建築士の平均年収は約700万円
一級建築士の平均年収は、厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、約700万円です。難しい資格でありながら、あまり高くないという印象を受ける方も多いのではないでしょうか?もちろん日本の平均年収は約440万円ですので、これと比べると高いですが平均で700万円ということはそれよりも低い方も当然多くいらっしゃるということです。
■年収が低い建築士は何をしている?
建築士も請け負う仕事や、勤務先によっても年収は変わります。年収が比較的低い建築士とは、どのような場合でしょうか。
・中小の建築会社の建築士
大手ではなく中小の場合には、年収が比較的低くなります。同じ建築士の資格を取ったとしても、大手の方が給与は高くなります。建築士に資格手当をプラス10万円などとしているわけではなく、基本給が変わるためです。基本給が低い会社に就職すれば、年収も低くなってしまいます。
・下請けの建築会社
大手ハウスメーカーやその他建設会社の下請けという構造もあります。下請け企業の場合には、その分利益も少なくならざるを得ません。独立した建築会社は、下請けを行った方が安定しますので下請けにならざるを得ないという状態になることもあります。
以上のことからわかるように、年収が高い建築士というのは、大手ゼネコンなどで働くか、独立して成功しているかのどちらかになってしまうのです。
■建築士として働ける人は実は少ない?
一級建築士という資格を取得して、建築士として働いていない方もいらっしゃいます。もちろん資格を取得したからといって、その職種で働かなくてはいけないということではないからです。
また、建築士の資格には実務経験が必要ですが、建築関係の仕事で深くは設計に携わっていないという方もいらっしゃいます。その場合には、設計の実務経験が無いために独立などもできるスキルが無い場合もあります。
そして建築士として実務経験を長年積まずに、ブランクがあるとほとんど実務ができない、知識も抜けてしまったということになります。
企業も建築士が常に足りないというわけではありません。毎年建築学科の学生が新卒で入社できますし、結果資格を取得しても求人が常にあるわけではないのです。建築士になりたくても、希望の会社や条件で必ずしも働けるわけでは無いということです。
建築士の資格をとっても失敗する例
建築士の資格を取得してから、高収入で安定した生活を望んでいたけれども失敗してしまう例についてご紹介いたします。
■就職できない、給与が低い
そもそも就職先が無く、転職先も給与が低いといったこともあります。建築士の資格を取得したからといって、必ず高待遇の会社に就職できるというわけではありません。
また、高収入であっても激務であることもあります。こればかりは会社に左右されてしまいます。
■独立して仕事が来ない
建築士を取得して実務経験を積み、独立される方もいらっしゃいます。しかし、いわゆる士業(弁護士、税理士など)は、独立してから自ら仕事をとってこないと当然ですが報酬がありません。
独立してから不安定になり、営業がうまくできずに潰れてしまう場合も多くあります。建築士としてのニーズがあるのはあくまでも企業からであって、独立した場合にはその会社がエンドユーザーに求められるかになるので注意が必要です。
失敗するリスクは比較的低い
ここまで建築士として失敗する例などについてご紹介いたしましたが、実際は失敗するリスクは比較的低いといえます。それは建築士の資格が、実務経験を積む必要があるためです。実務経験が必要ということは、勤めている会社で建築士として働くことがほとんどの場合には前提となるためです。
また、独立して仕事がうまく取れないといった際にも建築系フリーランスも多くいらっしゃいます。このように能力やスキルを活かすことで、食べていけないということにはなりにくい資格です。