敷地調査の手順
敷地調査は、建設業法などで定められた項目などはないため、どの手順でも構いませんが、効率的に様々な情報をまとめることができる方法を取りましょう。
手順を2つに分けてご紹介いたします。
まずいきなり現地に行くのではなく、事前にネットで情報を集めましょう。ネット上で集めた情報は、設計段階の基礎となり、現地に行く手間を大きく減らしてくれます。
2つ目は、お客様に具体的な提案を行うために、その土地の歴史や景観、人柄など、実際に住むにあたってどのような実体験があるのかを想像するために必要な調査をします。こういった調査は、実際にお客様が住んだ際に、どのように感じるかを想像しながら行います。
では、順番にご紹介いたします。
■ネットでできる敷地調査
敷地分析図をあらかじめ作成しておくと、効率的です。建築予定周辺の地図をピックアップしましょう。その中に、日の沈む方向、人の流れ、環境(周辺施設など)をチェックしていきます。
人の流れを把握することで、駐車場をどこに設置するか、生活リズムに合わせて、開口部やフェンスの高さなどを調整することも考えることができます。人の流れは、周辺施設や、駅の方面を調べることである程度把握することができます。
また、周辺施設について調査し、住空間から見えない方が良いものがあった場合(大きいビル、ゴミ処理場など)は、開口部をあまりその方面には作らないなどの対策をします。
Googleマップなどを用いて、その敷地の標高や、土地柄の雰囲気などをストリートビューなどを見て、事前にわかる範囲で調査しましょう。条例などの法規制なども、どのようなものがあるかについてはネットであらかた調べ、市役所に事前に電話して抜けが無いようにしておきましょう。
このように事前にわかることは意外に多いです。現地で調査を行なってから、イメージを膨らませ、その後に全体を見て、変更があったり、条例について考慮しなければいけないとなると、また現地に行き、変更を加えなければならなかったり、非効率的になってしまいます。
■お客様が住む土地は、どんな体験がある?
お客様は、土地を決める際に、様々なことを考えて、そこに決定しています。周辺施設や、緑の多さ、交通の利便性や、価格、周りに親族がいるか、職場が近いなど様々です。これらについて、お客様から事前に細かくヒアリングしておくことも大事です。
土地調査は、お客様が実際に住んだ際に、どのような体験があるか、どのような住環境が形成されるかを想像するものです。そしてそれをお客様と共有し、よりよい設計をしていきます。
では、どのような調査を行い、その土地について知れば良いでしょうか。
・歴史を知る
その土地の歴史を知ることで、今までどのように発展し、これからもどのような移り変わりがあるかを想像することができます。また、文化についても知ることができますので、その土地にそぐわない設計をするということも無くなります。
実際に住んでいて、近隣の方も知らないことも多いかもしれません。しかし、施主様もそこまで知ることができれば、実際に住むにあたって、有益な情報を提供してくれる設計者だと、さらに信頼してくれる効果もあります。お互いに信頼し合うことは、良い設計を行うにあたって不可欠なものです。
・景観を知る
建築予定地の周辺の景観を把握することは非常に重要です。街並みに合う設計を行い、住む上でストレスになる要素を省くことができます。
実際に現地に足を運び、開口部から見える景色などを想像して設計することも重要です。
・人柄を知る
住宅は、その住宅そのものの設計、周辺施設だけでなく、その周りの環境すべてが複合して住みやすさが変わります。つまり、周辺の人についてもどのような方々なのかを知ることは非常に重要です。
お客様がファミリー層であれば、お子様の年齢が近い方が住んでいるのか、お年寄りが周りには住んでいるのかなどを考えることも重要です。お子様の遊ぶ音が気にならないように部屋を作ったりする必要もあるかもしれませんし、ファミリー層の地域であれば、そこまで機にする必要もないかもしれません。
庭を作る際に、BBQなどをしても平気な環境なのかなど、周りの地域柄なども抑えておくことも重要です。周りの方が庭でBBQをよくしていて、煙が来ることになるなども事前に把握できると、さらに良いです。住んでから何かしらの、ストレスというのは起こり得るため、それらについて事前に把握して考慮しておくこともできます。
お客様と、土地調査の目的を共有する
土地を調査するといっても、その人によって、その人が感じる雰囲気というものは違うため、お客様の考えをヒアリングしないままだと、全く違う土地の調査になってしまうこともあります。設計者の主観が入ってしまい、全く意図しない雰囲気を伝えてしまうこともあるからです。こういった、なぜ土地調査を行うのか、その目的についてもお客様に共有することで、お客様もそれを理解し、細かく伝えてくれます。こういった目的を共有しないと、お客様も何を設計者に伝えれば良いのかわからず、ヒアリングがうまくいきません。
以上のように、土地調査は、設計者や営業にとってお客様に有益な情報を提供するために行うものです。少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。