働き方改革!施工管理者の残業を減らそう

働き方改革!施工管理者の残業を減らそう

働き方改革が進んでいますが、施工管理の慢性的な長時間労働は、まだ改善の余地があります。会社によっては、全く変わらない状況のところもあります。長時間労働は、労働者を疲弊させるだけでなく、業界としても人手をすり減らしていくことは、長期的にデメリットしかありません。ではなぜ、施工管理は残業時間が多くなってしまうのでしょうか?業務を効率化させる方法は、何か、なぜ浸透していないのかについてご紹介いたします。


施工管理の残業3つの理由

施工管理職は、残業が多い部署として国からも問題視されています。しかし、その職務上、会社の仕組みが悪いというよりは、業界として慢性的に仕事が集中してしまうような状況になっています。主な理由は、以下です。

・仕事量と仕事場所
・人を増やすとコストが合わない
・スキルを持った人手の不足

これら3つの理由について、ご説明いたします。

仕事量と仕事場所

施工管理職の仕事は、多岐にわたります。発注管理、職人の管理、工事原価の計算、資料作成、施工図作成といった、建設工事を進める上で重要な業務を全てになっていると言っても過言ではありません。

建設において、不動産、設計においては、不動産屋、設計者が行います。しかし、それ以降の実際の建設工事に関しては、施工管理がいないと全く進まないのです。それぞれの作業を行う職人はいますが、それらを管理するのが施工管理だからです。仕事量が偏ってしまっているとも言えます。

また、仕事場所が制限されていることも、労働の拘束時間が長くなることの要因となっています。現場に出ているときは施工管理を、事務所では発注管理や資料作成を行います。つまり、現場と事務所でできる仕事が限られています。この移動時間も拘束時間を長くしている大きな要因となっています。1日中、事務所で資料作成などを行い、現場管理もカメラ映像を見るだけで済むのであれば、拘束時間は大幅に減るでしょう。

以上のように、仕事量の多さと仕事場所が制限されていることにより、施工管理職は労働時間が長くなってしまっています。

人を増やすとコストが合わない

施工管理職に仕事が偏ってしまっているのであれば、人を増やせば良いだけです。人を増やすことは実は簡単にできます。人手不足と言っても、それは、やりたがる人が少ないというだけで、人材はいます。

しかし、会社としては施工管理職を増やすわけにはなかなかいきません。なぜなら、人件費が増えるだけだからです。人件費が増えることは、会社にとってデメリットであるため、現状で何とか仕事が回っている以上、人を増やしません。また、工事が何件も詰まっていれば良いですが、空きがある場合には、施工管理者を遊ばせておく期間ができてしまい、うまくコスト管理ができなくなってしまうのです。

スキルを持った人手の不足

施工管理は、基本的には工事現場につき1人があてがわれます。つまり、1人で完結できなければ必要とされないのです。このようなスキルを持ったベテランの施工管理者が、不足しているのです。もともと人数を少なくして、コスト管理もされている施工管理職は、1人でできるようになってから辞められると、他に育っている人材がいなくなります。

1現場で2人などを配置していれば、人材としては人数が足りていたかもしれませんが、教育を行なっていない以上、たたき上げの施工管理者が辞めてしまえば、市場からスキルを持った施工管理者がいなくなるのは当然です。このように、人手不足となっているのは、施工管理職の現状が原因でもあります。

施工管理の業務効率化方法

施工管理は、建設業の中でもITなどによる業務効率化が求められており、各会社で導入も行われています。しかし、慢性的に労働時間を長くして解決していたため、労働者側にとってもうまく業務効率化が進まないという状況です。

施工管理の業務効率化にはどのような方法があるでしょうか?ここでは3つご紹介いたします。

仕事の可視化および削減

慢性的に労働時間が長くなっている場合、労働者1人の働き方に無駄が多い場合や、そもそも無駄な仕事を行なっている場合もあります。そこで、実際の1日の仕事内容を分単位で記録し、どのような仕事にどれだけの時間をかけたのかを洗い出します。そこから、不要な仕事の削減、無駄な時間を削減して行ってみましょう。

施工管理アプリの導入

現場ごとに進捗を確認・記録・共有できる施工管理アプリが導入されてきています。これにより、現場ごとに一元管理できるため、業務が大幅に効率化されます。

資料が一元管理されていることで、荷物も減り、確認時間も減ります。また、現場に関わっている人間に、一括で情報共有ができます。5人に連絡をとっているだけでも20分以上かかってしまうこともあるため、非常に便利です。特に職人は、作業中は電話に出られないため、かけ直す必要もなく、便利です。

職人にスマホを支給・指導

施工管理アプリと似ていますが、建設業では、FAX、電話といった連絡ツールをメインとしている企業が多くあります。しかし、これらは時間が非常にかかり、業務負担を大きくしています。

職人にスマホを支給し、指導することで、慢性的な業務負担を軽くすることができます。しかし、この方法は、親会社にコスト・時間的負担がかかるため、実際には行うことは難しいです。

関連するキーワード


住宅 施工管理

関連する投稿


【空き家問題】リスクと活用方法とは?

【空き家問題】リスクと活用方法とは?

現在、住宅業界の課題となっていることのひとつに「空き家問題」があります。 「空き家問題」は、少子高齢化による人口減少の影響から今後もさらに深刻化することが予想されています。 また、空き家を放置することは、周辺環境の悪化などさまざまなリスクがあるため、なんらかの対策が必要です。 このような背景から空き家対策として法的な整備も進んでおり、場合によっては所有者に処分や罰則が科されるケースがあることは注意が必要となります。 しかし、空き家の所有者は、放置することのリスクに対し、どのような対応をすればよいでのしょうか? そこで本記事では、空き家を放置するリスクとおもな活用方法について解説したいと思います。


【現場監督がよく使う建設用語】斫り(はつり)とはなに?

【現場監督がよく使う建設用語】斫り(はつり)とはなに?

住宅の新築工事において実際に施工を行うのは専門業者です。 しかし、場合によっては現場監督が行うケースもあり、例えば、きわめて小規模な「斫り(はつり)作業」もそのひとつとなります。 「斫り」は、工事現場でよく使用されるワードですが、いったいどのような作業のことをいうのでしょうか? そこで本記事では、現場監督がよく使う建設用語「斫り」について、具体的にどのような作業なのか解説したいと思います。


【暑中コンクリート】施工管理が注意するべき夏のコンクリート打設

【暑中コンクリート】施工管理が注意するべき夏のコンクリート打設

住宅建築において、基礎のコンクリート打設は非常に重要な工事のひとつになります。 施工管理としても、建物の強さを左右するコンクリート打設は適切な施工が行われることをしっかりとチェックしなくてはなりません。 しかし、夏のコンクリート打設は通常とは異なる難しさがあります。 この気温の高い時期に施工するコンクリートを「暑中コンクリート」と呼び、施工管理者は施工に向けて対策を講じる必要があるなど、とくに注意が必要です。 そこで本記事では、施工管理者が注意するべき「暑中コンクリート」について、リスクと対策をご紹介したいと思います。


【新しい生活様式】工事現場における夏のマスク対策とは?

【新しい生活様式】工事現場における夏のマスク対策とは?

新型コロナウィルスの爆発的な流行により、私たちの生活は大きな変化を余儀なくされました。感染防止を防止することを目的とする「新しい生活様式」は、全員で取り組むべきことであり、また当然ながら建設業界にも求められます。しかし、工事現場において気温が高くなる時期は、コロナ感染だけでなく熱中症リスクにも気を付けなければなりません。というのも、建設業では熱中症による労働災害がきわめて多いためです。また「新しい生活様式」ではマスクの着用が基本となりますが、工事現場においては熱中症リスクを高めてしまう可能性も懸念されています。そこで本記事では「新しい生活様式」の基本であるマスク着用を工事現場ではどのように対応するべきなのかご紹介したいと思います。


施工管理は何歳までできる仕事?高齢者でも大丈夫?

施工管理は何歳までできる仕事?高齢者でも大丈夫?

建設業界の仕事は、「体力が必要で、高齢者にとってはきついのでは?」というイメージを持つ人もいるのではないでしょうか? 確かに、高齢化にともない筋力や視力の衰えなど身体機能の低下による影響が出てくることは、安全面で不安な部分が生じてくる可能性があります。 しかし一方で、業界の著しい高齢化に対応するべく、高齢者へ配慮された現場の環境づくりは徐々に進んでいます。 では、施工管理の仕事は何歳までできる仕事なのでしょうか?また高齢者でもできるのでしょうか? そこで本記事では、施工管理はいったい何歳までできる仕事で高齢者でも可能なのか、ご紹介したいと思います。


最新の投稿


現場に労働基準監督署がやってきた!役割、現場監督の気持ち

現場に労働基準監督署がやってきた!役割、現場監督の気持ち

住宅業界だけでなく、建設業界では馴染みの深い(?)労働基準監督署についてご紹介いたします。労基(ろうき)と略して言われますが、今日は労基がくるぞ!などと会社としては身構える日になります。書類関係や現場をチェックされ、違反などがあれば是正勧告などの指導が入ります。違反が重大なもので、指導に従わない場合、行政処分もあります。現場監督は問題がないように書類関係の準備や現場を普段から安全管理等しっかりと行う必要があります。


【土地家屋調査士】仕事内容や資格試験などを解説

【土地家屋調査士】仕事内容や資格試験などを解説

住宅業界には、資格を有していないとできない仕事が多くあり、「土地家屋調査士」もそのひとつとなります。 また、住宅を新築するときには、土地を購入し、そこに建物を建てて登記が行われるという大きな流れとなりますが、この間にはいくつもの法的な手続きが必要となります。 しかし、これら手続きの多くは誰にでもできるわけではありません。 なかには有資格者である専門家が行わなければならないことが定められており、そして「土地家屋調査士」でなければできないことも含まれています。 そこで本記事では、「土地家屋調査士」のおもな仕事内容や、資格試験の概要などについて解説したいと思います。


【空き家問題】リスクと活用方法とは?

【空き家問題】リスクと活用方法とは?

現在、住宅業界の課題となっていることのひとつに「空き家問題」があります。 「空き家問題」は、少子高齢化による人口減少の影響から今後もさらに深刻化することが予想されています。 また、空き家を放置することは、周辺環境の悪化などさまざまなリスクがあるため、なんらかの対策が必要です。 このような背景から空き家対策として法的な整備も進んでおり、場合によっては所有者に処分や罰則が科されるケースがあることは注意が必要となります。 しかし、空き家の所有者は、放置することのリスクに対し、どのような対応をすればよいでのしょうか? そこで本記事では、空き家を放置するリスクとおもな活用方法について解説したいと思います。


【現場監督がよく使う建設用語】斫り(はつり)とはなに?

【現場監督がよく使う建設用語】斫り(はつり)とはなに?

住宅の新築工事において実際に施工を行うのは専門業者です。 しかし、場合によっては現場監督が行うケースもあり、例えば、きわめて小規模な「斫り(はつり)作業」もそのひとつとなります。 「斫り」は、工事現場でよく使用されるワードですが、いったいどのような作業のことをいうのでしょうか? そこで本記事では、現場監督がよく使う建設用語「斫り」について、具体的にどのような作業なのか解説したいと思います。


住宅現場で4Sを実践しよう!整理・整頓・清掃・清潔

住宅現場で4Sを実践しよう!整理・整頓・清掃・清潔

4Sという言葉を聞いたことがありますか?住宅の工事現場だけなどではなく、他業界でも多く用いられている言葉です。職場環境を改善するための活動で、整理、整頓、清掃、清潔、(しつけ)のことを4Sもしくは5Sと言います。この記事では、住宅現場において、4Sを行うことでどのようなメリットがあるのかについて、そもそも4Sとはどのようなことをすれば良いかからご紹介いたします。


最近話題のキーワード

ハウジングインダストリーで話題のキーワード


新築工事 現場監督 施工管理 住宅 利益 営業 職人 資格 現場監理 働き方改革 知識