[まずはココから]建物は、倒れない構造で出来ている
様々ある建築工法ですが、簡単にいうと「部材を組み合わせたときに、倒れない組み方」=「工法」になります。この倒れない組み方に、住みやすいような機能をプラスしています。例えば、雨漏りしないという最低限のことや断熱効果、外観の美しさを追求して建造物が建っています。
つまり、在来工法も倒れない構造で、住みやすい家づくりに適した部材の組み合わせ方ということです。
在来工法(木造軸組工法)は線で支える構造
在来工法は簡単に説明すると、コンクリートの基礎を作り、そこに柱を立てます。そして梁を組み骨組みとします。これで屋根や壁を取り付けます。この際、柱と梁はそのままでは耐久性が低いため、適度に筋交いを入れ耐力壁を作ります。筋交いとは×字状に柱と梁を固定したものです。また、接合部は金物によって補強されています。
ツーバイフォー工法は面で建造物を支えているのに対して、在来工法は線で建造物を支えていると言えます。もっとイメージしやすくすると、在来工法は1Fと2Fを柱で支え、これを通し柱と言います。一方ツーバイフォー工法は、この通し柱が必要ありません。1Fの床を作ったのちに2Fを作っていきます。1Fの壁を面で組み立てていくため、通し柱が必要ないのです。
在来工法(木造軸組工法)の特徴
在来工法で建てられた家がどのような特徴を持っているのか、簡単にご紹介します。工法というのは、建物が倒れない構造をとる部材の組み合わせ方とご説明しましたが、この部材の組み合わせ方によって特徴があるという意味になります。
■4つのメリット
・間取りが自由
柱と梁で構造を維持しているため、壁をどこに作るかが決まっていません。つまり様々な間取りを実現することができます。ツーバイフォー工法の場合、壁は構造体となっているため、減らしてしまうと強度を確保できません。
・開口部を広くできる
柱の間に窓を設置することが容易です。そのため大きい窓を取り付ける場合などは、在来工法でないとできない場合が多いです。この際耐力壁を置かなければ耐震性が確保できない場所の場合は、窓などを設置することはできません(筋交いを取り付けるため、窓は取り付けられない)。
・リフォームしやすい
壁を壊したり、増築したりがしやすいです。壁を壊すことができるため、部屋をつなげたり、部屋を分けたりなどの変更が建てた後からでも融通が効きます。ツーバイフォー工法では、このように壁を壊すことができないため、比較的リフォームしにくいと言われています。
・施工業者が豊富
在来工法は日本家屋で一番採用されているため、職人も多いです。そのほかの工法だと近くに良い工務店がない状況などもあります。
■2つのデメリット
・大工の技術に反映される
施工方法がツーバイフォー工法よりも少し複雑なため、大工によって品質に差がててしまいやすいです。この点はツーバイフォー工法はシステム化されているため品質に差が出にくいです。
・耐震性が比較的低い
ツーバイフォー工法に比べれば、耐震性は低いかもしれません。ただ、建築基準法に則って建てられているため、耐震性に問題があるものではありません。一般的に窓を大きくすると耐震性が低くなると言われていますが、きちんと構造計算をして耐力壁などにより耐震性を確保すれば、在来工法でも問題のない住宅を建てることが可能です。
在来工法(木造軸組工法)の工事順序
簡単に工事順序をご紹介します。(建てる建造物や工務店などによって違う場合もあります)
↓基礎を作る
↓主要な構造材を一気に組み立てる(柱と梁)(棟上げと言います)↓2F床を弓立てる
↓補助的な構造材を取り付ける(筋交いなど)
↓屋根を組み立てる
↓屋根材、外装材、サッシ等を取り付ける
になります。一方ツーバイフォー工法は、棟上げや筋交いの取り付けなどの現場作業がほとんどなく、システム化されて進んでいくため工期が短くなります。工期が短いということは、大工の必要な日数(人工)が少なくなります。そのため、在来工法の方が比較的建築コストが高くなる傾向にあります。
まとめ
在来工法(木造軸組工法)は、通し柱を必要とする一般的にイメージされる木造建築です。築1200年以上を誇る法隆寺も在来工法で建てられています。きちんと建てれば耐震性等全く問題のない工法で、日本家屋はほとんどが在来工法で建てられています。ただコストや工期が優れているツーバイフォー工法が大手ハウスメーカーでも採用が増えています。間取りなどにこだわる木造住宅の場合は、在来工法を採用されることが多いです。少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。
※この記事はリバイバル記事です。