住宅会社の発注書・注文書・請求書|違い、役割、作成の流れをご紹介

住宅会社の発注書・注文書・請求書|違い、役割、作成の流れをご紹介

住宅会社は、発注書・注文書・請求書を書く業者に送るため、書類も多くなります。また、建築会社特有の専門用語が記載されることもあります。それぞれの書類の違いや役割、作成の流れについてご紹介いたします。発注書や注文書は、下請け法が適用される場合に必要となります。


発注書と注文書は、ほぼ同じ書類

発注書と注文書は、ほぼ同じ書類です。企業や業界の慣例の呼び名で分けていると考えて良いです。同一企業内では、呼び方が統一されていることが多いです。一般的な呼び分けルールとして、「形あるもの」は注文書、「作業などの依頼」は発注書としているところもあります。

発注書の役割

発注書は、相手業者に対して、何を発注したのかを明確に記録として残しておくものです。口頭での依頼だと、何を頼んだのかがお互いに不明確な部分があったりします。例えば、30分のの商談の中でも、「A工事はやめて、B工事にして、その際のa工事はそのままお願いします」という会話がよくます。口頭のみのやりとりだと、どこまでの工事なのかがお互いにわからなくなることもあるため、発注書を使用した方が間違いがありません。

発注書は、契約書とどう違う?

発注書は、契約書ではありません。契約書というものは、当事者双方が同意した契約を証明する書類です。契約は、口頭でもお互いの同意があれば成立しますが、発注書は、一方的に依頼した書類であるので、契約書の代わりにはなりません。

しかし、発注書が契約書と同等に扱われる以下の場合もあります。
・見積書に対する発注書
 見積書(受注側からの提案)に対して、発注書(発注側の申し込み)が発行されていれば、双方でその取引に合意があったとみなされるため、契約書と同等に扱われます。

・発注書と発注請書がある
発注請書とは、発注を承諾したことを意思表示する書類です。発注書だけでは、その承諾有無がわかりませんので、発注請書があることにより契約と同等に扱われます。

・発注書に双方の署名がある
発注書に双方の署名がある場合には、契約書とみなされます。書類の名称が違くても、双方が取引に合意したとみなせるものは、契約が成立したと考えられます。

発注書の記載事項

・発注先業者名
・発注日
・施工現場名
・工事納期
・支払い期日
・支払い条件
・発注合計金額
・発注者名
・発注明細
・備考欄

発注書の記載は、発注明細を分かりやすくすることが望ましいです。工事は細かい作業が発生する場合があり、それらを発注書に記載することを怠ると、追加費用を請求されてしまいます。請負業者が困らないためにも、のちのトラブルを防ぐ書き方を意識しましょう。

発注書には発行義務がある(下請け法)

下請け法が適用される取引では、発注書などを発行することが義務付けられています。住宅会社など、発注側の企業は資本金なども大きい企業がほとんどです。一方で請負企業は、個人の親方であったり、中小企業であることが多いです。このような場合には下請け法が適用されます。

下請け法は、親事業者と下請け事業者の関係をできるだけ対等に保つ法律です。親事業者は、支払いを行う立場であるため、一般的に優越的立場にあります。下請け業者が不利益なことを強いられることを防ぐために、下請け法が適用されています。

発注書の保管義務

発注書は、取引の証拠となる証憑書類にあたります。発行・受領した発注書のどちらも保管義務があります。原則として7年間の保管とされています。

保管方法ですが、紙での保管が従来は行われていましたが、電子データの保管がオススメです。業務効率化、コスト削減において、電子データの方が圧倒的に優位です。紙で発注書が送付された場合にも、電子データ化して一元管理することで業務が楽になります。

請求書は、受注側が支払いを請求する書類

請求書は、発注元に支払いを請求するために、受注側が発行するものです。取引を行なったことを証明したり、支払いのトラブルを防ぐための書類になります。

請求書の書き方

請求書は、決まったフォーマットはありませんが、基本的な記載事項は発注書などと同じです。
・請求書発行者名
・請求先宛名
・取引日時
・取引内容
・請求金額
・支払い期日
下請け法が適用される場合、支払い期日は納品日から60日以内と決まっています。支払い期日を発注側の都合で、安易に伸ばさないように注意しましょう。

請求書は、基本的には発注書と全く同じ項目を記載した方が、トラブルも少ないです。書き方を変えてしまうと、どの内容に対して支払ったのか、お互いに相違が生じてしまうためです。

請求書の送付方法

請求書は郵送・FAXされることが多かったですが、多くの企業でメール添付が行われています。費用もかからず早いため、メールでpdfデータとしてやりとりを行うのが望ましいです。建築業界ではいまだにFAXも使われていますが、保存方法は統一して行なった方が良いです。

関連するキーワード


住宅

関連する投稿


住宅工事会社の4つのタイプ|向いている仕事はどこ?

住宅工事会社の4つのタイプ|向いている仕事はどこ?

住宅会社といっても、得意としている工事内容が違ったり、業務内容も違っている場合があります。この記事では、4つのタイプに分類わけして、どこの会社が転職先に向いているのかをご紹介いたします。全く住宅業界のことを知らないと、住宅を建てている会社はどこも同じと考えてしまうかもしれません。入社してからイメージしていたやりたい仕事と違うということにならないように簡単にまとめました。


【住宅建築の基礎知識】施工管理なら知っておきたい断熱工事のポイント

【住宅建築の基礎知識】施工管理なら知っておきたい断熱工事のポイント

戸建て住宅の建築工事では、いくつもの専門業者がそれぞれ担当する工事を行います。 いずれの工事も重要ですが、とくに暮らす人の快適性を大きく左右するのは「断熱工事」になります。 また「断熱工事」は、施工品質によって効果が大きく変わる工事もでもあるため、施工における精度を高めることが重要なポイントとなります。 そのため施工管理者によって、適正な施工が行われいるかしっかりとチェックしなくてはなりません。 そこで本記事では、住宅建築の断熱工事について、施工管理の立場で知っておきたいポイントを解説したいと思います。


【体験談】住宅現場クレーム解決法(車両・資材飛散)

【体験談】住宅現場クレーム解決法(車両・資材飛散)

住宅工事のクレーム事例、今回は車両・資材・騒音についてになります。よくあるクレームで、クレームの原因というのは、必ず起こります。しかし、原因となる事象が発生していてもクレームにまで発展させない方法があります。 実際に私が、現場監督として勤務していてどのような対策を行なっていたのか、これから現場監督になる方、クレーム処理に困っている方の参考になれば幸いです。


【体験談】住宅工事現場でのトラブル!原因と解決法

【体験談】住宅工事現場でのトラブル!原因と解決法

住宅工事はトラブルが絶えません。クレーム産業とも言われる建築業ですが、住宅は何千万という資金をお客様が支払っているため、それだけトラブルも大事になることがあります。 実際に私が、現場監督として勤務していてどのようなトラブルがあったのかをご紹介いたします。これから現場監督として働こうとしている方、今まさにトラブルで困っていてどうやって治めれば良いのかと考えている方に少しでも参考になればと思います。


【スキルUP】住宅営業に必要な知識と資格まとめ

【スキルUP】住宅営業に必要な知識と資格まとめ

住宅営業は資格がなくても、転職は可能です。しかし、売れる営業マンはほとんどの方が資格を取得しており、資格手当ももらいながらスキルアップしていきます。この記事では、一般的に必要とされる知識や、資格についてまとめてご紹介いたします。 住宅営業に転職し、お客様から信頼されるために資格を取得しようとしている方、これからさらなるスキルアップしようと考えている方のお役に立てれば幸いです。


最新の投稿


住宅工事会社の4つのタイプ|向いている仕事はどこ?

住宅工事会社の4つのタイプ|向いている仕事はどこ?

住宅会社といっても、得意としている工事内容が違ったり、業務内容も違っている場合があります。この記事では、4つのタイプに分類わけして、どこの会社が転職先に向いているのかをご紹介いたします。全く住宅業界のことを知らないと、住宅を建てている会社はどこも同じと考えてしまうかもしれません。入社してからイメージしていたやりたい仕事と違うということにならないように簡単にまとめました。


施工管理の予算管理とは?住宅工事の経理は複雑

施工管理の予算管理とは?住宅工事の経理は複雑

施工管理の仕事のうち、予算管理があります。予算管理といっても、当然会社全ての利益率の管理をしているわけではありません。工事ごとの予算や、その管理はどのように行っているのでしょうか?また、建設業界は引渡しまでに何年もかかる場合があります。その場合、引渡しまでに全ての発注を経費にすると、会社は大赤字になってしまいます。工事の経理はどのように行っているのかについてもご紹介いたします。


企業別にどう違う?現場監督の仕事の雰囲気まとめ

企業別にどう違う?現場監督の仕事の雰囲気まとめ

現場監督業は、住宅工事といっても、住宅の種類によっても工事内容が変わり、雰囲気も変わります。これから初めて現場監督業をする方、違う職場へ転職をする方、どのような企業が自分に向いているのかわからない!と言った声を聞きます。そこで、企業別に現場監督の仕事の雰囲気をご紹介いたします。


【資格を取る順番】現場監督がスキルアップするためのおすすめをご紹介

【資格を取る順番】現場監督がスキルアップするためのおすすめをご紹介

住宅工事の現場監督として転職や、スキルアップで有利になる資格について、そのおすすめの取得順序をご紹介いたします。建築関係の資格は、実務経験が必要なものが多く、思い立った時に試験を受けようをしても、受験資格自体がない場合があります。そこで、スキルアップにはしっかりとスケジュールを立て、勉強も効率化できる順番で受けるのが望ましいです。それでは、資格を取るメリットから、どの資格がを取るのが良いか、おすすめの順番についてご紹介いたします。


施工管理技士が食いっぱぐれない5つの理由

施工管理技士が食いっぱぐれない5つの理由

施工管理の仕事をするうえで、ぜひ取得したい資格といえば「施工管理技士」になるでしょう。 というのも「施工管理技士」資格を取得することで、将来に渡って食いっぱぐれない可能性はきわめて高いといえるためです。 そこで本記事では「施工管理技士」資格を取得すると食いっぱぐれない理由を5つご紹介したいと思います。


最近話題のキーワード

ハウジングインダストリーで話題のキーワード


新築工事 現場監督 施工管理 住宅 利益 営業 風水 現場監理 コンクリート