住宅建築における基礎工事は、建物の強度を左右する、きわめて重要な要素ですが、外部で行う以上、ときには雨の影響を受けてしまう場合があります。
また、基礎工事のビッグイベントでもある「コンクリート打設」は、施工が完了した後のやり直しは基本的にできません。
では、「コンクリート打設」当日の雨は、品質にも影響を与えてしまうのでしょうか?
そこで本記事では、住宅建築における基礎工事の「コンクリート打設」について、施工当日の雨は大丈夫なのか詳しく解説したいと思います。
コンクリートの性質について
そもそもコンクリートとは、セメントに水、砂、砂利を混ぜ合わせてつくったものをいいます。
通常、コンクリート打設工事は、工場で製造したフレッシュコンクリートをアジテータ車で運び、現場で施工します。
また、コンクリートは、練り混ぜの直後から徐々に硬化が進行しますが、この現象はセメントと水の化学反応である「水和反応」によるものです。
硬化とともに時間をかけて強度を増し、打設から28日を経過したときに必要な強度を示すよう設計されています。
コンクリート打設当日の雨は大丈夫?
コンクリート打設当日に降る雨は、そのタイミングによって、品質への影響度合いは変わります。
そのため、雨が降るタイミングによっては品質を低下させる可能性があります。
品質を低下させる可能性があるタイミングとは、以下の通り大きく2つです。
- 打設中
- 土間仕上げ中
■打設中
コンクリートは、セメントに水、砂、砂利を練り混ぜてつくります。
しかし、これらは適正な性能が発揮できるよう、設計基準強度を基に、それぞれの割合が決められています。
当然ながら水の割合も定められていますが、打設中に雨が降ると、その割合が大きくなってしまい、必要な強度が得られない可能性があるのです。
そのため、コンクリート打設工事の当日に雨が降る確率が高い場合は施工を中止し、延期するほうが無難といえるでしょう。
また、天候とは関係なく、打設前にアジテータ車へ加水するケースも見られますが、このような行為は基本的に行ってはならないとされています。
■土間仕上げ中
土間コンクリートは、そのままコテ仕上げとしていることがあります。
土間仕上げ中は表面がまだ軟らかいため、雨が降ると表面は荒れてしまい、そのまま硬化すると表面に脆弱な層が形成されることになります。
そうなると、硬化後に脆弱部を削り落とし、適切に補修しなくてはなりません。
よって、土間仕上げの当日に雨が降る確率が高い場合は施工を中止し、延期するほうが無難といえるでしょう。
コンクリート打設後の雨について
コンクリート打設中に降る雨は、コンクリートの品質を低下させる恐れがあるため、避ける必要があります。
しかし、打設が完了した後に降る雨は、問題はないばかりか、よい影響を与えるケースもあります。
というのも、コンクリートは水和反応によって少しずつ硬化し、強度を増していくことから、打設後は水分が必要となるためです。
打設後に急激な乾燥で水分を奪われるより、適度な雨で水分が供給されるほうが必要な強度を得るうえで適した環境になることもあります。
また、コンクリート打設後は、適切に養生期間を設けなければなりませんが、養生方法のひとつに「湿潤養生」があります。
「湿潤養生」とは、散水や水密シートなどによりコンクリートを湿潤状態に保つことで、水和反応を促進して、十分な強度を発現させる養生方法です。
以上のように、打設後に降る雨は、コンクリートの品質を確保するうえで、よい効果が期待できる可能性が高いのです。
まとめ
住宅にとって基礎は、建物の強度を左右する重要な要素のひとつです。
そのため、コンクリートの品質に影響を与える雨については、事前確認を行うなど、準備を怠ってはなりません。
また、打設中に突然降ってきた場合でも、すぐに養生できるようにしておく必要があります。
それだけ、コンクリート打設工事の雨対策は確実にしておく必要があるのです。