建築業界でリフォーム会社が伸びてきている理由は?下請け構造の問題

建築業界でリフォーム会社が伸びてきている理由は?下請け構造の問題

建築業界で、リフォーム会社は市場とともに成長してきています。リフォームは、一般のお客様から直接受注できるため、下請け構造の問題から脱却することができます。リフォーム工事自体もそこまで大掛かりなものではないため、1次下請け程度の管理で施工を完了することができます。リフォーム会社が伸びてきている理由、下請け構造の問題などについてご紹介いたします。


リフォーム市場が着実に伸びてきている

リフォーム市場は2021年度には6.7兆円、2022年度には6.9兆円と拡大が見込まれており、着実に成長してきています。
国土交通省でも中古住宅や空き家などの活用を推進しており、中古住宅の市場規模を現在12兆円から、2030年には14兆円、その後20兆円と伸ばしていく方針です。

これらの事由によりリフォーム市場は、成長して行っています。また、在宅ワークが多くなりDIYなどのブームもありリフォーム対する考えが身近になってきていることも要因の一つと考えられます。このようなリフォーム需要が伸びてくる中で、必然的にリフォーム会社も伸びてきています。

リフォーム会社の特徴

リフォーム会社は、リフォームを請け負うのですが設備関係のリフォーム、塗装などのメンテナンスリフォームを専門に行うなどリフォームでも特化している会社も多いです。
これらの会社は職人を自社で持っている場合もあれば、下請け業者を抱えているもしくは両者の場合もあります。

リフォーム会社や大手ハウスメーカーなどの下請け業者となっている場合には、数人程度の個人経営の会社も多いです。複数人抱えた企業の場合は、元請けと下請けの両方を行なっているという会社もあります。

下請け構造からの脱却

建築業界は下請け構造が根強く、ゼネコンやハウスメーカーなどは実際の工事は下請け業者が全て行っていると言っても過言ではありません。営業、デザイン提案、クライアントとの折衝を行い受注してからは下請け業者に発注して工事を完成させます。

リフォーム会社は上記のような下請け構造から脱却することができるビジネスモデルです。一般消費者が、リフォーム会社に直接依頼するという構造を取ることができ、元請け会社として経営することが可能です。

大手が手を出しくい

リフォーム会社が元請けとして成り立っているのは、大手がリフォーム会社としてあまり力を入れてこなかったこともあります。その理由には、大手が高い金額で提示して実際の工事は地元の会社という構造であったため、お客様も地元の会社に直接頼むという構造がまだ残っていたためです。

また大手は、リフォーム工事を地元企業に委託する場合、お客様からのクレーム対応などを引き受けなければならないことと、単価自体が低いため採算がだんだんと合わなくなってくるのです。そのため大手はリフォーム会社としてあまり力を入れておらず、地元の企業などが大きくなってきたという構造もあります。

各建物に対して、同じ品質を提供するということは、工事する職人の腕などに左右されるため難しいことなのです。大手ハウスメーカーなどが、工場生産したものを現地で組み立てるという技術が発達していることはそのような理由もあります。

リフォーム会社は元請け会社へ

リフォーム会社は元請け会社として成長してきています。特に、塗装などのメンテナンスリフォームなどは定期的に仕事が発生し、利益率も比較的高いビジネスモデルとなっています。

下請け構造へと戻ることもある

一方で下請け構造へと逆戻りしてしまうこともあります。それは、キッチンやトイレなどの設備関係のリフォーム会社です。これらの設備は商品があり、それを交換するなどの比較的簡単な工事となっており、商品単価が設定されているために工事単価も相場が低く固定されてきているためです。

例えば塗装工事などでは、同じ塗料を使っても全く別の仕上がりになることもあります。しかしキッチン交換などは商品が同じであれば、どの会社でもほとんど仕上がりに変わりはありません。このように利益を確保できなくなってきた会社は、大手の下請け業者へと変わってしまうこともあります。

リフォーム会社の利益増加による活性化がリフォーム市場を後押し

リフォーム会社は元請け会社として経営することで、利益が増加し、事業が発展していきます。利益が増加することで、営業を雇うようになり、営業は顧客の開拓を行います。また売上増加のための施策として、様々なリフォーム工事の提案を行うようになり客単価も上がっていきます。

このような構造により、リフォーム会社は伸びていきリフォーム市場が成長していく要因ともなっています。

建築業界の下請け構造は、リフォーム会社の場合には比較的緩和され、下請けといっても1次下請け程度の場合が多いです。そのため下請け企業もある程度の利益を確保できるので、健全な経営ができるようになっています。

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