建設業界で施工管理の仕事をするうえで、取得すると有利な国家資格といえば「施工管理技士」です。
「施工管理技士」には7つの種類があり、なかでも道路や河川などの土木工事に携わるなら「土木施工管理技士」を取得するとよいでしょう。
「土木施工管理技士」を取得することで仕事の幅が広がり、キャリアアップや転職にも大いに役立ちます。
ただし資格の取得には、一定の条件を満たしたうえで試験に合格しなくてはなりません。
そこで本記事では、「土木施工管理技士」の受験資格や取得するとできる仕事についてご紹介したいと思います。
土木施工管理技術検定の概要
土木施工管理技士は7つの種類がある「施工管理技士」国家資格のうちのひとつで、技術検定試験は「一般財団法人全国建設研修センター」により実施されています。
一般財団法人 全国建設研修センター(JCTC)は、国づくり・まちづくり並びにこれに携わる人材の育成に全力で取り組んでいます。
土木施工管理技士は1級と2級に分かれており、それぞれ受験資格が異なります。
また建築業法の改正にともない施工管理技士の技術検定制度も見直され、2021年度より新制度となってスタートしています。
新制度のとくに大きなポイントとなるのは以下の2つです。
- 「学科試験」と「実地試験」が「第一次検定」と「第二次検定」に名称変更
- 「技士補」資格の新設
これまで「学科試験」と「実地試験」だった技術検定は、新制度から「第一次検定」と「第二次検定」へと名称が変更されています。
また「第一次検定」を合格することで「技士補」の称号を、そして「第二次検定」を合格することで「施工管理技士」の称号を得られます。
なお、「技士補」については「施工管理技士を補佐する新しい資格「技士補」とは?いつから始まる?」の記事を参考にしてください。
1級土木施工管理技術検定の受験資格
1級土木施工管理技術検定を受けるには、設定された受験資格を満たさなくてはなりません。
そして技術検定には第一次検定と第二次検定があり、第一次検定に合格することで第二次検定の受検が可能となります。
1級土木施工管理技術検定の受験資格とは、以下の(イ)(ロ)(ハ)(ニ)のいずれかに該当する人です。
(イ)学歴、(ロ)2級土木施工管理技術検定合格者
(ハ)専任の主任技術者の実務経験が1年以上ある者
(ニ)指導監督的実務経験年数が1年以上、主任技術者の資格要件成立後専任の監理技術者の指導のもとにおける実務経験が2年以上ある者
一般財団法人全国建設研修センター:1級土木施工管理技術検定 受検の手引
2級土木施工管理技術検定の受験資格
2 級土木施工管理技術検定には、「土木」「鋼構造物塗装」「薬液注入」の3つの種別があります。
これら3つの種別には、専任技術者になれる工事業種が定められているため、対応する分野での取得が必要です。
また、2級土木施工管理技術検定試験には以下の通り3つの試験区分があり、いずれかの区分を選択し、受験資格を満たしていることを確認して申し込むことになります。
- 第一次・第二次検定
- 第二次検定のみ
- 第一次検定のみ
なお、試験のスケジュールは前期と後期に分かれており、前期は「第一次検定のみ」となります。
■第一次・第二次検定
「第一次・第二次検定」の受験資格は、以下の(イ)(ロ)(ハ)(ニ)のいずれかに該当する人です。
一般財団法人全国建設研修センター:2級土木施工管理技術検定
■第二次検定のみ
「第二次検定のみ」の受験資格は、以下のいずれかに該当する人です。
- 当年度の2級土木施工管理技術検定の「第一次検定のみ」を除く「第一次検定」の受験者
- 第一次検定免除者
■第一次検定のみ
- 試験実施年度において満17歳以上となる人
土木施工管理技士を取得するとできる仕事
土木施工管理技士は、おもに土木工事における施工管理の仕事で効果を発揮します。
施工管理の仕事は非常に幅が広くあらゆることに対応しなくてはなりませんが、とくに重要な業務となるのは以下の4つです。
- 工程管理
- 安全管理
- 品質管理
- 原価管理
土木工事は、道路や河川のような私たちの生活を支えるインフラを整備する工事や、自然災害の復旧工事など、おもに地面より下の部分を担当します。
これらの工事は、きわめて社会的貢献度が高く、また地図にも残る仕事であることから、やりがいの大きな仕事といえるでしょう。
よって、公共工事となることも非常に多く、設定された工期のなかで適切な品質を確保するには施工管理の仕事がキモになるのです。
■1級土木工事施工管理技士ができる仕事
1級土木工事施工管理技士を取得すると、工事現場への配置が義務付けられている「主任技術者」および「監理技術者」として活躍することが可能になります。
建設業者は、工事現場において一定以上の施工技術水準を管理する「主任技術者」を設置しなければなりません。
また元請の場合、下請契約の外注金額の合計が4,000万円以上の現場には「主任技術者」に変わって「監理技術者」を設置しなければならないことが定められています。
これら技術者になるためには一定の要件を満たす必要があり、その要件のひとつが「施工管理技士」の有資格者であることです。
つまり1級土木工事施工管理技士は、「主任技術者」や「監理技術者」など責任の大きな立場で仕事が行えるようになるということです。
■2級土木工事施工管理技士ができる仕事
2級土木工事施工管理技士を取得すると、「主任技術者」として活躍することが可能になります。
なお、2級国家資格を取得するだけで「監理技術者」にはなれません。
「主任技術者」と「管理技術者」になるための条件は以下の通りになります。
国土交通省:「専任技術者」資料
まとめ
土木工事は、公共工事も多く、将来的にも非常に安定した業種といえます。
また、工事を円滑に進めるために必要な施工管理の仕事は、ニーズが高く活躍の場も多いでしょう。
しかし、建設業界は慢性的な人手不足が課題となっており、人材の確保は急務となっています。
そのため、働きながら資格取得をバックアップする会社も多く見られます。
社会の貢献できる仕事で広く活躍したいと希望している人は、土木工事施工管理技士を目指してみてはいかがでしょうか。
※この記事はリバイバル記事です。