マイホームは、買主にとって一生に一度の大きな買い物であることはいうまでもありません。
ところが、新しい生活が始まり、建物に何らかの問題が発生することは、きわめて大きなリスクです。
そして、建物に何らかの不具合や欠陥がある状態のことを「瑕疵」といい、このとき消費者を守る制度として「瑕疵保証」や「瑕疵担保責任」、そして「瑕疵保険」などが挙げられます。
しかし、これらは具体的にどのような制度なのでしょうか?
そこで本記事では、「瑕疵保証」「瑕疵担保責任」「瑕疵保険」について、具体的にどのような制度なのか解説したいと思います。
住宅の「瑕疵保証」とは?
建物に何らかの不具合や欠陥がある状態のことを一般的に「瑕疵」といい、契約に適合しない「瑕疵」が発見された場合、買主は売主に対して責任を追及できることになっています。
この、「瑕疵」が発見されたときの補修費用について、買主の責任で保証する制度が「瑕疵保証」です。
また、目的物が契約内容と適合しない場合に売主が買主に対して負わなければならない責任のことを「契約不適合責任」といい、民法では以下のように定められています。
民法第562条
引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる
つまり、契約に適合しない内容が生じたとき、売主はその保証をしなければならないということです。
契約に適合しない内容には当然に「瑕疵」も含まれ、その補修費用に対する保証が「瑕疵保証」ということになります。
なお、「瑕疵保証」には、法律で定められている保証に加え、事業者が独自に設けている保証などもあります。
住宅の「瑕疵担保責任」とは?
住宅の「瑕疵担保責任」とは、引き渡し後に瑕疵が発見された場合に、売主が買主に対して負わなければならない責任のことをいいます。
この「瑕疵担保責任」は、改正以前の民法にあった概念であり、2020年施工の改正民法では大きく見直されています。
それが「瑕疵担保責任」に代わって新設された「契約不適合責任」です。
また、この見直しにより、民法上では「瑕疵」という文言は使用されなくなりましたが、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」では残り、以下のような定義も定められています。
品確法第2条5
この法律において「瑕疵」とは、種類又は品質に関して契約の内容に適合しない状態をいう
品確法とは、一般消費者が安心して住宅を購入できるよう、共通のルールを設定することによる品質確保や、問題が起こった場合の保証制度などを整備した法律です。
そして、この品確法では、新築住宅に関する「瑕疵担保責任」について以下の通り定められています。
品確法第95条
新築住宅の売買契約においては、売主は、買主に引き渡した時から十年間、住宅の構造耐力上主要な部分等の瑕疵について、担保の責任を負う
つまり、売主は、新築住宅の引き渡しから10年間について、一定の範囲で生じた瑕疵に対する責任を負わなければならないということです。
なお、この一定の範囲とは、「構造耐力上主要な部分」と「雨水の侵入を防止する部分」になります。
住宅の「瑕疵保険」とは?
住宅の「瑕疵保険」とは、引き渡し後に瑕疵が発生した場合、そのときにかかった補修費を賄うための保険制度のことです。
「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(住宅瑕疵担保履行法)」では、新築住宅を供給する事業者に対し、品確法にある「瑕疵担保責任」の履行を確実なものにするため「瑕疵保険への加入」、もしくは「保証金の供託」を義務付けています。
この制度により、新築住宅の場合は、引き渡しから10年間に発生する一定の瑕疵に対する保証は確実に履行されることになります。
なお、中古住宅については、保証に関する統一された基準がありません。
例えば、売主が宅建業者の場合の「瑕疵担保責任」は宅建業法で2年以上と定められていますが、個人の場合は契約内容によって異なります。
また、「瑕疵保険」への加入も、新築の場合と違い、義務ではなく任意となっています。
まとめ
住宅に何らかの不具合や欠陥がある状態のことを「瑕疵」といい、この状態のときに消費者を守る制度が「瑕疵保証」「瑕疵担保責任」「瑕疵保険」です。
少しずつ内容は異なりますが、万が一のトラブルでは非常に重要な役割を担う制度となります。