現場監督の「品質管理」とは?具体的業務内容をご紹介

現場監督の「品質管理」とは?具体的業務内容をご紹介

現場監督の品質管理業務とは? 現場監督の品質管理業務は、4つの管理業務の1つになります。現場監督の仕事と聞いて、一番に思いつくのが品質管理ではないでしょうか?現場監督がいなければ、工事がうまくいかない、職人が手抜きをしているかもしれない。このように品質を維持するために現場監督は不可欠です。 ・現場監督4つの管理業務 ・品質管理業務は、工事の記録をすること ・職人の管理について 上記3つについてご説明していきます。


現場監督4つの管理業務

現場監督の業務は、大きく4つに分けられます。
・安全管理
現場関係者の安全を図ります。工程ごとに高所作業や、危険な機械などを使用する場合、現場の安全ルールを遵守します。

・原価管理
工事原価の管理を行います。決められた予算の中で人件費、資材等の原価がオーバーしないように管理します。発注作業や現場トラブルにより急遽発生した費用を抑えて管理する必要があります。

・工程管理
工事スケジュールの構築を行います。天候や現場の軽微なトラブルにより工期にズレが生じた場合に、関係各所への連絡、業者の再配置などを行います。

・品質管理
工事品質の維持を図ります。設計通りに工事が進んでいるかの確認、建築基準法に則った作業を行なっているかの確認を行います。

このように4つの管理業務の中の1つが品質管理業務になります。そしてこの中でも品質管理は、建設した住宅が設計したものと同じ仕様・性能になっているかを左右する重要な仕事です。もし設計通りの住宅でなければ、お客様は購入したものとは違うものを納品されたことになってしまいます。
それでは、どのようにして現場監督が品質を維持しているのかについてご紹介いたします。

品質管理業務は、工事の記録

住宅建設においての品質というのは、設計書通りの施工ができているかが品質が保たれたという意味になります。現場で職人や現場監督がいつも以上に頑張って、いつもよりも良いものが出来たということではありません。

1人の大工が1年以上かけて、建設しながら建てていた住宅であれば、建てながら細かい品質が向上することはあったかもしれません。しかし、今では設計の段階で細かく仕様を決定し、納期を決め、発注内容と同じものを納品するということがほとんどです。

そのため、設計通りに工事が進んでいるのかを確認する現場監督が必要になります。現場で設計書にはない不具合が出たときに、性能や仕様が変わらないように相談・指示を出したりします。住宅建設は、後戻りできない工程がいくつもあるため、常に気を配って先回りして管理計画も立てる必要があります。

品質が維持できている、つまり設計通りに工事が進んでいるかは、工事の記録によって確認証明します。その記録方法は基本的には写真撮影になります。工事の記録写真がなければ、どのように工事を行ったかについて証明できないため、住宅の性能や構造に問題がないかを証明することが難しくなります。記録写真は、依頼のあった住宅と同じものなのかという証明ということです。

職人の管理について

職人と現場監督では、どちらの方が現場知識があるでしょうか?実は、職人の方が知識が豊富なことが多いです。職人でしかわからない細かい工事における知識や経験というものがあります。

ではなぜ、現場監督が必要で、職人は現場監督の言うことを聞くのでしょうか。現場監督は、職人の腕を最大限に活かすため、その日1日の仕事を間違った手順で行わないようにサポートするというものです。(もちろん職人に指導することもありますが、初めて一緒にする職人に注意点などを説明する程度がほとんどです。)

管理というとものすごく偉そうな雰囲気があるかもしれませんが、職人も現場監督がいなければ、正しい施工をしているのか施工図だけでは分からなくなることもあります。お互いに良い工事をするために現場監督は、まとめ役をしているに過ぎません。

品質管理の具体的業務

品質管理業務には、どのようなものがあるでしょうか?
・施工写真の撮影
・材料の記録
・試験記録および撮影
・設計の実測
・職人への指示

これら5つについてご紹介いたします。

施工写真の撮影

工程ごと、工事種ごとに撮影を行います。例えば、「現場監督がしっかり工事しているか確認した」ということは、確認作業として成り立っているかもしれませんが、建築の場合には写真として記録を残します。つまり現場監督の確認という作業自体にはあまり意味がなく、その記録写真に意味があります。
つまり、現場監督は、適したタイミングで写真撮影を行い、工事の品質維持の証明になる写真を撮るという業務を担っています。

例えば、鉄筋工事の施工では、配筋したあとに型枠を作りコンクリートを流し込みます。配筋状況について、型枠を作った段階でわからなくなる場合、型枠を作る前に写真を撮影する必要があります。

材料の記録

搬入時に資材に傷がないか、数があっているか、品番は合っているかのための写真撮影になります。また、品番を写真に記録しておくことで、不良資材があったときにロット番号などから調査することができます。

試験記録および撮影

住宅建設では、様々な試験を行うこともあります。コンクリート打設におけるコンクリートの基準を満たしているかの試験や、地盤調査の試験などです。

これらの試験は、施工中の写真だけではなく、その試験状況およびサンプルの写真等を撮影して記録します。試験結果だけではなく、試験状況の記録もあることが望ましいです。

設計の実測

設計通りに工事が進んでいるかのチェックとして、寸法チェックを行います。施工図をよく読み込んで、細かい部分でのズレや間違いがないかを常にチェックする必要があります。

チェックして修正指示を出すタイミングが遅くなってしまうと、職人に余計な手間をかけさせることになってしまいます。職人が間違ったのが悪いんじゃないの?と思われるかもしれませんが、職人が間違った場合も現場監督の責任です。施工図は熟練の職人が見ても間違うこともあるほど、わかりやすいものではありません。現場ごとに癖があるため、現場監督の的確な指示が重要です。

職人への指示

職人とのコミュニケーションは、現場監督にとって最も重要なスキルといっても過言ではありません。職人が気持ちよく仕事ができるようにすることで、職人のミスも減り、融通を効かして作業をしてくれます。つまり品質維持のための動きになるということです。

まとめ

品質管理の具体的業務
・施工写真の撮影
・材料の記録
・試験記録および撮影
・設計の実測
・職人への指示
についてご紹介いたしました。

全ての業務が完璧にこなせるようになるには、半年から1年の経験が必要になります。しかし、一つ一つ覚えていけば、うまくできるようになります。大変だからと疎かにせず、業務の意味やうまくできていなかったことを改善していくことが、仕事ができるようになる近道です。



※この記事はリバイバル記事です。

関連するキーワード


現場監督 品質管理

関連する投稿


【住宅建設】新築工事が始まる前に現場監督が行う現地調査とは?

【住宅建設】新築工事が始まる前に現場監督が行う現地調査とは?

現場監督は、あらゆる業務を行わなければなりませんが、「現地調査」もそのひとつです。 「現地調査」とは、工事が始まる前に実際の現場を確認する事前調査のことをいい、新築工事やリフォームなど、工事によって調査する内容は変わります。 また現場監督は、工事に取り掛かる前に施工計画を作成しますが、現地を確認しなければ実行性のある計画がつくれるとは限りません。 施工計画に不備があれば工事は混乱し工程に狂いが生じる恐れもあるため、「現地調査」は非常に重要なのです。 そこで本記事では、現場監督が行う「現地調査」について、おもに新築工事が始まる際に確認しておきたいことをご紹介いたします。


【要注意】現場監督の靴のにおい対策とは?

【要注意】現場監督の靴のにおい対策とは?

現場監督にとって、気になることのひとつに「靴のにおい」があります。 とくに新築住宅だけでなく、引き渡し後のアフターサービスやリフォームなども担当している場合は十分に注意しておかなければなりません。 といいうのも、強いにおいがある状態で家のなかに入ると、施主はいやな気持ちになることが予想されるためです。 せっかく品質の優れた建物を建てても、それだけで満足度が下がってしまうかもしれません。 そこで本記事では、現場監督が注意しておきたい「靴のにおい」について、その原因と対策についてご紹介したいと思います。


【管工事施工管理技士】受験資格や取得するとできる仕事とは?

【管工事施工管理技士】受験資格や取得するとできる仕事とは?

建設業界でキャリアアップを図るには、資格を取得することが重要なポイントとなります。 とくに施工管理の仕事で活躍したい場合は「施工管理技士」資格が有効です。 「施工管理技士」の資格は7つの種類がありますが、建築工事では欠かせない管工事に携わるなら「管工事施工管理技士」を取得するとよいでしょう。 ただし、「施工管理技士」資格は誰にでも取得できるわけではなく、一定の条件を満たし、かつ試験に合格しなくてはなりません。 そこで本記事では、「管工事施工管理技士」の受験資格や取得するとできる仕事についてご紹介したいと思います。


【忘れっぽい人必見】住宅の現場監督はメモを仕事にしろ

【忘れっぽい人必見】住宅の現場監督はメモを仕事にしろ

現場監督をしていて、新人は特に忘れっぽい人がいます。このような方は、意外に多いです。仕事ができない人というわけではなく、現場監督になるとそのようなことが起こります。理由は、住宅の現場監督は、タスクが以上な量になってしまうからです。細かい伝達内容などが発生し、それをその場で対処したり、数時間後に対処したり、場合によっては別日に対応するなど、非常に複雑になります。1つ1つのタスクは非常に簡単ですが、10個など多くなってくると、全てを覚えておくことは不可能に近いです。この記事では、住宅現場監督が、タスクに埋もれずに、効率的に業務を遂行できる方法としてメモをご紹介いたします。


朝礼は必要ない!?建設工事における目的・確認事項

朝礼は必要ない!?建設工事における目的・確認事項

毎日工事現場では、朝礼が行われます。一般企業でも朝礼を実施している会社はありますが、朝礼は朝の始まりの慣例で、特になくても問題ないのでは?と考えている方も多いかもしれません。しかし、工事現場において朝礼は非常に重要なものです。安全管理や工事内容を再度確認することで、その日1日を問題なく進行させることができます。この記事では、朝礼の目的や内容についてご紹介いたします。


最新の投稿


【法律違反になることも!】住宅事務の書類の送り方まとめ

【法律違反になることも!】住宅事務の書類の送り方まとめ

住宅事務員は、書類を業者に送ることもあれば、お客様に送ることもあります。そのため文書にも様々なものがあり、契約書、見積書、納品書、完工書、チラシ、資料などを送付します。これらをどの郵送サービスを使えば良いかを考え、その準備にも手間がかかります。また、信書に該当するものは、適切な郵送サービスでないと法律違反になります。書類の送り方をマスターし、トラブルを起こさずに適切な対応ができるようにしましょう。この記事では、書類の送り方や、新書についての取扱についてご紹介いたします。


【住宅事務必見!】ビジネス書類の作り方|ポイント解説

【住宅事務必見!】ビジネス書類の作り方|ポイント解説

事務の仕事で、文書作成で頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか?文書を手紙などで書くこと習慣もなくなってきて、ましてやビジネス用になると何を書けば良いのか、言葉遣いや、書いてはいけない文言はないかなど、気にし出すと手が付けられないとなってしまった経験もあるのではないでしょうか。この記事では、ビジネス書類の作り方のポイントをわかりやすく簡単にご紹介いたします。


【PC初心者】住宅事務の基礎スキルまとめ

【PC初心者】住宅事務の基礎スキルまとめ

住宅事務に転職しようと考えている方は、事務職としてどのようなスキルが必要かについて悩まれる方もいるかと思います。しかし特別なスキルを必要としている企業は少ないです。住宅事務に必要なスキルは、初歩的なPCスキルで十分です。住宅関係の専門知識や、住宅業界特有の仕事内容などは、働いてから簡単に身につくからです。ただし、PCスキルが全くない状態だと、仕事そのものが進まず、仕事とは関係ないPCの操作方法から教えなくてはいけません。せっかく人を雇ったのに、PC教室のような役割を会社がするわけにはいかないのです。この記事では、どの程度のPCスキルが一般的に必要とされているのかについてご紹介いたします。


住宅業界で職人として転職するメリットとデメリット

住宅業界で職人として転職するメリットとデメリット

住宅業界へ転職する場合、営業や施工管理、設計などいくつかの職種が選択肢となります。 そして、実際の工事を担当する「職人」もそのひとつです。 ものづくりにおいて、「職人」の存在は欠かせません。 住宅業界でも同様で、まったくなにもない「ゼロ」の状態から建物をつくれるのは、「職人」の技術があることで実現します。 しかし「職人」を職業にするとしてもメリットとデメリットがあるため、その両方を理解したうえで検討することが重要です。 そこで本記事では、住宅業界で「職人」として転職するメリットとデメリットについてご紹介したいと思います。


住宅業界のリペア業とは?資格は必要?

住宅業界のリペア業とは?資格は必要?

住宅の建築工事では着工から竣工まで多くの専門業者が携わりますが、そのひとつに「リペア業」があります。 「リペア業」とは、住宅の建築工事で使用する仕上げ材や家具、設備などについたキズを補修する業者のことをいい、「補修屋」と呼ばれることもあります。 比較的歴史の浅い技術ですが、住宅の建築工事では補修の工程が当たり前に設定されるなど、非常に注目の業種です。 では、「リペア業」の仕事は具体的にどのようなことを行うのでしょうか? また、「リペア業」の技術を習得し活躍するには資格が必要なのでしょうか? そこで本記事では、住宅業界で注目の「リペア業」とはどのような仕事なのか、そして活躍するために資格は必要なのかなど、詳しく解説したいと思います。


最近話題のキーワード

ハウジングインダストリーで話題のキーワード


新築工事 現場監督 施工管理 住宅 利益 営業 知識 職人 資格