【工事現場の安全管理】効果的な熱中症対策とは?

【工事現場の安全管理】効果的な熱中症対策とは?

気温が上昇する季節に工事現場で最も注意しなくてはならないことといえば「熱中症」になるでしょう。 「熱中症」は、年齢を問わずすべての人に発症する可能性があり、場合によっては命にかかわる健康リスクです。 労働災害としての「熱中症」は、建設業界でとくに多く発生しています。 そのため、工事現場での「熱中症」対策は、施工管理者が行う安全管理として必ず取り組まなければならない仕事のひとつとなっているのです。 そこで本記事では、工事現場の安全管理である「熱中症」対策について、ご紹介したいと思います。


気温が上昇する季節に工事現場で最も注意しなくてはならないことといえば「熱中症」になるでしょう。
「熱中症」は、年齢を問わずすべての人に発症する可能性があり、場合によっては命にかかわる健康リスクです。

労働災害としての「熱中症」は、建設業界でとくに多く発生しています。
そのため、工事現場での「熱中症」対策は、施工管理者が行う安全管理として必ず取り組まなければならない仕事のひとつとなっているのです。

そこで本記事では、工事現場の安全管理である「熱中症」対策について、ご紹介したいと思います。

そもそも熱中症とは?

熱中症とは、高温の環境で汗をかき体内の水分や塩分が減少すると、体温調節や循環機能に問題が生じて発症する障害の総称のことをいいます。
「一般社団法人日本救急医学会」では、熱中症の重症度について以下のように分類しています。

  • Ⅰ度:現場にて対処可能な病態
  • Ⅱ度:速やかに医療機関への受診が必要な病態
  • Ⅲ度:採血、医療者による判断により入院(場合により集中治療)が必要な病態

Ⅰ度の熱中症で見られるおもな症状

Ⅰ度の熱中症で見られるおもな症状は以下の通りです。

  • めまい、失神
  • 筋肉痛、筋肉の硬直
  • 手足のしびれ、気分の不快

Ⅱ度の熱中症で見られるおもな症状

Ⅱ度の熱中症で見られるおもな症状は以下の通りです。

  • 頭痛、吐き気、嘔吐、倦怠感、虚脱感

Ⅲ度の熱中症で見られるおもな症状

Ⅲ度の熱中症で見られるおもな症状は以下の通りです。

  • Ⅱ度の症状に加え意識障害、けいれん、手足の運動障害
  • 高体温
  • 肝機能異常、腎機能障害、血液凝固障害

一般社団法人 日本救急医学会一般向けホームページ

https://www.jaam.jp/index.html

一般社団法人 日本救急医学会一般向けホームページです。総会・地方会案内、専門医・指導医制度について、学会誌バックナンバー、用語集、指定施設等一覧、全国救命救急センター一覧などを掲載。

建設業界における熱中症の発生状況について

厚生労働省の「令和2年職場における熱中症による死傷災害の発生状況」によると、熱中症による業種別死傷者数は建設業が最も多くなっています。
また熱中症による死傷者数は、建設業と製造業で全体の半数近くを占めておりますが、死亡災害では建設業が圧倒的に多くなっています。

厚生労働省:令和2年「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」

熱中症の月別発生状況では、高温多湿な環境となる6~9月の間で多く発生しており、とくに7月と8月に集中していることがわかります。

厚生労働省:令和2年「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」

以上のように、建設業界は熱中症のリスクが非常に高いということがデータとして明らかとなっています。
しかし一方で、熱中症は効果的な対策を講じることで防げる症状でもあります。
よって、施工管理者は、現場での熱中症対策をしっかりと行う必要があるのです。

施工管理が行う効果的な熱中症対策とは?

施工管理者は、工事現場における作業員が熱中症にならないようしっかりと対策をしなければなりません。
おもな対策とは以下の3つです。

  • 作業環境の整備
  • 作業員の体調管理
  • 作業員への安全教育

作業環境の整備

まずは、作業環境の整備です。
熱中症は高温多湿な環境で起こりやすいため、このような状況をできるだけ排除する必要があります。
例えば以下のような内容です。

  • 外部作業でテントを設置し休憩場所をつくる
  • 屋内作業で扇風機を設置し体温の上昇を抑える
  • 作業効率が低下する工事などは余裕のある工程を組む

以上のように、熱中症にならないための環境づくりをあらかじめしておくことがポイントになります。
とくに作業当日の天候に配慮し、場合によっては作業を中断して休憩させることなども必要となるケースもあるでしょう。

また、送風機能付きのヘルメットや空調服のような熱中症対策グッズなどを導入することも効果的です。

作業員の体調管理

施工管理者は、作業員の体調に注意することも必要です。
基本となるのは水分と塩分の計画的な補給になります。
これらは吸収されるまでに一定の時間が必要になることから、一度に多くの量を補給するのではなく、1時間おきなど計画的に設けることがポイントです。

また、熱中症になると自覚症状が現れますが、自身が思った以上に進行していることも珍しくありません。
異変が生じているようなら休憩を促すなど、施工管理者を含めた周囲の人が配慮することも重要です。

作業員への教育

施工管理者の重要な業務のひとつに「安全管理」があり、労働災害を防止するためにも定期的な安全教育は欠かせません。
そして、気温が高くなる頃には熱中症に関する知識や対策などの安全教育を行い、作業員自身が自発的に取り組めるよう意識付けをする必要があります。

安全教育を計画的に、そして繰り返し実施することで、現場の安全意識の向上が図れます。

まとめ

熱中症は誰もが発症するリスクがあり場合によっては命に関わる病気です。
そのため、施工管理の仕事をするうえで、気温の高くなる季節の熱中症対策は必須となります。
自分自身の体調管理はもちろんのこと、現場に携わるすべての人が熱中症にならないような環境づくりを心がけましょう。



※この記事はリバイバル記事です。

関連するキーワード


施工管理 現場監督 職人

関連する投稿


住宅業界で職人として転職するメリットとデメリット

住宅業界で職人として転職するメリットとデメリット

住宅業界へ転職する場合、営業や施工管理、設計などいくつかの職種が選択肢となります。 そして、実際の工事を担当する「職人」もそのひとつです。 ものづくりにおいて、「職人」の存在は欠かせません。 住宅業界でも同様で、まったくなにもない「ゼロ」の状態から建物をつくれるのは、「職人」の技術があることで実現します。 しかし「職人」を職業にするとしてもメリットとデメリットがあるため、その両方を理解したうえで検討することが重要です。 そこで本記事では、住宅業界で「職人」として転職するメリットとデメリットについてご紹介したいと思います。


【住宅建設】新築工事が始まる前に現場監督が行う現地調査とは?

【住宅建設】新築工事が始まる前に現場監督が行う現地調査とは?

現場監督は、あらゆる業務を行わなければなりませんが、「現地調査」もそのひとつです。 「現地調査」とは、工事が始まる前に実際の現場を確認する事前調査のことをいい、新築工事やリフォームなど、工事によって調査する内容は変わります。 また現場監督は、工事に取り掛かる前に施工計画を作成しますが、現地を確認しなければ実行性のある計画がつくれるとは限りません。 施工計画に不備があれば工事は混乱し工程に狂いが生じる恐れもあるため、「現地調査」は非常に重要なのです。 そこで本記事では、現場監督が行う「現地調査」について、おもに新築工事が始まる際に確認しておきたいことをご紹介いたします。


【要注意】現場監督の靴のにおい対策とは?

【要注意】現場監督の靴のにおい対策とは?

現場監督にとって、気になることのひとつに「靴のにおい」があります。 とくに新築住宅だけでなく、引き渡し後のアフターサービスやリフォームなども担当している場合は十分に注意しておかなければなりません。 といいうのも、強いにおいがある状態で家のなかに入ると、施主はいやな気持ちになることが予想されるためです。 せっかく品質の優れた建物を建てても、それだけで満足度が下がってしまうかもしれません。 そこで本記事では、現場監督が注意しておきたい「靴のにおい」について、その原因と対策についてご紹介したいと思います。


【超重要】建設業の安全パトロールとは?

【超重要】建設業の安全パトロールとは?

建設業界はさまざまな課題を抱えていますが、とくに施工管理者にとって最重要といえるのは労働災害を防止するための取り組みではないでしょうか。 施工管理の仕事は、多岐に渡ります。 なかでも、現場に携わる人たちが安全に作業できる環境をつくることは最優先に取り組む必要があり、そしてその取り組みのひとつが「安全パトロール」です。 そこで本記事では、施工管理者が行う「安全パトロール」について、その目的やチェックするべきポイントなどをご紹介いたします。


【管工事施工管理技士】受験資格や取得するとできる仕事とは?

【管工事施工管理技士】受験資格や取得するとできる仕事とは?

建設業界でキャリアアップを図るには、資格を取得することが重要なポイントとなります。 とくに施工管理の仕事で活躍したい場合は「施工管理技士」資格が有効です。 「施工管理技士」の資格は7つの種類がありますが、建築工事では欠かせない管工事に携わるなら「管工事施工管理技士」を取得するとよいでしょう。 ただし、「施工管理技士」資格は誰にでも取得できるわけではなく、一定の条件を満たし、かつ試験に合格しなくてはなりません。 そこで本記事では、「管工事施工管理技士」の受験資格や取得するとできる仕事についてご紹介したいと思います。


最新の投稿


【法律違反になることも!】住宅事務の書類の送り方まとめ

【法律違反になることも!】住宅事務の書類の送り方まとめ

住宅事務員は、書類を業者に送ることもあれば、お客様に送ることもあります。そのため文書にも様々なものがあり、契約書、見積書、納品書、完工書、チラシ、資料などを送付します。これらをどの郵送サービスを使えば良いかを考え、その準備にも手間がかかります。また、信書に該当するものは、適切な郵送サービスでないと法律違反になります。書類の送り方をマスターし、トラブルを起こさずに適切な対応ができるようにしましょう。この記事では、書類の送り方や、新書についての取扱についてご紹介いたします。


【住宅事務必見!】ビジネス書類の作り方|ポイント解説

【住宅事務必見!】ビジネス書類の作り方|ポイント解説

事務の仕事で、文書作成で頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか?文書を手紙などで書くこと習慣もなくなってきて、ましてやビジネス用になると何を書けば良いのか、言葉遣いや、書いてはいけない文言はないかなど、気にし出すと手が付けられないとなってしまった経験もあるのではないでしょうか。この記事では、ビジネス書類の作り方のポイントをわかりやすく簡単にご紹介いたします。


【PC初心者】住宅事務の基礎スキルまとめ

【PC初心者】住宅事務の基礎スキルまとめ

住宅事務に転職しようと考えている方は、事務職としてどのようなスキルが必要かについて悩まれる方もいるかと思います。しかし特別なスキルを必要としている企業は少ないです。住宅事務に必要なスキルは、初歩的なPCスキルで十分です。住宅関係の専門知識や、住宅業界特有の仕事内容などは、働いてから簡単に身につくからです。ただし、PCスキルが全くない状態だと、仕事そのものが進まず、仕事とは関係ないPCの操作方法から教えなくてはいけません。せっかく人を雇ったのに、PC教室のような役割を会社がするわけにはいかないのです。この記事では、どの程度のPCスキルが一般的に必要とされているのかについてご紹介いたします。


住宅業界で職人として転職するメリットとデメリット

住宅業界で職人として転職するメリットとデメリット

住宅業界へ転職する場合、営業や施工管理、設計などいくつかの職種が選択肢となります。 そして、実際の工事を担当する「職人」もそのひとつです。 ものづくりにおいて、「職人」の存在は欠かせません。 住宅業界でも同様で、まったくなにもない「ゼロ」の状態から建物をつくれるのは、「職人」の技術があることで実現します。 しかし「職人」を職業にするとしてもメリットとデメリットがあるため、その両方を理解したうえで検討することが重要です。 そこで本記事では、住宅業界で「職人」として転職するメリットとデメリットについてご紹介したいと思います。


住宅業界のリペア業とは?資格は必要?

住宅業界のリペア業とは?資格は必要?

住宅の建築工事では着工から竣工まで多くの専門業者が携わりますが、そのひとつに「リペア業」があります。 「リペア業」とは、住宅の建築工事で使用する仕上げ材や家具、設備などについたキズを補修する業者のことをいい、「補修屋」と呼ばれることもあります。 比較的歴史の浅い技術ですが、住宅の建築工事では補修の工程が当たり前に設定されるなど、非常に注目の業種です。 では、「リペア業」の仕事は具体的にどのようなことを行うのでしょうか? また、「リペア業」の技術を習得し活躍するには資格が必要なのでしょうか? そこで本記事では、住宅業界で注目の「リペア業」とはどのような仕事なのか、そして活躍するために資格は必要なのかなど、詳しく解説したいと思います。


最近話題のキーワード

ハウジングインダストリーで話題のキーワード


新築工事 現場監督 施工管理 住宅 利益 営業 知識 職人 資格