住宅建築においては、さまざまな建材が使用されますが、床仕上げ材にも多くの種類があります。
どの材料を選択するのかという点は、好みのデザインや生活スタイルに合ったものなどを考慮し、決定することになります。
しかし、床面は比較的面積も大きく、空間の雰囲気を左右するため、とくに慎重に選びたい材料のひとつです。
そこで本記事では、住宅でよく使用される床仕上げ材について、おもな種類と特徴などを徹底解説したいと思います。
床仕上げ材の種類と特徴について
住宅で使用される床仕上げ材には、非常に多くの種類があります。
なかでも代表的なのは、以下のようなものが挙げられます。
- フローリング
- クッションフロア
- フロアタイル
- 畳
■フローリング
住宅の床仕上げ材で最も多く使われているものといえばフローリングです。
フローリングは、木を材料し、床仕上げ材として加工したものになります。
ナチュラル素材の性質から、柔らかさや温もりを感じられる空間づくりができることがおもな特徴です。
またフローリングは「無垢フローリング」と「複合フリーリング」に分けられますが、それぞれ異なる特徴を有しています。
無垢フローリング
無垢フローリングは、天然木をそのまま一枚板としてつくる床材です。
天然木であるため、調湿性が期待できることや経年とともに変化する風合いを楽しめることなど、無垢材ならではの特徴があります。
また、無垢フローリングは、水分の影響を受けると伸縮すること、材料コストが高くなることなどは注意が必要です。
複合フリーリング
複合フリーリングは、合板などの基材へ薄くスライスした天然木やシートを張り合わせてつくる床材です。
無垢フローリングよりもコストを抑えられますが、種類によっては無垢材のような質感は得にくく、安っぽい印象を受けることがある点は注意が必要となります。
また、複合フリーリングは「挽板」「突板」「シート」の3種類に分かれます。
- 挽板:天然木を2〜3mm程度の厚さで挽いた板を張り合わせたもの
- 突板:木材を0.2〜1mm程度の厚さでスライスした板を張り合わせたもの
- シート:木目模様をプリントした樹脂製のシートを張り合わせたもの
■クッションフロア
クッションフロアとは、塩化ビニール素材を使ったクッション性のあるシート状の床材で、頭文字を取って「CF」とも呼ばれています。
厚さの薄い材料で、木目柄やタイル柄など、さまざまなバリエーションのなかから選べます。
また、塩化ビニール素材であることから、水に強く、掃除も楽に行えるため、キッチンやトイレなど、水回りでよく使われる床仕上げ材です。
ただし、家具など重量の大きなものを置いた場合はへこんで跡が残ってしまうことや、見た目に安っぽさを感じることなどは注意が必要となります。
■フロアタイル
フロアタイルとは、クッションフロアと同様に塩化ビニール素材を使い、タイル状につくった床材です。
柔らかいクッションフロアに対し、適度な硬さと耐久性があるため、重量の大きなものを置いてもへこみやキズが生じにくくなっています。
そして、木目柄やタイル柄などバリエーションが豊富に揃っており、よりリアルな質感を楽しめるのも魅力のひとつです。
また、水にも強くメンテナンス性にも優れるため、水回りだけでなく、リビングや廊下、玄関など、あらゆる床面に使用できます。
ただし、クッションフロアよりも割高になってしまうことや防音性に劣ることなどは注意が必要です。
■畳
畳は、イグサなどを用いた畳表を芯材に張り付けてつくる、日本建築において古くから使われてきた伝統的な床材です。
おもに和室の床材として使われますが、洋室の一部や小上がりの床仕上げでもよく見られます。
また、近年では、フチなし畳やカラー畳など、モダンテイストな仕上げも人気となっています。
畳は、古くから使われてきたこともあり、日本の風土に適した性質を有していることが大きな特徴です。
例えば、調湿性や断熱性ですが、夏季の高温で湿度の高い環境や冬季の低温で乾燥する環境など、いずれにも畳は適しています。
さらに、適度なクッション性があることで、子供の遊び場や休憩スペースなど多用途に使える点も魅力です。
ただし、湿気がこもりやすい場所では、カビやダニなどが発生しやすいため、換気などの措置は必要となります。
まとめ
住宅の床仕上げ材には多くの種類がありますが、主流となっているのはフローリングです。
フローリングは、樹種も多く、その種類によって性質が異なることから、多くの選択肢のなかから好みのものを選べます。
また、今回紹介した仕上げ材以外にもカーペットや磁器質タイルなど、さまざまな種類があるため、生活スタイルや好みのデザインで選ぶことになるでしょう。