商品とサービス業の違い
まず商品とサービス業の違い、という一見関係なさそうな内容ですが、実は非常に重要な考えです。一般的に、お金を支払ってその商品に問題があった場合、返品や交換といった対応がされるのは当然でしょう。
しかし、サービス業の場合はどうでしょうか。サービスがイマイチであっても料金は支払われ、期待以上であっても基本的には同じ料金です。そして、サービス業の場合にはそのサービスをしてくれた方に、お金を支払ったお客様側もお礼を言いますよね?
これと同じように職人に対してもお礼を言うようにしましょう。職人仕事は商品ではなくサービス業であると考えた方がうまくいきます。現場監督側がお金を払っているからと、上から目線の態度はやめましょう。
サラリーマンが知らないお金の考え方
職人とサラリーマンではお金の考え方が全く違います。職人はサラリーマンでない場合も多いです。一般的に、職人は成果報酬です。この成果報酬の事情を知らないと、失礼な仕事の頼み方をしていることに気づかない場合があります。
例えば、壁一面10㎡に下地を貼る作業を考えましょう。職人は10㎡で1万円の工事を引き受けたとします。現場監督が指示を出し、作業を行なっている最中、変更があり急遽別の下地材を貼ることになりました。職人は嫌がります。なぜなら追加料金がもらえない可能性があるからです。(実際追加料金を支払わない現場も多いです)
さらに、工事の日程が遅れます。工事の日程が遅れれば、次の現場に入る日取りも遅れ、職人の報酬がどんどんと減ることになります。
また、断熱材に不備かあり、下地材の施工は一旦やめて、3日後に作業に入ることになったとしたらどうでしょうか?この場合でも職人はスケジュール変更を余儀なくされ、この3日間報酬ゼロになります。安易なスケジュール変更も、職人の生活を脅かす可能性があります。
10㎡の下地貼りという同じ仕事で、1万円という正当な報酬を支払っています。とサラリーマンは考えるでしょう。しかし、これは全くの間違いであることがわかるかと思います。現場監督は、このお金の考え方の違いについて理解しましょう。
職人は気難しいわけではない
職人は気難しいという印象がありますが、実際はそこまででは無いことがほとんどです。先述したように、仕事についての考え方が全く異なっているために起きている現象が多いです。
サラリーマンであれば、1つの仕事に修正はいくらでも指示されたら従います。なぜなら給与が変わらないからです。しかし、職人の場合には修正依頼を引き受けるとどんどんと報酬が半分以下になることもあります。
職人の立場を理解した上で、付き合っていけば何も気難しいということは無いです。そもそも何年間も職人として仕事を受けている以上、仕事をしっかりとこなすことができる方々ということです。
■対等の関係でお金に見合った仕事を頼もう
職人と現場監督は対等の立場であると考えて、対価に対する正当な仕事を依頼しましょう。今までの行動を振り返ると、「職人が嫌な顔をしていた」「お金を払っているのに、なぜすぐに対応しない」「スケジュール変更が出来ないと怒られた」といったことはなかったでしょうか?
これらは全て現場監督の気遣い不足です。職人にとって、仕事は生活を支えてくれるものであり、現場監督次第でその生活が揺らぐこともあります。現場監督は、社員の生活を支える社長のような意識も持つ必要があります。社員にブラックな働き方をさせる社長と、できない現場監督は同じことになるのです。
まとめ:職人の生活を脅かす現場監督
これまでの内容から、現場監督は職人の生活を悪気なく苦しくさせている可能性があるということを知りましょう。
そして、こういった急な変更が多い現場に対応してくれている職人に感謝しましょう。現場は変更があるのが当たり前のようになっています。そういった環境を当たり前だと思うのは、ブラックな環境を当たり前であり、それを押し付けているのと変わりません。
現場監督は、会社からの指示を噛み砕き、職人と良好な関係を築くために非常に重要な仕事です。