住宅の建築工事で必ず使うものにコンクリートやモルタルなどが挙げられますが、これらを構成する材料のひとつに「骨材」があります。
現場監督は、コンクリートを注文するときに、配合の指示をする必要があるため、「骨材」については一定の知識が必要です。
そして「骨材」には、いくつかの種類がありますが、具体的にどのような種類があり、またどのような役割を担っているのか、よくわからない人も多いのではないでしょうか?
そこで本記事では、コンクリートやモルタルなどを構成している「骨材」について、その種類と役割などを解説したいと思います。
骨材とはなに?
骨材とは、コンクリートやモルタルに含まれる砂や砂利のことをいいます。
例えば、コンクリートは、セメントと砂、砂利に水を加えて練り混ぜてつくりますが、このときの砂や砂利が骨材です。
また、現場監督がフレッシュコンクリートを注文するときは、「配合」を指定しなくてはなりません。
「配合」の指定は、おもに「呼び強度」「スランプ」「粗骨材の最大寸法」「セメントの種類」の項目について、設計資料に適合するよう数値などを指示します。
これらのうち骨材に関する項目は「粗骨材の最大寸法」です。
単位は「mm」とし、鉄筋のあきやかぶり厚さなどを考慮したうえで、型枠の隅々にまで充填できる大きさで注文する必要があります。
なお、コンクリートやモルタルに関する詳しい内容は、「【住宅建築の基礎知識】セメント、モルタル、コンクリートの違いとは?」の記事を参考にしてください。
骨材の種類について
骨材は、いくつかの種類に分けられます。
骨材のおもな種類について、以下に解説いたします。
■大きさによる分類
骨材は、粒の大きさによって以下の通り分類されています。
- 細骨材
- 粗骨材
細骨材
細骨材とは、10mmのふるいですべて通過し、5mm未満のものが質量にして全体の85%以上含んでいる骨材をいいます。
コンクリートを構成する材料のうち、砂は細骨材となります。
粗骨材
粗骨材とは、5mmのふるいで、質量にして85%以上が留まる骨材をいいます。
コンクリートを構成する材料のうち、砂利は粗骨材となります。
■製造方法による分類
骨材は、製造方法によっても以下の通り分類されています。
- 天然骨材
- 人工骨材
- 再生骨材
天然骨材
天然骨材とは、川砂や海砂、そして山砂利や陸砂利など、自然で採れるものをいいます。
人工骨材
人工骨材とは、砕石や高炉スラグ骨材など、人工的な加工を施してつくるものをいいます。
再生骨材
再生骨材とは、解体工事などで生じるコンクリート廃材をリサイクルしてつくるものをいいます。
骨材の役割とは
コンクリートやモルタルに含まれる骨材には、非常に重要な役割があります。
骨材のおもな役割について解説いたします。
■安定化を図る役割
骨材は、コンクリートやモルタルをつくるときに安定化を図ることが可能です。
例えば、コンクリートは、セメントと水が反応して起こる「水和反応」によって製造直後から徐々に硬化します。
そして「水和反応」のときには、発熱をともなうことから、場合によってはひび割れを起こす原因にもなります。
つまり「水和反応」によるリスクを軽減し、安定化を図るには、セメントの量を減らす必要があるということです。
そのため、セメントや水などと化学反応を起こさない骨材を配合しているわけです。
また、コンクリートは「水和反応」による硬化後には水分の蒸発などの影響もあり、自己収縮が起こります。
しかし、骨材を配合すると、自己収縮を抑制し、安定化を図ることが可能となります。
■コスト低減を図る役割
骨材は、コンクリートやモルタルをつくるときに材料のコスト低減を図ることが可能です。
例えば、コンクリートは、おもにセメントと砂、砂利、水を混ぜ合わせてつくりますが、これらのうち最も高額になるのはセメントになります。
つまり、骨材を入れることで相対的にセメントの割合が小さくなり、材料コストも安くなるというわけです。
骨材を配合しないほうが強度は高くなりますが、かなりの高額になってしまい、そのうえ安定性にも不安が生じるようでは、重要な構造物に使うことは難しいといえます。
まとめ
骨材は、住宅建築には欠かせないコンクリートやモルタルをつくるための材料のひとつです。
完成後の品質を維持し、そしてコストを低減するうえでも重要な役割を担っているものになります。
現場監督は、骨材の重要性をよく理解しておくとよいでしょう。