住宅を建てるうえで、まず行うのは地盤調査です。
地盤調査の結果、地盤が軟弱で建物の重量に耐えられず沈下する可能性があると判定された場合に地盤改良工事を行います。
地盤改良工事にはいくつかの種類があり、地盤の状況によってどの方法を選択するのか決定することになります。
住宅を新築する際に地盤調査は実質的に必要となることからも、住宅業界で働きたいと思う人であれば理解しておく必要があるでしょう。
そこで本記事では、住宅の新築工事における地盤改良工事について、調査方法や工事の種類などをご紹介したいと思います。
着工前の地盤調査について
住宅の新築工事にあたってまず行うのは地盤調査です。
新築住宅では、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」によって、基本構造部分に関する瑕疵担保責任の期間が10年間と定められています。
また、瑕疵担保責任が生じたとき確実に履行されるために、売主に対しては住宅瑕疵担保責任保険への加入、もしくは保証金の供託が義務付けられています。
この住宅瑕疵担保責任保険へ加入するときの要件のひとつに、地盤調査の実施が必要とされていることから、実質的に行わなければならないわけです。
一般的に行われる地盤調査には、以下の通り大きく2つの方法があります。
- スウェーデン式サウンディング試験
- ボーリング調査
■スウェーデン式サウンディング試験
スウェーデン式サウンディング試験は、一戸建て住宅の新築工事で最も行われている方法です。
建築予定の四隅に鉄の杭を地中へねじ込み、その沈み方から地盤の強度にばらつきが生じていないかなどを測定します。
なお、このばらつきは、建物が不揃いに沈む現象「不同沈下」を起こす原因となります。
■ボーリング調査
ボーリング調査とは、地面に穴を掘り、そこにおもりを落下させ一定距離を打ち込むのに要した打撃数から強度を測定する方法です。
また同時に、土のサンプリングを採取して地質を調査します。
地盤改良工事について
地盤調査で得たデータをもとに、地盤改良工事が必要かどうか判定を行います。
地盤が軟弱で改良が必要と判定された場合は、状況に適した方法を選んで地盤改良工事が行われます。
地盤改良工事のおもな方法は、以下の通り大きく3種類です。
- 表層改良工法
- 柱状改良工法
- 鋼管杭工法
■表層改良工法
表層改良工法は、軟弱地盤の深さがおおよそ2m以内の場合に行う方法です。
比較的コストが安く、小型重機で施工できることなどがおもな特徴となります。
工事内容は、軟弱地盤層を掘り、土とセメント系固化材を混ぜ合わせて固めます。
なお、工事完了後には養生期間が必要です。
■柱状改良工法
柱状改良工法は、軟弱地盤が深さ2m以上の場合など表層改良工法で対応できない軟弱地盤で行う方法です。
比較的コストが安く、強固な地盤層(支持層)がなくても施工できる場合があることなどがおもな特徴となります。
工事内容は、地盤を掘削し、地中にセメント系固化材を注入して土と混ぜながら柱状の補強体をつくります。
なお、この工法も工事完了後には養生期間が必要です。
■鋼管杭工法
鋼管杭工法は、軟弱地盤が比較的深くまで及んでいる場合に行う方法です。
他の改良工事と比べるとコストは高くなりますが、重量の大きな建物にも対応できることや、小型重機で施工できることなどがおもな特徴となります。
工事内容は、強固な地盤層(支持層)に到達するまで鋼管杭を打ち込んで支持します。
支持層が深い場合でも、鋼管杭を溶接して接続することが可能です。
なお、表層改良工法や柱状改良工法では工事完了後に養生期間を設ける必要がありますが、鋼管杭工法では不要となります。
まとめ
地盤改良工事は、軟弱な地盤が建物の重さに耐えられるようにするために必要な工事です。
また、柱状改良工法や鋼管杭工法などは、設計計算に基づいて位置が決められています。
しかも、基礎工事が始まると隠れてしまう部分になります。
よって、現場監督は、地盤改良工事後には検査を行い、正しい位置に施工されていることを確認しなくてはなりません。
地盤改良工事は、建物の完成後に暮らす人を支える重要な工程です。
隠れてしまうからとおろそかにならないよう、品質確保に努めましょう。
※この記事はリバイバル記事です。