施工管理の仕事は多岐にわたりますが、なかでも優先して取り組む必要があるのは安全管理といえます。
万が一、担当する現場で労災事故が起こった場合、対応に多くの時間を取られてその他の業務を圧迫することはいうまでもありません。
では、実際に担当現場で労災事故が起こったとき、施工管理はどのような行動をとるべきでしょうか?
そこで本記事では、労災事故が起こったときに施工管理がどう対応するとよいのか、その内容について解説したいと思います。
工事現場で労災が起こったらどうする?
工事現場で労災事故が起こった場合、担当する施工管理者は先頭に立って迅速に対応しなくてはなりません。
労災事故が発生したとき、施工管理者が対応するべきおもな行動とは以下の通りです。
- 被災者の救護
- 関係者への連絡
- 労災事故の情報収集
- 労働基準監督署への届出
- 再発防止策の検討と展開
■被災者の救護
工事現場で労災事故が発生した場合、まずやるべきことは被災者の救護です。
「どの程度のケガをしているのか」、また「救急車の手配は必要か」などを確認し、被災者の状況に応じて必要な措置をとります。
被災者が病院で治療を受けるときは、「労災指定病院」であれば労災保険から治療費が支払われるため、被災者が負担する必要はありません。
ただしその場合は、「療養補償給付たる療養の給付請求書(様式第5号)」を提出する必要があります。
「労災指定病院」でない場合は、いったん立替え、改めて「療養補償給付たる費用請求書(様式第7号)」を労働基準監督署に提出することで治療費を受け取れます。
■関係者への連絡
被災者の救護に目処がついたら、会社の上司や被災者の家族などに連絡をします。
とくにその後の対応については、会社の上司に指示を仰いだうえで行動することも重要です。
ひとりで判断して勝手に行動することで問題になるケースもあるため、速やかに報告して対応を検討する必要があります。
また、重大事故の場合は、救急車の手配とともに警察へ通報すること、そして労働基準監督署へ連絡して指示を受けなくてはなりません。
その場合は、警察や労働基準監督署の現場検証が行われる可能性もあるため、現場は事故が発生したときの状態で保存しておくことも必要となります。
■労災事故の情報収集
労災事故がどのように起こったのか事実関係を調査します。
「いつ、どこで、どのようにして起こったのか」、また「事故の目撃者はいたのか」など、収集できる情報はすべて記録しておく必要があります。
これら記録は、労働基準監督署への報告や保険給付申請の書類、あるいは会社内での報告書類などで必要となる内容です。
■労働基準監督署への届出
労災事故が発生し、被災者が休業または死亡した場合、労働安全衛生法に基づき「労働者死傷病報告」を労働基準監督署へ提出しなくてはなりません。
そして「労働者死傷病報告」には「様式23号」と「様式24号」の2種類があります。
休業日数が4日以上、もしくは死亡した場合などは「様式23号」を、休業日数が1~3日の場合は「様式24号」の提出が必要です。
また「様式23号」は遅延なく速やかに提出しなくてはならない一方で、「様式24号」はすぐに提出する必要はなく四半期ごととなっています。
なお、休業のない労災事故の場合は「労働者死傷病報告」を提出する必要はありません。
ただし、提出しなくてはならないケースで提出しなかった場合は、「労災かくし」として厳しく罰せられるため注意が必要です。
■再発防止策の検討と展開
会社としては、起こってしまった労災事故の原因を分析し、再発防止のために具体的な対策を検討して関連業者へ展開していかなくてはなりません。
そのうえで施工管理者は、改めて安全に関するルールを徹底し、安全に作業を行える環境づくりをしていくことが重要になります。
まとめ
施工管理者は、担当する現場で万が一労災事故が起こってしまった場合、素早く適切に行動をとらなくてはなりません。
しかし、施工管理の重要業務のひとつである安全管理は、労災事故を起こさないことが最大の目的となります。
日頃からしっかりとアンテナを張り、危険を発見したときには徹底して取り除くことが重要です。