住宅の間取りを設計するとき、とくに注意しておかなければならないことといえば「動線」です。
「動線」とは、建物内を自然に移動する経路のこといい、効率的な生活を送るためにも「動線」を考慮した計画がポイントとなります。
また「動線」の設計が適切でないと、建物内での移動にムダが生じ、居住者にとってはストレスの原因となるため注意が必要です。
そこで本記事では、住宅づくりにおいて、ポイントとなる「動線」の考え方について解説したいと思います。
【住宅の動線設計】基本となる動線とは?
住宅の動線設計において、基本となるのは大きく以下の3つが挙げられます。
- 家事動線
- 生活動線
- 来客動線
■家事動線
「家事動線」とは、洗濯や料理、そして掃除などの家事を行うときの動線です。
家事は、毎日行う必要があることから、非常に多くの時間を要し、大きな労力がともないます。
そのため、家事の負担を軽減することは、暮らしにゆとりを生み、生活の質を高めることにもつながります。
つまり、家事負担を軽減するには、「家事動線」を考慮した家づくりが重要になるということです。
例えば、料理をするときには、冷蔵庫とシンク、コンロを結んだ「ワークトライアングル」の距離が短くなるとムダを省けます。
洗濯では、ランドリースペースから干し場までの移動距離が短く、また直線に近いほど効率的です。
また、買い物から帰ってきたときは、重い荷物を持って移動しなくてはなりません。
できるだけムダのなく移動できるよう、パントリーや冷蔵庫の配置などを検討するとストレスの軽減につながります。
■生活動線
「生活動線」とは、起床から就寝するまで居住者が建物内を移動するときの動線です。
「生活動線」は、トイレや浴室、洗面所などを利用するときに移動する「衛生動線」、そして通勤や通学のときに移動する「通勤動線」などを分けて考える場合もあります。
しかし、ひとつの住宅には家族が一緒に暮らしており、それぞれの動線に細かく配慮すると複雑になりやすい点では注意が必要です。
また、とくに共働きの家庭などは「生活動線」を重視した動線設計が有効となります。
例えば、すれ違う機会が多くなりそうな場所などは十分な幅を確保すること、あるいは回遊動線にして複数のルートを確保することなどの検討も重要です。
■来客動線
「来客動線」は、来客が玄関から客間、そしてトイレなどへ移動するときの動線です。
「来客動線」を検討するときは、できるだけ家族のプライバシーを守ることを考える必要があります。
例えば、浴室や洗面所のような第三者にあまり見られたくない部分は「来客動線」のなかに配置しないことなどです。
また、突然の来客時でも、素早く片付けられるよう「来客動線」の周辺に収納を用意しておくことも有効な方法となります。
【住宅の動線設計】ポイントとなる動線の考え方とは?
動線設計を行ううえでポイントとなるのは、まず、どの動線を中心に検討するのかということです。
すべての動線を十分に確保することは現実的ではありません。
家族にとって最も優先順位の高い動線をメインとして考えることで、住みやすい家づくりが可能となります。
とはいえ、家族の暮らしを支える家事を行うための「家事動線」を中心に考えることが一般的に多いケースとなっています。
なぜなら、家事を担当する人のストレスを軽減することが、一緒に暮らす家族にとっても居心地のよい環境となりやすいためです。
また、それぞれの動線は、できるだけ交差しないようにすることもポイントとなります。
動線が交差すると、その部分で干渉が起こり、スムーズな移動を妨げることがあります。
とくに、「家事動線」上で起こると、家事効率は低下する恐れがあり、大きな時間のロスが生じるため注意が必要です。
まとめ
動線設計は、居住者が快適で住みやすい環境をつくるうえで最も重要な要素といえます。
それぞれの動線は、できるだけ距離を短くすること、そしてできるだけ交差しないようにすすることなどがおもなポイントです。
また、住宅の動線設計を検討するのは、設計担当だけでなくインテリアコーディネーターも多く関わることになります。
インテリアコーディネーターは、顧客の要望を引き出し、空間としてのデザインをつくり上げていく仕事です。
インテリアコーディネーターに関する詳しい内容は、「【インテリアコーディネーター】仕事内容や必要資格などを解説」を参考にしてください。