工事現場では、一般の人にはよくわからない、いわゆる「建設用語」が多く使われます。
基礎工事などコンクリートを扱う工事でよく使われる「レイタンス」や「ブリーディング」もそのひとつです。
これらは、場合によってはコンクリート構造物の不具合につながる可能性のある現象となるため注意が必要となります。
そのため、現場監督は「レイタンス」や「ブリーディング」とはどのようなものなのか、理解しておく必要があるでしょう
そこで本記事では、現場監督がよく使う建設用語「レイタンス」や「ブリーディング」について、詳しく解説したいと思います。
【現場監督がよく使う建設用語】レイタンスとはなに?
「レイタンス」とは、コンクリートを流し込んだ後、成分に含まれる不純物などが浮き上がり、それらが表面に堆積してできる脆弱層のことです。
コンクリートは、セメントと砂、砂利、水などを混ぜ合わせてつくられています。
流し込みのときには、これらコンクリートを構成する材料のうち、重い砂や砂利などの骨材は沈み、軽い微粒分などは浮き上がります。
この浮き上がったものによって表面につくられる薄い層が「レイタンス」です。
■レイタンスの危険性
レイタンスは、脆弱な層であり、必要な強度は有していません。
そのため、その上にコンクリートの打ち継ぎをしても、先に打ち込んだ層と後から打ち込んだ層が一体化できない可能性は高くなります。
このことから、きわめて高い水密性が求められるダムなどの構造物では、レイタンス処理は必須となっています。
一方、住宅基礎では打ち継ぎ部のレイタンス処理は行われないことが多く、これは、鉄筋により一体化が図られており、レイタンスがあることで大きな影響はないとされているためです。
とはいえ、打ち継ぎをする場合は、レイタンスを除去してから行うほうが、より一体化できることは間違いないでしょう。
■レイタンスの処理方法
レイタンスを処理するにはいくつかの方法があり、大きくは硬化前と硬化後のどちらかの方法で行います。
基本的にどちらでも行えますが、硬化前のほうが除去しやすいとされています。
硬化前の方法となるのは、ワイヤーブラシや高圧洗浄機を使って表面を削り落としたり、コンクリート打継面処理剤を塗布したうえで表面を削り落としたりする方法などです。
硬化後の方法は、特殊な機械を用いて表面を削り落とす方法となります。
【現場監督がよく使う建設用語】ブリーディングとはなに?
「ブリーディング」とは、コンクリート打設時に、コンクリートに含まれる水が表面に浮き上がる現象のことです。
コンクリートを構成する材料のひとつである水は、骨材と比較して軽いため、浮き上がる方向へ移動します。
そして、浮き上がってきた水はコンクリート表面に現れますが、この水のことを「ブリーディング水」といいます。
■ブリーディングの危険性
ブリーディングは、コンクリートを構成する成分の水が浮き上がり、表面に現れる現象です。
コンクリートを打設後、ブリーディングは徐々に進行しますが、その量が多いと鉄筋周辺に空隙が生じ、付着力の低下および水密性の低下につながることがあります。
また、コンクリートの体積が減ることで上面が沈下すると、鉄筋などで拘束された部分にひび割れが生じることもあります。
■ブリーディングの処理方法
ブリーディングは、基本的にできるだけ少なくするための処置が必要となります。
少なくするための処置とは、材料と施工のいずれにも配慮することがポイントです。
例えば、材料では、コンクリートの単位水量が多かったり、あるいは粗骨材の最大寸法が小さかったりする状況にあるとブリーディングが増える傾向にあります。
そして施工では、打込み速度が速かったり、打込みの高さが高かったりする状況にあると増えてしまいます。
これらに配慮し、過度にブリーディングが増えないよう検討することが重要です。
また、コンクリート打設時にブリーディングが生じた場合は、速やかに除去すること、そして沈下が見られる部分にはコンクリートを入れて補うことなどもポイントとなります。
まとめ
レイタンスやブリーディングは、基礎工事などコンクリートを打設するときに生じるものです。
これらを放置すると、構造体をつくるうえで一定のリスクがあるため、状況に応じて適切な処理が必要となります。
現場監督はその点を理解し、施工マニュアルに則り、必要な措置を講じることが重要です。