【大誤算!?】注文住宅の予算組み|営業・設計

【大誤算!?】注文住宅の予算組み|営業・設計

注文住宅は、新築建売住宅、中古戸建て住宅、マンションなどに比べて高くなる傾向にあります。予算を十分にとっているとお客様が考えていても、実際にはその予算では十分でないということもあります。打ち合わせの初期段階で、予算がどの程度どの部分にかかるのかを把握しておかないと、後で不足してしまい、妥協した家づくりをしなければならなくなってしまいます。営業や設計がお客様に対して、説明しなければならない点と、お客様が誤算してしまいがちな点についてご紹介いたします。


注文住宅の費用内訳

注文住宅の場合、建売住宅では考えなくてよかった付帯工事費などがかかってきます。また、土地も別契約となるため、地盤改良費がかかることもあります。

注文住宅の費用内訳
・建物本体 7割
・付帯工事費 2割
・諸費用 1割

このような割合が一般的です。例えば、3000万円の予算で住宅を建てようとする場合、建物本体を2700万円くらいとお客様が想定していたとします。しかし、2700万円の建物を建てようとすると、付帯工事費に500万円、諸費用300万円程度かかり、合計3500万円となってしまうこともあります。

500万円の追加予算を捻出できず、せっかく打ち合わせが進んでいても、お客様が断念せざるを得なくなってしまいます。営業や設計担当が、予算に関しては初期の段階でお客様にしっかりとお伝えする必要があります。

大誤算しがちな付帯工事費・諸費用とは

付帯工事費とは、解体工事、外構工事、エクステリア工事などが含まれます。解体工事は、既存住宅がある場合で、こちらは費用に含んで考えているお客様が多いです。お客様が念頭に入れていないのは、外構工事になります。

外構工事は、敷地の建物がある基礎以外の部分の工事です。駐車場や、塀、擁壁などで、これらを建物本体工事に含まれていると考えてしまっているのです。土地が広ければ広いほど、外構工事費用も高くなりますし、外構工事を行わなければ、非常に見た目が悪い住宅となってしまいます。砂利を敷くだけでも、かなりの費用がかかります。

諸費用は、登記費用、税関係のものや、引っ越し費用などになります。建物・土地代の1割程度かかるので、200万円は最低でもします。また、家具家電などの費用も考えると、全て新調すると100万円は超えてしまうこともあるので、予算組みは慎重に行う必要があります。

営業や設計担当は、お客様に快適な住環境を提案し、単価を少しでも上げつつ、お客様の満足度を上げることが仕事です。そのため、お客様の予算ギリギリまで組んでしまうこともあります。しかし、お客様が予算に余裕がないと、あとあと苦しくなってしまい、契約寸前で予算の都合で思い直さなければならないこともあります。経験の差が出る部分ですが、提案する際には、予算のことを常にお客様に意識してもらい、予算の幅をヒアリングし、最大でいくらなのか(3000~3600万円など)を費用内訳とともに相談しましょう。

年収400万円の家づくり

年収400万円では、住宅ローンを最大3800万円程度借りることができます。しかし、生活に余裕を持たせるためには、手取り25%を返済に当てた2200万円程度の借り入れが望ましいとされています。

月の手取りが30万円で、ローン返済月10万円(3800万円程度借りた場合)としてみましょう。水道光熱費、固定資産税、火災保険、メンテナンス積み立て費でプラス5万円かかり、車を所有している場合プラス2万円かかるとすると、月に最低17万円が出費となります。

ここから食費と子供の教育費などをいれると、かなり苦しくなってしまいます。余裕がなく、貯蓄も難しいため、2200万円程度の借り入れに抑えましょう。土地を所有している場合には、注文住宅の建築は予算内で可能ですが、土地と建物の購入は難しい予算になります。

年収500万円の家づくり

年収500万円では、住宅ローンを最大4700万円程度借りることができます。しかし、生活に余裕を持たせるためには、手取り25%を返済に当てた2700万円程度の借り入れが望ましいとされています。

2700万円の予算ですと、土地代を1000万円以内に収め、建物本体を1500万円に抑えれば、注文住宅を建てることも可能です。しかし、付帯工事や諸費用で、オーバーしてしまう可能性があるのと、1500万円の建物はあまり設計に自由度がなく、ローコスト住宅の一般プランを選択することになります。

年収600万円の家づくり

年収600万円では、住宅ローンを最大5700万円程度借りることができます。しかし、生活に余裕を持たせるためには、手取り25%を返済に当てた3000万円程度の借り入れが望ましいとされています。

3000万円の予算であれば、土地代を1000万円以内に収め、建物本体1500万円、その他費用500万円とすれば、注文住宅の建設が可能です。しかし、土地の地盤改良などが必要な場合は、予算オーバーとなります。また、建物本体はローコスト住宅の一般プランを選択することになります。

年収700万円の家づくり

年収700万円では、住宅ローンを6000万円以上借りることができます。しかし、生活に余裕を持たせるためには、手取り25%を返済に当てた3500万円程度の借り入れが望ましいとされています。

3500万円の予算では、土地代1000万円以内、建物本体2000万円、その他費用500万円という割り振りが現実的です。建物本体は、2000万円あればある程度間取り設計や、設備関係にこだわることができる金額です。

まとめ

注文住宅は、土地も頭金も援助がない場合には、最低でも年収700万円がないと余裕のある生活を考えると厳しいかもしれません。

お客様の家族構成や、年収だけでなく、現在のお金の使い方、家を建ててからのお金の使い方を変える必要があるのかなど、総合的に相談をしましょう。特に、子育て世帯では、教育費にいくらかけたいかで出費額が違うため、注意してヒアリングしましょう。

関連するキーワード


住宅 営業

関連する投稿


住宅ローンの定番「フラット35」とは?特徴や銀行ローンとの違い

住宅ローンの定番「フラット35」とは?特徴や銀行ローンとの違い

住宅を購入する際、多くの人が利用する住宅ローンですが、なかでも定番といえるのは「フラット35」になるでしょう。 「フラット35」の最大の特徴は「固定金利型」であることです。 「固定金利型」であることで、借り入れの時点で返済金額がわかり、また計画も立てやすくなります。 また、この他にも民間銀行が取り扱う住宅ローンとは異なる特徴があるため、知識として理解しておくとよいでしょう。 そこで本記事では、「フラット35」の特徴や銀行ローンとの違いについて徹底解説したいと思います。


【住宅建築の基礎知識】セメント、モルタル、コンクリートの違いとは?

【住宅建築の基礎知識】セメント、モルタル、コンクリートの違いとは?

住宅建築においては、非常に多くの建材が使われています。 なかでも「セメント」「モルタル」「コンクリート」については、必ず使用されるポピュラーな建材となります。 しかし、これらがどのような建材なのか、またそれぞれの違いがよくわからないという人もいるのではないでしょうか? そこで本記事では、「セメント」「モルタル」「コンクリート」について、それぞれの特徴の違いなどを徹底解説したいと思います。


プレハブ住宅とはどんな住宅?種類や特徴を解説

プレハブ住宅とはどんな住宅?種類や特徴を解説

戸建て住宅はいくつかの種類に分けられますが、建築するときの工法によっても分類することが可能です。 代表的な工法といえば「木造軸組工法」や「木造枠組壁式(ツーバイフォー)工法」、「プレハブ工法」などが挙げられます。 そして、この「プレハブ工法」で建てられた住宅が「プレハブ住宅」です。 また「プレハブ住宅」は、さらにいくつかの種類に分かれており、それぞれ特徴が異なります。 そこで本記事では、「プレハブ住宅」とは具体的にどのような住宅のことをいうのか、そしてどのような種類や特徴があるのかなど、徹底解説したいと思います。


住宅業界で働く人のリフレッシュ方法まとめ

住宅業界で働く人のリフレッシュ方法まとめ

住宅営業や、現場監督など非常に忙しく接客業でもあるためクレームやトラブルも多くストレスを溜めがちです。そこで、休日はどのようにリフレッシュしているのでしょうか?ストレスをうまく発散できない方も、他の方のリフレッシュ方法を真似してみましょう!1人で休日を過ごす方も、友達と遊ぶというものまで、それぞれご紹介いたします。


【住宅建築の基礎知識】住宅の耐震性能はどこでわかる?

【住宅建築の基礎知識】住宅の耐震性能はどこでわかる?

家づくりに携わるうえで知っておきたいことのひとつに「耐震性能」があります。 というのも、日本は地震大国であり、住宅の「耐震性能」を高めることは暮らす人たちの命を守ることにつながるためです。 しかし「耐震性能」の高さはどうすればわかるのでしょうか? 住宅の「耐震性能」には目安となる基準があり、満たしているかどうかで判断することが可能となります。 そこで本記事では、住宅の「耐震性能」がわかる目安について、解説したいと思います。


最新の投稿


施工管理は何歳までできる仕事?高齢者でも大丈夫?

施工管理は何歳までできる仕事?高齢者でも大丈夫?

建設業界の仕事は、「体力が必要で、高齢者にとってはきついのでは?」というイメージを持つ人もいるのではないでしょうか? 確かに、高齢化にともない筋力や視力の衰えなど身体機能の低下による影響が出てくることは、安全面で不安な部分が生じてくる可能性があります。 しかし一方で、業界の著しい高齢化に対応するべく、高齢者へ配慮された現場の環境づくりは徐々に進んでいます。 では、施工管理の仕事は何歳までできる仕事なのでしょうか?また高齢者でもできるのでしょうか? そこで本記事では、施工管理はいったい何歳までできる仕事で高齢者でも可能なのか、ご紹介したいと思います。


【建設業のヒヤリハット】認識する重要性と事例をご紹介!

【建設業のヒヤリハット】認識する重要性と事例をご紹介!

建設業界の労働災害は、減少傾向にあるとはいえ他の産業と比べても多く発生しています。 また、工事現場で作業に従事する人は、労働災害にいたらないまでも「ヒヤリ」としたり「ハッ」としたりといった経験は少なからずあるでしょう。 このような、つい見過ごしてしまいがちな「ヒヤリハット」を認識し、危険の芽を摘み取ることが労働災害を防止するうえで重要になります。 そこで本記事では、建設業界の「ヒヤリハット」を認識することの重要性について、事例を交えながらご紹介したいと思います。


住宅ローンの定番「フラット35」とは?特徴や銀行ローンとの違い

住宅ローンの定番「フラット35」とは?特徴や銀行ローンとの違い

住宅を購入する際、多くの人が利用する住宅ローンですが、なかでも定番といえるのは「フラット35」になるでしょう。 「フラット35」の最大の特徴は「固定金利型」であることです。 「固定金利型」であることで、借り入れの時点で返済金額がわかり、また計画も立てやすくなります。 また、この他にも民間銀行が取り扱う住宅ローンとは異なる特徴があるため、知識として理解しておくとよいでしょう。 そこで本記事では、「フラット35」の特徴や銀行ローンとの違いについて徹底解説したいと思います。


【住宅建築の基礎知識】セメント、モルタル、コンクリートの違いとは?

【住宅建築の基礎知識】セメント、モルタル、コンクリートの違いとは?

住宅建築においては、非常に多くの建材が使われています。 なかでも「セメント」「モルタル」「コンクリート」については、必ず使用されるポピュラーな建材となります。 しかし、これらがどのような建材なのか、またそれぞれの違いがよくわからないという人もいるのではないでしょうか? そこで本記事では、「セメント」「モルタル」「コンクリート」について、それぞれの特徴の違いなどを徹底解説したいと思います。


安全管理の具体的業務|現場監督の責任

安全管理の具体的業務|現場監督の責任

現場監督にとって、安全管理業務は最も重要な仕事です。危険が多い建設作業で、無事故で完工することを一番の目的にする必要があります。安全管理は具体的にどうやっているの?そもそも各自が安全管理をするだけではダメなのか、など現場監督の重要性と責任についてご紹介いたします。