コンクリートの使用用途
コンクリートは世界中でもっとも広範に使用されている建築資材です。一般住宅、道路、ビル、マンション、工場だけでなく、ダム、橋梁、トンネル、港湾など公共設備や大型建造物にも一般的に用いられています。
コンクリートが開発された際には、永久的に持つ夢の建材などと言われ、メンテナンスフリーだと考えられていました。しかし実際には施工不備や質の悪いコンクリート、メンテナンスの未実施なども影響し、コンクリートの老朽化が問題にもなっています。これらは今後解決していく問題として挙げられていますが、正しい施工方法によるコンクリートは何十年何百年と耐久性を発揮できる建材であることに変わりなく、現代建築において非常に幅広く用いられています。
コンクリートの成分と各用途
コンクリートというのは、コンクリートという物質があるわけではなく、いくつかの物を混ぜ合わせたものになります。コンクリートは、セメント、水、砂、砂利、を混ぜたものを言います。セメント、水、砂を混ぜたものはモルタルと言います。
簡単に、セメントはボンドのようなものです。ボンドをそのまま大量に使うことは費用面でかなり負担がかかり、またボンドだけでは強度に不具合が生じるイメージです。モルタルは、タイルの接着剤、補修材、仕上げ材として用いられます。
■セメントとは
セメントは石灰石、粘土、石膏などが混ざったもので、水と水和することで重合反応を起こし硬化します。セメントにも種類がありますが、建材の70%がポルトランドセメントと言われるセメントが使用されています。
■なぜコンクリートは砂利を混ぜているのか
建材に砂利を混ぜるということに違和感を覚える方は多いのではないでしょうか?例えば住宅の建材では木材や鉄、樹脂などが使われていますが、砂利というのは非常に不安定で建材として十分な耐久性を持つのかと思うかもしれません。しかし実は、砂利つまり石は素材の中で一番安定したものであり耐久性が非常に高いものです。石は他の物質と化学反応を起こさず、燃えることもないためです。また、以下の理由もあります。
・発熱抑制
セメントの硬化の際に発熱しますが、砂利によりこの発熱が抑えられます。
・収縮の抑制
セメントのみでは乾燥の際に収縮し、ひび割れを起こします。砂利を入れることでこの収縮を少なくし、コンクリート自体のひび割れを防ぐことができます。
・コストの抑制
セメントより砂利の方が安いです。砂利を入れることで容積が増し、建材として比較的単価を低くすることができます。
これらの理由から、セメントに砂利を混ぜたコンクリートは機能面、コスト面で非常に理にかなっているのです。
住宅におけるコンクリートの利用
住宅では鉄筋コンクリートや土間などに用いられています。コンクリートは引っ張り力には弱いため、鉄筋を入れることで強度を高くしています。土間、駐車スペースなどの重量がかかる場所にも十分な耐久性を持つ建材としても用いられています。
住宅のコンクリートの劣化
コンクリートの劣化は大きく2つです。1.ひびが入る、2.中の鉄筋が錆びるです。
1.ひびが入る原因は、地震と雨水の吸収と乾燥です。地震が起きた際にコンクリートが他の建材に衝突したり、振動の力を逃しきれなかった場合にびびが発生します。例えば駐車スペースでコンクリートを全面に打つとひび割れるため、コンクリートにスリットを入れたり、間に土や砂利のスペースを挟むことで衝撃を吸収する構造にします。
雨水による収縮でもひびが入ります。コンクリート専用の撥水防水剤を塗布することで耐久性が向上します。
2.中の鉄筋はひびから水が侵入することで錆びていきます。ひびを放っておいてしまう方が多く、後から修繕するためには高額な費用がかかります。ひびが入った際には早急に補修することが望ましいです。
まとめ
コンクリートは非常に幅広く使われている建材ですが、実は奥深い材料です。セメントと砂、砂利でできていること、鉄筋コンクリートの場合には、ひびから鉄筋が錆び腐食してしまうことを覚えておきましょう。こういった簡単な知識があるだけで、お客様に安心感を与えることができます。
※この記事はリバイバル記事です。