省エネ住宅に欠かせない!断熱材の施工方法と種類まとめ

省エネ住宅に欠かせない!断熱材の施工方法と種類まとめ

省エネ住宅には、断熱という考えが非常に重要で、冷暖房器具の使用を抑えエネルギー消費を減らすことができます。省エネ基準には、断熱性能が1つの指標となっており、2050年までカーボンニュートラルを実現するために断熱材そのものの技術力の向上も求められています。住宅建設において、断熱材は完成してからは目に見えない場所にあります。そのため断熱材というものが、どういうものだか知らないという方もほとんどです。この記事では、断熱材の施工方法、種類についてご紹介いたします。


断熱材の目的

「断熱」・・・室内外の熱移動を遮断する
断熱性能が高い住宅は、室内の温度に、外気の気温がほとんど影響しないということです。つまり、夏に冷房器具を使用し、涼しい空間が長持ちし、冬は暖房器具を使用してから暖かい空間が長持ちするということです。

冷暖房効率の高い住宅は、快適な生活空間を作ります。断熱性能が低い住宅だと、冷暖房の効きが悪くなかなか過ごしやすい室内温度にならなかったり、電源をつけっぱなしになるため電気代も高くなります。
一方断熱性能が高い住宅は、冷暖房器具を少し使用すればその室内温度が長い時間一定に保たれます。室内温度にストレスを感じることなく、1日中過ごしやすくなります。また、電気代も比較的抑えられるため、断熱材の導入コストよりも将来的にはお得になります。

断熱性能が高い住宅は、これからの日本で当たり前になり、省エネ基準を適合した住宅が義務付けられることも検討されています。

断熱材の施工方法と注意点

断熱材は、住宅建設において主に3つの施工方法があります。

・充填断熱
充填断熱は、室内壁の中の構造材の空間に断熱材を充填する断熱施工方法になります。グラスウールなどが一般的に用いられています。グラスウールなどは敷き詰める際に隙間が生じやすいというデメリットもあります。硬質発泡ウレタンフォームなどは、吹き付け工法により隙間のない断熱施工も可能です。

・内張断熱
RC造などの建築物で躯体と内装材の間に断熱材を設置します。ボード、パネルといった断熱材の形状をしたものがあります。

・外張り断熱
住宅の躯体構造の外側に断熱材を施工していく方法です。室内側に断熱材を施工しないため、室内空間をより自由に設計することが可能になるメリットがあります。構造材も断熱効果を受けるため、劣化の進行が遅くなります。


断熱と同時に気密性も高い住宅は、内部結露を引き起こす可能性があります。内部結露は、湿った空気が壁内部に流れ込み、内部で結露してしまう現象です。気密性能も高い住宅は、壁内部の湿気をうまく排出することができず、慢性的に中の構造材などが湿気を帯びている状態になります。このような状態が続くと、内部から建材が劣化してしまい住宅の寿命を大幅に短くしてしまう原因にもなります。
断熱材は防湿性も求められ、住宅にも換気性能が求められます。

断熱材の種類まとめ

断熱材は、住宅の内側にあるため実物を見たことがないまま過ごしている方もほとんどです。しかし、断熱性能が求められるようになり建築関係の職に就いていない方も断熱についての知識を持っています。住宅関係の方は必ず知っているようにしましょう。

断熱材の主な6種類

・グラスウール
安価で非常に広く普及している断熱材です。一般住宅の天井・壁・床に施工されています。難燃性で、吸音性も高いですが、水に弱く湿気が多いと崩れてきます。

・ロックウール
グラスウールに似ており、玄武岩やスラグを原料としています。水に弱いため湿気対策が必要です。

・セルロースファイバー
木質繊維系の断熱材で、新聞紙やダンボールといった木を原料としたものに、ホウ酸や硫酸アンモニウムを加えて難燃性、防虫効果を付与したものです。SDGsの観点からも注目されている断熱材ですが、価格が高く施工業者も少ないのがデメリットです。

・ポリスチレンフォーム
ビーズ法と押出法があり、ビーズ法はポリスチレン樹脂をビーズ状にしたもの、押出法はポリスチレン樹脂を発泡させながら押し出して板状にしたものです。押出法の方が、より高い断熱性を発揮します。

・硬質ウレタンフォーム
ポリウレタン樹脂を発泡させた断熱材です。ボード状のものや施工箇所に直接吹き付けていく工法があります。比較的高価ですが、ビルやマンションといった断熱には広く使用されているものです。

・フェノールフォーム
フェノール樹脂を発泡、硬化させたものです。断熱性能が圧倒的に高いですが、価格が高くあまり普及はされていません。

熱伝導率まとめ

熱伝導率をわかりやすくまとめました。熱伝導率は低い方が断熱効果が高くなります。この中では、フェノールフォームが一番断熱効果が高い断熱材です。

*熱伝導率は、W/(m・K)で表示
グラスウール 0.033-0.050
ロックウール 0.036-0.047
セルロースファイバー 0.040
ポリスチレンフォーム 0.024-0.043
硬質ウレタンフォーム 0.023-0.040
フェノールフォーム 0.022

それぞれメリットデメリットがあり、建材のコストの関係もあり、使用される断熱材はグラスウールやポリスチレンフォーム、硬質ウレタンフォームなどが多いです。

関連するキーワード


住宅

関連する投稿


住宅ローンの定番「フラット35」とは?特徴や銀行ローンとの違い

住宅ローンの定番「フラット35」とは?特徴や銀行ローンとの違い

住宅を購入する際、多くの人が利用する住宅ローンですが、なかでも定番といえるのは「フラット35」になるでしょう。 「フラット35」の最大の特徴は「固定金利型」であることです。 「固定金利型」であることで、借り入れの時点で返済金額がわかり、また計画も立てやすくなります。 また、この他にも民間銀行が取り扱う住宅ローンとは異なる特徴があるため、知識として理解しておくとよいでしょう。 そこで本記事では、「フラット35」の特徴や銀行ローンとの違いについて徹底解説したいと思います。


【住宅建築の基礎知識】セメント、モルタル、コンクリートの違いとは?

【住宅建築の基礎知識】セメント、モルタル、コンクリートの違いとは?

住宅建築においては、非常に多くの建材が使われています。 なかでも「セメント」「モルタル」「コンクリート」については、必ず使用されるポピュラーな建材となります。 しかし、これらがどのような建材なのか、またそれぞれの違いがよくわからないという人もいるのではないでしょうか? そこで本記事では、「セメント」「モルタル」「コンクリート」について、それぞれの特徴の違いなどを徹底解説したいと思います。


プレハブ住宅とはどんな住宅?種類や特徴を解説

プレハブ住宅とはどんな住宅?種類や特徴を解説

戸建て住宅はいくつかの種類に分けられますが、建築するときの工法によっても分類することが可能です。 代表的な工法といえば「木造軸組工法」や「木造枠組壁式(ツーバイフォー)工法」、「プレハブ工法」などが挙げられます。 そして、この「プレハブ工法」で建てられた住宅が「プレハブ住宅」です。 また「プレハブ住宅」は、さらにいくつかの種類に分かれており、それぞれ特徴が異なります。 そこで本記事では、「プレハブ住宅」とは具体的にどのような住宅のことをいうのか、そしてどのような種類や特徴があるのかなど、徹底解説したいと思います。


住宅業界で働く人のリフレッシュ方法まとめ

住宅業界で働く人のリフレッシュ方法まとめ

住宅営業や、現場監督など非常に忙しく接客業でもあるためクレームやトラブルも多くストレスを溜めがちです。そこで、休日はどのようにリフレッシュしているのでしょうか?ストレスをうまく発散できない方も、他の方のリフレッシュ方法を真似してみましょう!1人で休日を過ごす方も、友達と遊ぶというものまで、それぞれご紹介いたします。


【住宅建築の基礎知識】住宅の耐震性能はどこでわかる?

【住宅建築の基礎知識】住宅の耐震性能はどこでわかる?

家づくりに携わるうえで知っておきたいことのひとつに「耐震性能」があります。 というのも、日本は地震大国であり、住宅の「耐震性能」を高めることは暮らす人たちの命を守ることにつながるためです。 しかし「耐震性能」の高さはどうすればわかるのでしょうか? 住宅の「耐震性能」には目安となる基準があり、満たしているかどうかで判断することが可能となります。 そこで本記事では、住宅の「耐震性能」がわかる目安について、解説したいと思います。


最新の投稿


施工管理は何歳までできる仕事?高齢者でも大丈夫?

施工管理は何歳までできる仕事?高齢者でも大丈夫?

建設業界の仕事は、「体力が必要で、高齢者にとってはきついのでは?」というイメージを持つ人もいるのではないでしょうか? 確かに、高齢化にともない筋力や視力の衰えなど身体機能の低下による影響が出てくることは、安全面で不安な部分が生じてくる可能性があります。 しかし一方で、業界の著しい高齢化に対応するべく、高齢者へ配慮された現場の環境づくりは徐々に進んでいます。 では、施工管理の仕事は何歳までできる仕事なのでしょうか?また高齢者でもできるのでしょうか? そこで本記事では、施工管理はいったい何歳までできる仕事で高齢者でも可能なのか、ご紹介したいと思います。


【建設業のヒヤリハット】認識する重要性と事例をご紹介!

【建設業のヒヤリハット】認識する重要性と事例をご紹介!

建設業界の労働災害は、減少傾向にあるとはいえ他の産業と比べても多く発生しています。 また、工事現場で作業に従事する人は、労働災害にいたらないまでも「ヒヤリ」としたり「ハッ」としたりといった経験は少なからずあるでしょう。 このような、つい見過ごしてしまいがちな「ヒヤリハット」を認識し、危険の芽を摘み取ることが労働災害を防止するうえで重要になります。 そこで本記事では、建設業界の「ヒヤリハット」を認識することの重要性について、事例を交えながらご紹介したいと思います。


住宅ローンの定番「フラット35」とは?特徴や銀行ローンとの違い

住宅ローンの定番「フラット35」とは?特徴や銀行ローンとの違い

住宅を購入する際、多くの人が利用する住宅ローンですが、なかでも定番といえるのは「フラット35」になるでしょう。 「フラット35」の最大の特徴は「固定金利型」であることです。 「固定金利型」であることで、借り入れの時点で返済金額がわかり、また計画も立てやすくなります。 また、この他にも民間銀行が取り扱う住宅ローンとは異なる特徴があるため、知識として理解しておくとよいでしょう。 そこで本記事では、「フラット35」の特徴や銀行ローンとの違いについて徹底解説したいと思います。


【住宅建築の基礎知識】セメント、モルタル、コンクリートの違いとは?

【住宅建築の基礎知識】セメント、モルタル、コンクリートの違いとは?

住宅建築においては、非常に多くの建材が使われています。 なかでも「セメント」「モルタル」「コンクリート」については、必ず使用されるポピュラーな建材となります。 しかし、これらがどのような建材なのか、またそれぞれの違いがよくわからないという人もいるのではないでしょうか? そこで本記事では、「セメント」「モルタル」「コンクリート」について、それぞれの特徴の違いなどを徹底解説したいと思います。


安全管理の具体的業務|現場監督の責任

安全管理の具体的業務|現場監督の責任

現場監督にとって、安全管理業務は最も重要な仕事です。危険が多い建設作業で、無事故で完工することを一番の目的にする必要があります。安全管理は具体的にどうやっているの?そもそも各自が安全管理をするだけではダメなのか、など現場監督の重要性と責任についてご紹介いたします。