省エネ住宅の歴史を知ろう!1979年から2050年まで

省エネ住宅の歴史を知ろう!1979年から2050年まで

省エネ住宅というものが、より一般的に広まってきています。その名の通り省エネルギーである住宅というだけでなく、断熱性能などから消費者にとっても住みやすい住宅であることが認知され始めています。実はこの省エネに対する取り組みは、日本では最近始まったことではなく1979年から勧められているものになります。時代に合わせて何度も改正され、どのような歴史があるのか簡単にご紹介いたします。また、2022年において今後の省エネは、どのような方針となっているのかについてご紹介いたします。


初の省エネ法は1979年制定

1979年に省エネ法は、日本で初めて制定されました。これは1973年と1979年に起こったオイルショックが契機となっています。この際には、環境のためにというのもありますが、石油というエネルギー源に頼りきってしまってしまうリスクを考えて省エネという言葉が意識され始めました。

「主な推移」
1979年 省エネ法制定
1983年 改正
1998年 改正
2002年 改正
2005年 改正
2008年 改正
2013年 改正
2015年 建築物省エネ法制定
2021年 改正

度重なる改正により、省エネ基準も厳しくなり、より性能の高い住宅が建設されるようになっています。住宅性能だけでなく、住宅に付随する建材や設備機器においても高い省エネ効果を実現するよう技術が発展しています。

省エネ法は事業者が対象

省エネ法は、基本的には消費者ではなく事業者を対象とした制度になります。消費者に省エネを意識した生活を強制するようなものではありません。事業者側が技術の発展と生産を行わなければ、省エネは国全体として目標を達成できないためです。
例えば、消費者に省エネを義務付けるとすると、4人家族で月のガス、電気使用量が一定ラインを超えると加算金があるなどとなるかもしれません。もちろん今のところはこのような制度はありません。

ここでは住宅について焦点を当てていますが、省エネ法自体は、住宅だけでなく工場・事業場・運輸なども対象となっています。

省エネ住宅の促進事業

省エネ住宅は、今後も様々な制度により促進されていきます。住宅のエネルギー使用量は、1973年から約2倍に増えています。(参考)経済産業省 「我が国の業務部門のエネルギー消費状況」

つまり、住宅の省エネ化も日本全体のエネルギー消費を抑えるために非常に効果的です。省エネ住宅を促進するために様々な取り組みが行われています。

省エネ基準適合義務について

2021年には省エネ基準に住宅が適合しているかを説明することが義務付けられました。(大規模建築物については、適合義務があります)

これは、消費者に対して購入する予定の住宅がどの程度の省エネ性能を持っているのかを購入前に知ることで、自然と省エネ性能の高い住宅が売れるように促すものです。これにより住宅建設会社も省エネ基準に適合した住宅でないと売れにくくなるため、適合した住宅を生産するようになります。

また、2025年には一般住宅に対しても省エネ基準適合義務が課される予定となっています。省エネ基準を満たす住宅は、建築コストがかかってしまうため、それらに対する補助制度も拡充されると予想されます。

補助金や住宅ローン控除

省エネ住宅を促進するために、補助金、住宅ローン控除、減税など様々な制度があります。これらの制度は、消費者が省エネ促進による建築コストの上昇による費用負担を実質的に軽くするためのものです。

こどもみらい住宅支援

こどもみらい住宅支援事業は、子育て支援および2050年カーボンニュートラル実現のため導入された事業です。子育て世帯、若者夫婦世帯の負担軽減や、省エネ性能を有する住宅ストックを形成するためものになります。

・対象者
住宅を取得する子育て世帯または若者夫婦世帯

・条件
注文住宅もしくは新築分譲住宅の購入
所有者自ら居住
土砂災害防止法に基づく、土砂災害特別警戒区域外に立地
住宅の床面積が50㎡以上

・対象期間
2021年11月26日から建築着工まで *新築住宅の場合
こどもみらい住宅事業者の事業者登録以降 *分譲住宅の場合
申請は、2022年10月31日までとなっています。

・省エネ性能別基準ごとの補助金額
ZEH住宅 100万円
認定住宅 80万円
一定の省エネ性能 60万円

新築注文住宅、新築分譲住宅、リフォームなどにも適用されますのでぜひチェックしてみてください。

住宅ローン減税

2022年から制度が改正されました。住宅ローンを組んだ際に、その控除額を所得税や住民税から差し引いてくれる制度で、実質的に住宅ローンの利子負担が少なくなるものです。

・控除期間 13年
・控除率 0.7%
・借入限度額 最高5000万円

借入限度額が、住宅の省エネ性能に準じて異なっています。
<2022-2023年>
長期優良住宅・低炭素住宅 5000万円
ZEH水準省エネ住宅  4500万円
省エネ基準適合住宅    4000万円
その他の住宅       3000万円

<2024-2025年>
長期優良住宅・低炭素住宅 4500万円
ZEH水準省エネ住宅  3500万円
省エネ基準適合住宅    3000万円
その他の住宅         0万円

2024年からは、省エネ基準に満たない住宅は住宅ローン控除の対象とならないため特に注意が必要です。

以上のように、省エネ住宅は当たり前に求められる性能となってきているため、従来の省エネ性能が低い住宅に関しては徐々に淘汰されていくようになります。

関連するキーワード


住宅

関連する投稿


住宅業界で職人として転職するメリットとデメリット

住宅業界で職人として転職するメリットとデメリット

住宅業界へ転職する場合、営業や施工管理、設計などいくつかの職種が選択肢となります。 そして、実際の工事を担当する「職人」もそのひとつです。 ものづくりにおいて、「職人」の存在は欠かせません。 住宅業界でも同様で、まったくなにもない「ゼロ」の状態から建物をつくれるのは、「職人」の技術があることで実現します。 しかし「職人」を職業にするとしてもメリットとデメリットがあるため、その両方を理解したうえで検討することが重要です。 そこで本記事では、住宅業界で「職人」として転職するメリットとデメリットについてご紹介したいと思います。


住宅業界のリペア業とは?資格は必要?

住宅業界のリペア業とは?資格は必要?

住宅の建築工事では着工から竣工まで多くの専門業者が携わりますが、そのひとつに「リペア業」があります。 「リペア業」とは、住宅の建築工事で使用する仕上げ材や家具、設備などについたキズを補修する業者のことをいい、「補修屋」と呼ばれることもあります。 比較的歴史の浅い技術ですが、住宅の建築工事では補修の工程が当たり前に設定されるなど、非常に注目の業種です。 では、「リペア業」の仕事は具体的にどのようなことを行うのでしょうか? また、「リペア業」の技術を習得し活躍するには資格が必要なのでしょうか? そこで本記事では、住宅業界で注目の「リペア業」とはどのような仕事なのか、そして活躍するために資格は必要なのかなど、詳しく解説したいと思います。


【クレーム対策】住宅基礎のクラックは施行不良なの!?

【クレーム対策】住宅基礎のクラックは施行不良なの!?

住宅業界、建築業界はクレーム産業と言われるほどクレームが多いです。クレームが怖くて業界から離れてしまった方や、業界に飛び込みにくいという方もいらっしゃるかもしれません。ただし、しっかりとした知識を身につけて、お客様対応を行なっていればそこまで大きいクレームになることは滅多にありません。そこで、住宅基礎のクラックは、住宅の基盤でもあり、お客様を不安にさせるものです。しかし、実際には化粧モルタルのクラックであり、基礎にはクラックが入っていないことがほとんどです。そういった知識を簡単にわかりやすくまとめましたので、施主様、工事担当者ともに、正しい知識をつけ、クレームに対処しましょう。


コンクリートの品質って何?見た目ではわからない

コンクリートの品質って何?見た目ではわからない

住宅工事において、基礎はコンクリートがどの工法でもほとんど用いられています。そこで、誰しも住宅関係の仕事をしたことがある方は、聞いたことがあるのではないでしょうか?コンクリートにも品質があることを。コンクリートは見た目では、どれもコンクリートであり、それに違いがあるようには見えません。しかし、実際にはコンクリートというものは、材料を現場で混ぜ合わせ、それから固まっていくものです。材料やその配分が悪ければ、コンクリートの性能が全く違うものになります。見た目にはわからずとも、実際に試験を行うと、強度も低くなってしまっているのです。この記事では、コンクリートの品質についてわかりやすくご紹介いたします。


コンクリートの性質まとめ|なぜ住宅に使われているのか

コンクリートの性質まとめ|なぜ住宅に使われているのか

コンクリートは、建築物に最も広く使用されている建材の1つです。大規模な公共物やビル・マンションから一般住宅までありとあらゆる場面で活躍しています。このコンクリートが、なぜここまで汎用性の高いもので、他の建材では普及しない理由は何でしょうか。コンクリートの持つ性質について、さまざまな観点から見ていくことで、コンクリートについての知識を深めていきましょう。コンクリート打ちっぱなしの住宅はもちろん、木造住宅でもコンクリートは基礎として使われています。住宅関係で働く方は、建材についても知識を広く持っておきましょう。


最新の投稿


住宅業界で職人として転職するメリットとデメリット

住宅業界で職人として転職するメリットとデメリット

住宅業界へ転職する場合、営業や施工管理、設計などいくつかの職種が選択肢となります。 そして、実際の工事を担当する「職人」もそのひとつです。 ものづくりにおいて、「職人」の存在は欠かせません。 住宅業界でも同様で、まったくなにもない「ゼロ」の状態から建物をつくれるのは、「職人」の技術があることで実現します。 しかし「職人」を職業にするとしてもメリットとデメリットがあるため、その両方を理解したうえで検討することが重要です。 そこで本記事では、住宅業界で「職人」として転職するメリットとデメリットについてご紹介したいと思います。


住宅業界のリペア業とは?資格は必要?

住宅業界のリペア業とは?資格は必要?

住宅の建築工事では着工から竣工まで多くの専門業者が携わりますが、そのひとつに「リペア業」があります。 「リペア業」とは、住宅の建築工事で使用する仕上げ材や家具、設備などについたキズを補修する業者のことをいい、「補修屋」と呼ばれることもあります。 比較的歴史の浅い技術ですが、住宅の建築工事では補修の工程が当たり前に設定されるなど、非常に注目の業種です。 では、「リペア業」の仕事は具体的にどのようなことを行うのでしょうか? また、「リペア業」の技術を習得し活躍するには資格が必要なのでしょうか? そこで本記事では、住宅業界で注目の「リペア業」とはどのような仕事なのか、そして活躍するために資格は必要なのかなど、詳しく解説したいと思います。


【建設業の転職活動】退職するときに返却するものとは?

【建設業の転職活動】退職するときに返却するものとは?

会社を退職するときには、さまざまな手続きを行わなければなりません。 また、退職後に必要となる書類などを受け取ることも重要ですが、同時に返却しなくてはならないものもあるため注意が必要です。 とくに建設業での返却物は多岐に渡るうえ、適切に返却されなければ場合によっては損害賠償の対象となる可能性もあります。 そうならないためにも、返却が必要なものは事前にチェックしておきましょう。 そこで本記事では、建設業の転職活動において、退職時に返却する必要があるのは具体的にどのようなものなのかご紹介したいと思います。


【住宅建設】新築工事が始まる前に現場監督が行う現地調査とは?

【住宅建設】新築工事が始まる前に現場監督が行う現地調査とは?

現場監督は、あらゆる業務を行わなければなりませんが、「現地調査」もそのひとつです。 「現地調査」とは、工事が始まる前に実際の現場を確認する事前調査のことをいい、新築工事やリフォームなど、工事によって調査する内容は変わります。 また現場監督は、工事に取り掛かる前に施工計画を作成しますが、現地を確認しなければ実行性のある計画がつくれるとは限りません。 施工計画に不備があれば工事は混乱し工程に狂いが生じる恐れもあるため、「現地調査」は非常に重要なのです。 そこで本記事では、現場監督が行う「現地調査」について、おもに新築工事が始まる際に確認しておきたいことをご紹介いたします。


テナントの意味、テナント工事のABC

テナントの意味、テナント工事のABC

テナントビルは、オフィスビルや商業ビルの賃貸のことを意味します。テナントは、借りる方で、ビルなどのオーナーと契約することになります。テナントが入るにあたり、内装のリフォームで工事が必要になります。これがテナント工事です。テナント工事には、ABCという工事区分がありますが、どれがどれなのかしっかりと把握しているでしょうか?これらを把握すると同時に、なぜ把握する必要があるのか、また工事区分により何に注意しなければならないのかを知っておきましょう。この記事では、テナントの意味から、どのようなトラブルがあるのか、ABC工事区分についてわかりやすくご紹介いたします。


最近話題のキーワード

ハウジングインダストリーで話題のキーワード


新築工事 現場監督 施工管理 住宅 利益 営業 職人 台風 知識 現場監理 働き方改革