【現場監督がよく使う建設用語】「レイタンス」「ブリーディング」とは?

【現場監督がよく使う建設用語】「レイタンス」「ブリーディング」とは?

工事現場では、一般の人にはよくわからない、いわゆる「建設用語」が多く使われます。 基礎工事などコンクリートを扱う工事でよく使われる「レイタンス」や「ブリーディング」もそのひとつです。 これらは、場合によってはコンクリート構造物の不具合につながる可能性のある現象となるため注意が必要となります。 そのため、現場監督は「レイタンス」や「ブリーディング」とはどのようなものなのか、理解しておく必要があるでしょう そこで本記事では、現場監督がよく使う建設用語「レイタンス」や「ブリーディング」について、詳しく解説したいと思います。


工事現場では、一般の人にはよくわからない、いわゆる「建設用語」が多く使われます。
基礎工事などコンクリートを扱う工事でよく使われる「レイタンス」や「ブリーディング」もそのひとつです。

これらは、場合によってはコンクリート構造物の不具合につながる可能性のある現象となるため注意が必要となります。
そのため、現場監督は「レイタンス」や「ブリーディング」とはどのようなものなのか、理解しておく必要があるでしょう

そこで本記事では、現場監督がよく使う建設用語「レイタンス」や「ブリーディング」について、詳しく解説したいと思います。

【現場監督がよく使う建設用語】レイタンスとはなに?

「レイタンス」とは、コンクリートを流し込んだ後、成分に含まれる不純物などが浮き上がり、それらが表面に堆積してできる脆弱層のことです。

コンクリートは、セメントと砂、砂利、水などを混ぜ合わせてつくられています。
流し込みのときには、これらコンクリートを構成する材料のうち、重い砂や砂利などの骨材は沈み、軽い微粒分などは浮き上がります。
この浮き上がったものによって表面につくられる薄い層が「レイタンス」です。

レイタンスの危険性

レイタンスは、脆弱な層であり、必要な強度は有していません。
そのため、その上にコンクリートの打ち継ぎをしても、先に打ち込んだ層と後から打ち込んだ層が一体化できない可能性は高くなります。
このことから、きわめて高い水密性が求められるダムなどの構造物では、レイタンス処理は必須となっています。

一方、住宅基礎では打ち継ぎ部のレイタンス処理は行われないことが多く、これは、鉄筋により一体化が図られており、レイタンスがあることで大きな影響はないとされているためです。
とはいえ、打ち継ぎをする場合は、レイタンスを除去してから行うほうが、より一体化できることは間違いないでしょう。

レイタンスの処理方法

レイタンスを処理するにはいくつかの方法があり、大きくは硬化前と硬化後のどちらかの方法で行います。
基本的にどちらでも行えますが、硬化前のほうが除去しやすいとされています。

硬化前の方法となるのは、ワイヤーブラシや高圧洗浄機を使って表面を削り落としたり、コンクリート打継面処理剤を塗布したうえで表面を削り落としたりする方法などです。
硬化後の方法は、特殊な機械を用いて表面を削り落とす方法となります。

【現場監督がよく使う建設用語】ブリーディングとはなに?

「ブリーディング」とは、コンクリート打設時に、コンクリートに含まれる水が表面に浮き上がる現象のことです。

コンクリートを構成する材料のひとつである水は、骨材と比較して軽いため、浮き上がる方向へ移動します。
そして、浮き上がってきた水はコンクリート表面に現れますが、この水のことを「ブリーディング水」といいます。

ブリーディングの危険性

ブリーディングは、コンクリートを構成する成分の水が浮き上がり、表面に現れる現象です。
コンクリートを打設後、ブリーディングは徐々に進行しますが、その量が多いと鉄筋周辺に空隙が生じ、付着力の低下および水密性の低下につながることがあります。

また、コンクリートの体積が減ることで上面が沈下すると、鉄筋などで拘束された部分にひび割れが生じることもあります。

ブリーディングの処理方法

ブリーディングは、基本的にできるだけ少なくするための処置が必要となります。
少なくするための処置とは、材料と施工のいずれにも配慮することがポイントです。

例えば、材料では、コンクリートの単位水量が多かったり、あるいは粗骨材の最大寸法が小さかったりする状況にあるとブリーディングが増える傾向にあります。
そして施工では、打込み速度が速かったり、打込みの高さが高かったりする状況にあると増えてしまいます。

これらに配慮し、過度にブリーディングが増えないよう検討することが重要です。
また、コンクリート打設時にブリーディングが生じた場合は、速やかに除去すること、そして沈下が見られる部分にはコンクリートを入れて補うことなどもポイントとなります。

まとめ

レイタンスやブリーディングは、基礎工事などコンクリートを打設するときに生じるものです。
これらを放置すると、構造体をつくるうえで一定のリスクがあるため、状況に応じて適切な処理が必要となります。
現場監督はその点を理解し、施工マニュアルに則り、必要な措置を講じることが重要です。

関連する投稿


施工管理は何歳までできる仕事?高齢者でも大丈夫?

施工管理は何歳までできる仕事?高齢者でも大丈夫?

建設業界の仕事は、「体力が必要で、高齢者にとってはきついのでは?」というイメージを持つ人もいるのではないでしょうか? 確かに、高齢化にともない筋力や視力の衰えなど身体機能の低下による影響が出てくることは、安全面で不安な部分が生じてくる可能性があります。 しかし一方で、業界の著しい高齢化に対応するべく、高齢者へ配慮された現場の環境づくりは徐々に進んでいます。 では、施工管理の仕事は何歳までできる仕事なのでしょうか?また高齢者でもできるのでしょうか? そこで本記事では、施工管理はいったい何歳までできる仕事で高齢者でも可能なのか、ご紹介したいと思います。


【建設業のヒヤリハット】認識する重要性と事例をご紹介!

【建設業のヒヤリハット】認識する重要性と事例をご紹介!

建設業界の労働災害は、減少傾向にあるとはいえ他の産業と比べても多く発生しています。 また、工事現場で作業に従事する人は、労働災害にいたらないまでも「ヒヤリ」としたり「ハッ」としたりといった経験は少なからずあるでしょう。 このような、つい見過ごしてしまいがちな「ヒヤリハット」を認識し、危険の芽を摘み取ることが労働災害を防止するうえで重要になります。 そこで本記事では、建設業界の「ヒヤリハット」を認識することの重要性について、事例を交えながらご紹介したいと思います。


住宅ローンの定番「フラット35」とは?特徴や銀行ローンとの違い

住宅ローンの定番「フラット35」とは?特徴や銀行ローンとの違い

住宅を購入する際、多くの人が利用する住宅ローンですが、なかでも定番といえるのは「フラット35」になるでしょう。 「フラット35」の最大の特徴は「固定金利型」であることです。 「固定金利型」であることで、借り入れの時点で返済金額がわかり、また計画も立てやすくなります。 また、この他にも民間銀行が取り扱う住宅ローンとは異なる特徴があるため、知識として理解しておくとよいでしょう。 そこで本記事では、「フラット35」の特徴や銀行ローンとの違いについて徹底解説したいと思います。


【住宅建築の基礎知識】セメント、モルタル、コンクリートの違いとは?

【住宅建築の基礎知識】セメント、モルタル、コンクリートの違いとは?

住宅建築においては、非常に多くの建材が使われています。 なかでも「セメント」「モルタル」「コンクリート」については、必ず使用されるポピュラーな建材となります。 しかし、これらがどのような建材なのか、またそれぞれの違いがよくわからないという人もいるのではないでしょうか? そこで本記事では、「セメント」「モルタル」「コンクリート」について、それぞれの特徴の違いなどを徹底解説したいと思います。


安全管理の具体的業務|現場監督の責任

安全管理の具体的業務|現場監督の責任

現場監督にとって、安全管理業務は最も重要な仕事です。危険が多い建設作業で、無事故で完工することを一番の目的にする必要があります。安全管理は具体的にどうやっているの?そもそも各自が安全管理をするだけではダメなのか、など現場監督の重要性と責任についてご紹介いたします。


最新の投稿


施工管理は何歳までできる仕事?高齢者でも大丈夫?

施工管理は何歳までできる仕事?高齢者でも大丈夫?

建設業界の仕事は、「体力が必要で、高齢者にとってはきついのでは?」というイメージを持つ人もいるのではないでしょうか? 確かに、高齢化にともない筋力や視力の衰えなど身体機能の低下による影響が出てくることは、安全面で不安な部分が生じてくる可能性があります。 しかし一方で、業界の著しい高齢化に対応するべく、高齢者へ配慮された現場の環境づくりは徐々に進んでいます。 では、施工管理の仕事は何歳までできる仕事なのでしょうか?また高齢者でもできるのでしょうか? そこで本記事では、施工管理はいったい何歳までできる仕事で高齢者でも可能なのか、ご紹介したいと思います。


【建設業のヒヤリハット】認識する重要性と事例をご紹介!

【建設業のヒヤリハット】認識する重要性と事例をご紹介!

建設業界の労働災害は、減少傾向にあるとはいえ他の産業と比べても多く発生しています。 また、工事現場で作業に従事する人は、労働災害にいたらないまでも「ヒヤリ」としたり「ハッ」としたりといった経験は少なからずあるでしょう。 このような、つい見過ごしてしまいがちな「ヒヤリハット」を認識し、危険の芽を摘み取ることが労働災害を防止するうえで重要になります。 そこで本記事では、建設業界の「ヒヤリハット」を認識することの重要性について、事例を交えながらご紹介したいと思います。


住宅ローンの定番「フラット35」とは?特徴や銀行ローンとの違い

住宅ローンの定番「フラット35」とは?特徴や銀行ローンとの違い

住宅を購入する際、多くの人が利用する住宅ローンですが、なかでも定番といえるのは「フラット35」になるでしょう。 「フラット35」の最大の特徴は「固定金利型」であることです。 「固定金利型」であることで、借り入れの時点で返済金額がわかり、また計画も立てやすくなります。 また、この他にも民間銀行が取り扱う住宅ローンとは異なる特徴があるため、知識として理解しておくとよいでしょう。 そこで本記事では、「フラット35」の特徴や銀行ローンとの違いについて徹底解説したいと思います。


【住宅建築の基礎知識】セメント、モルタル、コンクリートの違いとは?

【住宅建築の基礎知識】セメント、モルタル、コンクリートの違いとは?

住宅建築においては、非常に多くの建材が使われています。 なかでも「セメント」「モルタル」「コンクリート」については、必ず使用されるポピュラーな建材となります。 しかし、これらがどのような建材なのか、またそれぞれの違いがよくわからないという人もいるのではないでしょうか? そこで本記事では、「セメント」「モルタル」「コンクリート」について、それぞれの特徴の違いなどを徹底解説したいと思います。


安全管理の具体的業務|現場監督の責任

安全管理の具体的業務|現場監督の責任

現場監督にとって、安全管理業務は最も重要な仕事です。危険が多い建設作業で、無事故で完工することを一番の目的にする必要があります。安全管理は具体的にどうやっているの?そもそも各自が安全管理をするだけではダメなのか、など現場監督の重要性と責任についてご紹介いたします。