

【住宅事務必見!】ビジネス書類の作り方|ポイント解説

事務の仕事で、文書作成で頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか?文書を手紙などで書くこと習慣もなくなってきて、ましてやビジネス用になると何を書けば良いのか、言葉遣いや、書いてはいけない文言はないかなど、気にし出すと手が付けられないとなってしまった経験もあるのではないでしょうか。この記事では、ビジネス書類の作り方のポイントをわかりやすく簡単にご紹介いたします。


【PC初心者】住宅事務の基礎スキルまとめ

【PC初心者】住宅事務の基礎スキルまとめ

住宅事務に転職しようと考えている方は、事務職としてどのようなスキルが必要かについて悩まれる方もいるかと思います。しかし特別なスキルを必要としている企業は少ないです。住宅事務に必要なスキルは、初歩的なPCスキルで十分です。住宅関係の専門知識や、住宅業界特有の仕事内容などは、働いてから簡単に身につくからです。ただし、PCスキルが全くない状態だと、仕事そのものが進まず、仕事とは関係ないPCの操作方法から教えなくてはいけません。せっかく人を雇ったのに、PC教室のような役割を会社がするわけにはいかないのです。この記事では、どの程度のPCスキルが一般的に必要とされているのかについてご紹介いたします。


最新の投稿


工事請負契約書とは?住宅営業は全て理解しよう!

工事請負契約書とは?住宅営業は全て理解しよう!

工事請負契約書は、住宅営業にとって、成績を左右する一番大事な書類です。お客様の前で新人営業マンは、よくわからずに上司と一緒にお客様に書いてもらうこともあるのではないでしょうか。工事請負契約書は、お客様との取引の上で一番大事な書類です。それにもかかわらず、実は内容を全て理解していないという営業マンも、もしかしたらいるのではないでしょうか?この記事では、工事請負契約書というものが、どのようなものかをわかりやすくご紹介いたします。


【強みを伝える】住宅営業が失敗する、自社商品の知ったつもり

【強みを伝える】住宅営業が失敗する、自社商品の知ったつもり

住宅営業は、他者と相見積もりなどで競合することが多いです。お客様は、メーカーや工務店などの様々な選択肢の中から1社を選びます。お客様の事前知識やイメージで1社に決めていることや、ほとんど決定している場合もありますが、営業の言葉だけでその決定が覆ることもあります。上司から、「他者に負けるな!」と言われつつも、どう営業をすれば良いのか、自社商品と他社商品の違いも知っているけど、それを活かせているかわからないという方もいらっしゃると思います。この記事では、住宅営業が自社商品をどのようにお客様にアピールすれば良いか、そのポイントについてご紹介いたします。


【施工管理なら知っておきたい】工事現場に仮囲いをする目的とは?

【施工管理なら知っておきたい】工事現場に仮囲いをする目的とは?

住宅の新築工事は、周囲に「仮囲い(かりがこい)」と呼ばれるフェンスを設置して行うことが一般的です。 「仮囲い」は、工事を進めるうえで重要な目的があり、とくに施工管理者は万全な計画を立てて確実に設置する必要があります。 では工事期間中に設置する「仮囲い」の重要な目的とはどのようなことでしょうか? また必ず設置しなくてはならないものなのでしょうか? そこで本記事では、施工管理者が知っておきたい工事現場に設置する「仮囲い」の目的について、詳しく解説したいと思います。


【現場監督の安全管理】工事現場の「5S活動」とはなに?

【現場監督の安全管理】工事現場の「5S活動」とはなに?

現場監督の重要業務のひとつに安全管理があります。 安全管理は、現場に潜む危険を排除し、安全に作業を進めるための環境をつくることが大きな目的です。 そして、安全な環境づくりにはさまざまなアプローチの方法がありますが、なかでも「5S活動」は効果が高いとして多くの現場で取り組まれています。 では「5S活動」とは具体的にどのような活動なのでしょうか? また、取り組むことでどのような効果が期待できるのでしょうか? そこで本記事では、住宅の工事現場で行う「5S活動」とはどのような活動なのか、そして取り組むことで期待できる効果などについて解説したいと思います。


現場監督が工事現場の近隣トラブルを防ぐためにやっておきたい3つのこと

現場監督が工事現場の近隣トラブルを防ぐためにやっておきたい3つのこと

工事期間中、現場監督がとくに注意しておきたいことといえば「近隣トラブル」です。 いったん「近隣トラブル」が起こると、解決のために奔走しなくてはならないことから、工事に集中して取り組めなくなる恐れがあります。 しかし、現場監督としてやるべきことをしっかりやっておけば、多くの「近隣トラブル」は防ぐことが可能です。 そこで本記事では、「近隣トラブル」を防ぐために現場監督がやっておきたいことについて、とくに重要な3つのことをご紹介したいと思います。


最近話題のキーワード

ハウジングインダストリーで話題のキーワード


新築工事 現場監督 施工管理 住宅 利益 営業 知識 職人 資格