中古住宅を買ってもらうためにしていること
中古住宅は、その状態は新築よりも必ず見劣りします。たとえ購入価格が500万円安かったとしても、あまりに見た目が悪ければ欲しがる人は少ないです。食品でも全く味は変わらないとしても、見た目があまりにも悪いものは安くても買わないという購買心理と一緒です。
そこで中古住宅を買ってもらうために、売主は様々な工夫をしています。この工夫がどのようなものなのかを知っておくことで、中古住宅を購入する際に失敗することが少なくなります。
■中古住宅をなぜ買わないか
まず中古住宅よりも新築住宅を好んで購入される理由はなんでしょうか。日本の場合には耐震基準が更新されていることもあり、旧耐震基準の住宅というものは敬遠されます。国としても耐震性能が高い住宅ストックを増やそうとしているため、築年数が30年以上経過している物件などは売れにくいです。
そして見た目の問題です。外観はさることながら内装に関しても、中古住宅はあまり魅力的に見えないことが多いです。売りに出される際には、あらゆる修繕リフォームを行ってから売りに出すオーナーは少ないです。なぜならもう住まない住宅にお金をかけたく無いからです。そこで、リノベーション物件は、不動産などが安く買い取った上で不動産がリノベーションを施してから販売するということも多いです。
■リノベーションにより購買意欲を高める
リノベーションとありますが、工事内容としては外装の塗装、クロス、フローリングの張り替え、トイレ、浴室交換、キッチン交換といった比較的簡単な工事です。見た目はほぼ新築のようになりますので、リノベーションと言っていますが工事内容としては上物を交換しただけですので、住宅性能は変わりません。
住宅性能というのは、断熱性能、耐震性能などの構造に関わる部分の性能のことを指します。これらの性能が住みやすさに直結するのですが、あまり住宅についての知識がない方は、内装の綺麗さで中古物件を選んでしまう方も多いです。
リノベーションをする売り手のメリット
売り手は、中古物件をリノベーションすることでどのようなメリットがあるでしょうか?買い手は、売り手の意図を見抜いて購入する必要があります。
住宅は不動産が仲介しているので安心と安易に考えてはいけない商品です。住宅については不動産も詳しく状態を把握していないことも多いです。外見は目視で判断できますが、壁の中に隠れている部分については調査せずに扱っているためです。
■安く改装し、高く販売したい
売り手は基本的に、物件を安く改装し、高く販売できるようにリノベーションを行っています。例えば、クロス、トイレ、浴室、キッチンをリノベーションした場合と、これらプラスでフローリングもリノベーションした場合で、どちらも同じ値段で売れるのであればフローリング工事はしません。
つまり、見た目を最低限にリノベーションし、断熱や防音性などの性能は上げなくても売れるのであれば、そういった工事はしないということです。中古住宅を購入する際には、最低限、断熱性能と耐震性に関しては現在の新築建売住宅程度の性能を有しているようなものを選択しましょう。
失敗ポイントまとめ
中古住宅を購入する際に、リノベーションされているのに失敗してしまっというポイントについてまとめます。
・耐震性能
・断熱性能
・水回り
に特に注意しましょう。
■耐震性能が低い
築年数が40年を超えるものは、耐震性能が著しく低い可能性があり、築20年程度より新しい物件の方が耐震性能に関しては安心です。1981年に耐震基準が変わったことや、2000年の建築基準法改正などが理由です。
耐震性能を上げる工事というものは、見た目にはわからないものなので、買い手も内見して実際に欲しくなるような要因でもありません。そのため工事費用に対して販売価格があまり上げられないため、利益が出ません。耐震性能を上げた中古物件はあまり出回っていないでしょう。
■断熱性能が低い
断熱性能も耐震性能と同じように、見た目ではわからないもので、工事費用もかかります。
クロス張り替えなどは、リフォームの中でも費用がかからない工事で、断熱性能を上げるためには壁を壊して施工する必要があるため、工事費用がかなりかかります。
このような理由で、断熱性能を挙げた中古物件も少ないです。
■水回りの劣化
水回りと言っても配管の劣化が特に問題です。配管工事は壁や床を一度壊す必要があるため、大掛かりな工事になり、コストが高くなります。
リノベーション物件のために配管工事まで行うことはかなり少ないと言えるでしょう。