家づくりにおいて、地震のリスクを低減するために建物の耐震性を高めることは重要ですが、地盤の強さを考慮することも大きなポイントとなります。
というのも、地盤が軟弱であれば、地震発生時の揺れを増幅し、より大きな影響を受ける可能性があるためです。
そのため、土地探しをするときには、しっかりと調査することで、適切な地盤改良の実施、あるいは軟弱地盤の回避が可能となります。
そこで本記事では、地震に強い家づくりをするうえで重要な地盤チェックの方法について解説したいと思います。
地震に強い家づくりおける地盤のリスク
日本は地震が頻繁に発生する国であり、過去にも大規模地震によって多くの住宅被害が確認されています。
軟弱地盤の場合、地震が発生すると同じ揺れでも増幅して伝わることがあり、被害が拡大する傾向にあります
この点が、軟弱地盤のリスクです。
■住宅の耐震基準について
過去の大規模地震による住宅被害を受け、住宅建築における耐震基準はたびたび見直されています。
とくに、2000年に行われた改正では、建築前に地盤調査を実施し、状況に応じて地盤改良を行うなど、適切に基礎設計をしなくてはならないことが定められました。
つまり、地震に強い家づくりは、同時に強い地盤づくりをすることが重要なのです。
■地盤調査と地盤改良について
住宅の建築前には、適切な地盤調査を行うことが事実上必須となっています。
地盤調査にはいくつかの方法がありますが、戸建て住宅で行われているのは以下の2つです。
- スウェーデン式サウンディング試験
- ボーリング調査
そして、地盤調査によって地盤の強度が判明し、補強が必要であれば適切な地盤改良工事を行うことになります。
地盤改良のおもな方法とは以下の3つです。
- 表層改良工法
- 柱状改良工法
- 鋼管杭工法
なお、これら地盤調査と地盤改良に関する詳しい内容は「【住宅建築の基礎知識】地盤改良工事を徹底解説!」の記事を参考にしてください。
地盤チェックの方法について
地震に強い家づくりをするうえで、土地選び前の地盤チェックは重要なポイントとなります。
地盤チェックのおもな方法について、以下にご紹介いたします。
■ハザードマップをチェック
ハザードマップとは、自然災害による被害が及ぶ恐れのある地域や避難場所などを示している地図のことで、自治体ごとに作成されています。
また、地震だけでなく、土砂災害や水害の危険性などについても確認することが可能です。
ハザードマップは、自治体のホームページで公開していることが多く、誰にでも手軽にチェックできる方法となります。
■法務局でチェック
法務局では、住所から登記簿を閲覧できます。
そして、登記簿に無い過去の情報については「閉鎖登記簿」をチェックすることで得られる場合があります。
「閉鎖登記簿」で確認しておきたいのは、その土地の用途を示す「地目」です。
「地目」に池や田などの表記がある場合は、歴史的な経緯から地盤が軟弱である可能性があります。
■国土地理院地図でチェック
国土地理院地図とは、国土交通省の機関である国土地理院によって作成されている地図のことです。
そして国土地理院地図では、土地がどのような変遷を辿ってきたのか航空写真で年代別に確認できます。
過去の航空写真を確認し、目的の土地が海や川、池、その他湿地だった場合は、地盤が軟弱である可能性があります。
■地名でチェック
地名には、その土地の特性や過去に起こった災害との因果関係を示すケースも多く見られます。
そのため、沼や池、川、浜など、水をイメージさせるような地名は、地盤が軟弱である可能性があります。
もちろん、これらの地名が軟弱地盤であると断定はできませんが、ひとつの要素として捉え、因果関係を徹底調査してみるのもよいでしょう。
まとめ
地震に強い家づくりを行うには、強い地盤であることも重要な要素となります。
建物の耐震性を確保することも重要ですが、それだけでなく地盤に注目して地震対策を考えることもポイントとなります。
地盤が軟らかい状態で強い建物をつくっても、万が一の地震発生時に地盤沈下してしまうようでは十分とはいえません。
そのため、土地選び前の地盤チェックを行い、必要な対策を講じることが重要なのです。