人口減少により住宅業界も衰退していくのか!?これからの転職は考え直した方が良いのか

人口減少により住宅業界も衰退していくのか!?これからの転職は考え直した方が良いのか

 転職を考える際に、業界規模や市場、今後の市場推移などを把握することは将来を考える上で非常に重要です。住宅業界というのは、人口に直接的に関わってくる業界と言えます。日本は人口減少が進んでおり、少子高齢化していっています。そこで実際に住宅業界の現場と、今後の予測をご紹介いたします。


人口減少は、人口増加が止まっただけ

 日本の人口は1950年の時点で約8,000万人、2008年で約1億3000万人となり、ピークを迎えます。ここから徐々に人口減少しており、2060年頃には約8,000万人となり1950年のときと同じくらいの人口になる予想がされています。
 つまり人口減少と大きく言われていますが、実は人口自体は増えていたのが止まったというのが正しい言い方でしょうか。それよりも高齢化が進み、少子高齢化という人口内訳になることが不安視されています。

新設住宅着工戸数は人口減少の影響を受けていない!?

 年間で新しく住宅を建てる工事が何件始まったのかを示すのが、新設住宅着工戸数です。国土交通省のデータによると、2016年から2018年まで新設住宅着工戸数は増加し、2019年に少し減少しています。また、2006年に新設住宅着工戸数は約118万戸ですが、2009年には約71万戸に大きく減少し、そこから徐々に回復し2012年から2019年まで約80~90万戸の間を推移しています。つまり、人口のピークとなった2008年から考えると、そこまで新設住宅着工戸数は人口減少の影響を受けていないように見えます。ただ、人口の年代別推移も考慮しなければならないため、単純に影響がないとすることはできないでしょう。

住宅業界規模は増加している

 住宅業界は2013年から2019年まで実は規模が拡大しています。人口減少や、新設住宅着工戸数の現象にも関わらず、業界規模が伸びている理由は、単価上げや海外市場の開拓によるためです。住宅件数が減っても、単価を上げたり、海外市場での売上をここでは考慮しているため、住宅業界自体は成長しています。
 意外なデータだったのではないでしょうか。人口減少しているからこれからの住宅業界は厳しいという声を聞きますが、実はそこまで単純な話ではないのです。

結論|人口減少により住宅業界の市場が減るとは言えない

 人口減少と住宅業界の市場は完全に相関関係にあるわけではないと言えるでしょう。つまり、これから住宅業界に転職しようと考えている方も、そこまで不安になる必要はありません。
 また、近年では低価格なローコスト住宅というものも浸透してきています。今までは人生で1度の大きなお買い物と言われてきましたが、人生で2,3軒建てるというのが当たり前になってくるかもしれません。5000万円の住宅をローンを組んで建てるより、2500万円の住宅を2回建てるというようなスタイルになる可能性もあるからです。

人口減少でも住宅業界の市場が拡大する可能性

・景気の上昇
景気が上昇すれば住宅は売れます。また、経済が潤っていれば、住宅の単価も高くなります。新設住宅着工戸数が多少減少しても単価が上昇することで、市場規模も大きくなるからです。また、別荘を持つ方が増えることも考えられます。

・住宅への関心の高まり
住宅へのこだわりが強くなるというトレンドがくれば、住宅の単価が上がることも考えられます。例えば、趣味に年間50万円使う人が、住宅へのこだわりにその金額を使う場合、5年間の出費250万円分を住宅に使おうと考えるといったイメージです。

まとめ

 住宅業界市場は人口減少と単純な相関があるとまでは言えないでしょう。複雑な要因が関わってくるものになります。つまり、人口減少するから絶対に住宅業界市場が減退し、これからの転職を控えた方がいいというわけではないです。




※この記事はリバイバル記事です。

関連するキーワード


住宅 市場

関連する投稿


住宅ローンの定番「フラット35」とは?特徴や銀行ローンとの違い

住宅ローンの定番「フラット35」とは?特徴や銀行ローンとの違い

住宅を購入する際、多くの人が利用する住宅ローンですが、なかでも定番といえるのは「フラット35」になるでしょう。 「フラット35」の最大の特徴は「固定金利型」であることです。 「固定金利型」であることで、借り入れの時点で返済金額がわかり、また計画も立てやすくなります。 また、この他にも民間銀行が取り扱う住宅ローンとは異なる特徴があるため、知識として理解しておくとよいでしょう。 そこで本記事では、「フラット35」の特徴や銀行ローンとの違いについて徹底解説したいと思います。


【住宅建築の基礎知識】セメント、モルタル、コンクリートの違いとは?

【住宅建築の基礎知識】セメント、モルタル、コンクリートの違いとは?

住宅建築においては、非常に多くの建材が使われています。 なかでも「セメント」「モルタル」「コンクリート」については、必ず使用されるポピュラーな建材となります。 しかし、これらがどのような建材なのか、またそれぞれの違いがよくわからないという人もいるのではないでしょうか? そこで本記事では、「セメント」「モルタル」「コンクリート」について、それぞれの特徴の違いなどを徹底解説したいと思います。


プレハブ住宅とはどんな住宅?種類や特徴を解説

プレハブ住宅とはどんな住宅?種類や特徴を解説

戸建て住宅はいくつかの種類に分けられますが、建築するときの工法によっても分類することが可能です。 代表的な工法といえば「木造軸組工法」や「木造枠組壁式(ツーバイフォー)工法」、「プレハブ工法」などが挙げられます。 そして、この「プレハブ工法」で建てられた住宅が「プレハブ住宅」です。 また「プレハブ住宅」は、さらにいくつかの種類に分かれており、それぞれ特徴が異なります。 そこで本記事では、「プレハブ住宅」とは具体的にどのような住宅のことをいうのか、そしてどのような種類や特徴があるのかなど、徹底解説したいと思います。


住宅業界で働く人のリフレッシュ方法まとめ

住宅業界で働く人のリフレッシュ方法まとめ

住宅営業や、現場監督など非常に忙しく接客業でもあるためクレームやトラブルも多くストレスを溜めがちです。そこで、休日はどのようにリフレッシュしているのでしょうか?ストレスをうまく発散できない方も、他の方のリフレッシュ方法を真似してみましょう!1人で休日を過ごす方も、友達と遊ぶというものまで、それぞれご紹介いたします。


【住宅建築の基礎知識】住宅の耐震性能はどこでわかる?

【住宅建築の基礎知識】住宅の耐震性能はどこでわかる?

家づくりに携わるうえで知っておきたいことのひとつに「耐震性能」があります。 というのも、日本は地震大国であり、住宅の「耐震性能」を高めることは暮らす人たちの命を守ることにつながるためです。 しかし「耐震性能」の高さはどうすればわかるのでしょうか? 住宅の「耐震性能」には目安となる基準があり、満たしているかどうかで判断することが可能となります。 そこで本記事では、住宅の「耐震性能」がわかる目安について、解説したいと思います。


最新の投稿


施工管理は何歳までできる仕事?高齢者でも大丈夫?

施工管理は何歳までできる仕事?高齢者でも大丈夫?

建設業界の仕事は、「体力が必要で、高齢者にとってはきついのでは?」というイメージを持つ人もいるのではないでしょうか? 確かに、高齢化にともない筋力や視力の衰えなど身体機能の低下による影響が出てくることは、安全面で不安な部分が生じてくる可能性があります。 しかし一方で、業界の著しい高齢化に対応するべく、高齢者へ配慮された現場の環境づくりは徐々に進んでいます。 では、施工管理の仕事は何歳までできる仕事なのでしょうか?また高齢者でもできるのでしょうか? そこで本記事では、施工管理はいったい何歳までできる仕事で高齢者でも可能なのか、ご紹介したいと思います。


【建設業のヒヤリハット】認識する重要性と事例をご紹介!

【建設業のヒヤリハット】認識する重要性と事例をご紹介!

建設業界の労働災害は、減少傾向にあるとはいえ他の産業と比べても多く発生しています。 また、工事現場で作業に従事する人は、労働災害にいたらないまでも「ヒヤリ」としたり「ハッ」としたりといった経験は少なからずあるでしょう。 このような、つい見過ごしてしまいがちな「ヒヤリハット」を認識し、危険の芽を摘み取ることが労働災害を防止するうえで重要になります。 そこで本記事では、建設業界の「ヒヤリハット」を認識することの重要性について、事例を交えながらご紹介したいと思います。


住宅ローンの定番「フラット35」とは?特徴や銀行ローンとの違い

住宅ローンの定番「フラット35」とは?特徴や銀行ローンとの違い

住宅を購入する際、多くの人が利用する住宅ローンですが、なかでも定番といえるのは「フラット35」になるでしょう。 「フラット35」の最大の特徴は「固定金利型」であることです。 「固定金利型」であることで、借り入れの時点で返済金額がわかり、また計画も立てやすくなります。 また、この他にも民間銀行が取り扱う住宅ローンとは異なる特徴があるため、知識として理解しておくとよいでしょう。 そこで本記事では、「フラット35」の特徴や銀行ローンとの違いについて徹底解説したいと思います。


【住宅建築の基礎知識】セメント、モルタル、コンクリートの違いとは?

【住宅建築の基礎知識】セメント、モルタル、コンクリートの違いとは?

住宅建築においては、非常に多くの建材が使われています。 なかでも「セメント」「モルタル」「コンクリート」については、必ず使用されるポピュラーな建材となります。 しかし、これらがどのような建材なのか、またそれぞれの違いがよくわからないという人もいるのではないでしょうか? そこで本記事では、「セメント」「モルタル」「コンクリート」について、それぞれの特徴の違いなどを徹底解説したいと思います。


安全管理の具体的業務|現場監督の責任

安全管理の具体的業務|現場監督の責任

現場監督にとって、安全管理業務は最も重要な仕事です。危険が多い建設作業で、無事故で完工することを一番の目的にする必要があります。安全管理は具体的にどうやっているの?そもそも各自が安全管理をするだけではダメなのか、など現場監督の重要性と責任についてご紹介いたします。