住宅営業が陥る悪い事例「顧客を状態でしか見なくなる」
住宅営業は、社内で数字の話ばかりをしています。そうすると、だんだんと顧客を数字としてしか見なくなっていきます。営業としては、数字をなるべく高単価でとってくるベテラン社員になるかもしれません。顧客にどうやって売るかという、その顧客の状態しか見なくなってしまいます。
しかし、見込み客のランクしか気にしなくなったとき、顧客の満足度は気付かぬうちに減っていきます。契約のときは満足していても、将来的に満足度が続かなければ、住宅営業の本質を見失っていると言えます。住宅営業の本質は、顧客に1つの末長い幸せを提供することではないでしょうか?
■見込み客のランクを気にする
住宅営業は、見込み客となった方の状態を細かくヒアリングし、「売れるか売れないか」「高い予算を出すためにどうしたら良いか」を考えるようになります。このようなことばかりを社内で打ち合わせをすることで、一種のゲームとなり、顧客の将来の幸せを考えなくなります。
特に、ファイナンシャルプランナーなどの資格を持っていると、机上の収支は簡単にシミュレーションできます。しかし、シミュレーションは営業の都合の良いように解釈できます。実際に生活してみると、少し収入が下がったり、少し贅沢な旅行をするだけでも生活が苦しくなることもあります。
顧客を説得するだけのスキルが上がっても、住宅営業として顧客の幸せにつながらないことを念頭に入れておきましょう。
■顧客が本当に必要としているものが見えなくなる
顧客が住宅に何を求めているのかを知ることは、成約するためにも顧客の満足度を上げることにも必要です。しかし、営業スキルが上がると、顧客も住宅を建てるということに、ハイな状態になります。そのため、顧客が間違った選択をしてしまうこともあります。
住宅営業は、顧客の選択を誘導することができる力があるということを再認識しましょう。そのため、良い提案に導けば、顧客も幸せになり、悪い提案に導けば、将来の不安の1つの要因になってしまいます。
住宅営業の本質は「顧客を尊重すること」
住宅営業が、顧客に長期的な満足を与えるために「顧客を尊重すること」を忘れないようにしましょう。例え数字に追われていて、上司に怒鳴られたり、自身の給与に支障が出るといったときでも、相手を尊重する気持ちを持っていれば、無理な契約は勧めなくなります。
例えば、顧客が自分の親や兄弟、子供であった場合と考えるのが一番良いです。家族に対しても同じ提案をするのかを基準にします。そうすれば、無理な予算組みや、必要のないオプションなどをつけなくなります。もちろん全員の顧客に対して、このような判断をすると、数字があまりにも低くなることもあります。会社の数字なども考慮して、基準を忘れずに、相手を尊重しながら提案すれば、良心的な提案ができるようになります。
顧客を尊重し、長期的な満足度を上げることは、会社の長期的な利益にも繋がります。建てた際に満足度が高くても、10年後の満足度が低ければ、良い住宅会社とは言えないのではないでしょうか?逆に、10年後20年ごと満足度が高ければ、それこそ「この会社になら住宅を任せても良い」と口コミが広がるでしょう。
数字に追われても本質を見失わないこと
「会社の数字を作る営業が、顧客の単価を低くすることはできない!」という意見もあるかもしれません。しかし、あなたは会社の人間ですが、会社ではありません。1人の社会人として、あなたが提供できるサービスを顧客に提供する方が、きっと良いはずです。
もし仮に、単価を上げることに特化した営業が多く在籍していて、年間顧客100人全員が予算的にギリギリの住宅を建てたとします。そのうち70人が、入居してから5年で経済的理由などにより住宅に不満を持つようになったとします(もっと予算を削れば生活に余裕があったなど)。
この場合、会社にとっては大きな不利益を被っていると言えます。
5年10年で潰れる住宅会社にしないために、営業の行動がそれを左右する可能性もあるということです。
■住宅営業は、人を巻き込んでいる
数字を追って、顧客に迷惑をかけなければ、仕事ができない営業が悪いです。数字も作り、顧客に本当の満足を与えるのが、トップ住宅営業です。
普通の仕事は、自分が仕事ができなければ、自分に迷惑がかかります。しかし、営業は相手を巻き込んで仕事が成り立っています。自分に迷惑がかかるのが嫌だから、相手に迷惑をかけているということを理解しましょう。
以上のことを踏まえて、顧客を尊重し、会社にとっても顧客にとっても最良の提案ができる営業になりましょう。