施工管理計画は足していくと失敗する
工事は順番に行っていくことで、完成まで進みます。土台、下地、仕上げと内部から順番に施工していかなくてはいけません。スケジュールを立てる際には、これらの工事日程を順番に当てはめていけばそれで済みます。
しかし、このように計画を足していく設定では、ほとんどの場合最終的なスケジュールは合わなくなります。それは、スケジュールのズレに対応することを考えていないからです。「ズレたら誰だって対応しているよ!?」と考えるかもしれませんが、対応方法が違います。
計画を足していく人は、1つの工程がズレた際に、次の工程を少し早めたり前倒しで工事が重ならないように詰めます。
しかし、しっかり予定通りに終わらせる人は、1つの工程がズレた際に、次の工程だけでなく他の工程も先に済ませられるものがないかなどを考え更なるズレを防止します。
つまり計画を足していくばかりだと、変則的な変更対応を考えられなくなります。
■真似してはいけない施工管理計画
現場監督の仕事は、毎日がタスクに追われ細かい調整などを丁寧に行うことはなかなかできないという方も多いです。そして、計画のズレが生じた際には、ほとんどの場合に「とりあえずズレを修正する手立てを打った」という付け焼き刃的なもので対処するということが多くなります。
しかしこれでは、現場が慢性的にパンク気味の状態が続き、現場監督自身もパンク気味の施工管理が続きます。そしてスキルという面でも、とりあえず仕事を回すという方法をとっているため成長を感じられないという状態になります。
現場監督が辛いというのは、この「成長を感じられない」という状態に陥ってしまっていることも挙げられます。このような施工管理計画は、真似をしない方が良いでしょう。仕事が回っていることに満足し、仕事ができていると勘違いをしながらも、「成長を感じられない」という状況にあり、精神的に参ってしまう可能性もあります。
成功のコツ「逆算」する計画の立て方
施工管理計画を組み立て、問題なく工事をスケジュール通りに完成させるためには「逆算」が有効です。
「逆算」は、完成(ゴール)を固定しそれに合わせて各計画を準備することです。さらに、各工程でのミスやズレが発生した場合にどのような対処をするかを考えることも逆算のうちに入ります。
例えば、3/10までに既存内装撤去、内装仕上げ完了状態を作るとします。そして工事途中で設備工事が入ることが急遽決まったとします。この場合、そのままの工程では間に合いません。
そこで、撤去作業日にひとり人数を増やし下地調整までを行い、設備工事も同時に入れます。これで予定通りの工事最終日に内装仕上げを行うことができます。
こういった「逆算」の考え方は、なかなか時間を取って考える時間がないと難しいです。そのため、何か工事計画の予定変更を余儀なくされる場合を考慮し、事前にどのような対応策があるかを検討をつけておきます。ここまでやって「逆算」と言えます。上記の例も、事前にどのような方法があるかを知っていたからこそ対応できるというものです。
■逆算が有効な理由:結果が全てだから
なぜ逆算が有効なのでしょうか?それは、結果が仕事の成果として表れるからです。
目的(ゴール)を予定通りに達成することが仕事であり、それに合わせて努力した過程ややり取りはほとんど評価されません。
つまり一番重要なのは、(最終目的を達成するために何をするのか)=(逆算した計画)ということです。
逆算するには、全体を見通す時間を作ろう
逆算して計画を立てるためには、工事全体の計画を整理し、改めて見直す必要があります。仕事が忙しくても、その忙しさを軽減することに繋がりますので、忙しさのループから抜け出すためにも時間を作りましょう。
逆算した計画を立てることで、さらに現場監督としてのスキルも上がります。このような仕事の仕方が自身のスキルを向上させ、精神面でも向上心・達成感を持つことができます。
惰性で、とりあえず仕事が回っていれば問題ないという考え方は一番良くありません。なぜなら、このような方に限って「仕事が忙しすぎる」「何も改善できる余地がない」と言ってしまいます。
最初は大変ですが、勇気を持って時間を作り、逆算して計画を立てていきましょう。一度時間をとって、効率的なスケジュールを立てることができれば、忙しさのループから少しずつ抜け出すことができるはずです。