施工管理の残業3つの理由
施工管理職は、残業が多い部署として国からも問題視されています。しかし、その職務上、会社の仕組みが悪いというよりは、業界として慢性的に仕事が集中してしまうような状況になっています。主な理由は、以下です。
・仕事量と仕事場所
・人を増やすとコストが合わない
・スキルを持った人手の不足
これら3つの理由について、ご説明いたします。
■仕事量と仕事場所
施工管理職の仕事は、多岐にわたります。発注管理、職人の管理、工事原価の計算、資料作成、施工図作成といった、建設工事を進める上で重要な業務を全てになっていると言っても過言ではありません。
建設において、不動産、設計においては、不動産屋、設計者が行います。しかし、それ以降の実際の建設工事に関しては、施工管理がいないと全く進まないのです。それぞれの作業を行う職人はいますが、それらを管理するのが施工管理だからです。仕事量が偏ってしまっているとも言えます。
また、仕事場所が制限されていることも、労働の拘束時間が長くなることの要因となっています。現場に出ているときは施工管理を、事務所では発注管理や資料作成を行います。つまり、現場と事務所でできる仕事が限られています。この移動時間も拘束時間を長くしている大きな要因となっています。1日中、事務所で資料作成などを行い、現場管理もカメラ映像を見るだけで済むのであれば、拘束時間は大幅に減るでしょう。
以上のように、仕事量の多さと仕事場所が制限されていることにより、施工管理職は労働時間が長くなってしまっています。
■人を増やすとコストが合わない
施工管理職に仕事が偏ってしまっているのであれば、人を増やせば良いだけです。人を増やすことは実は簡単にできます。人手不足と言っても、それは、やりたがる人が少ないというだけで、人材はいます。
しかし、会社としては施工管理職を増やすわけにはなかなかいきません。なぜなら、人件費が増えるだけだからです。人件費が増えることは、会社にとってデメリットであるため、現状で何とか仕事が回っている以上、人を増やしません。また、工事が何件も詰まっていれば良いですが、空きがある場合には、施工管理者を遊ばせておく期間ができてしまい、うまくコスト管理ができなくなってしまうのです。
■スキルを持った人手の不足
施工管理は、基本的には工事現場につき1人があてがわれます。つまり、1人で完結できなければ必要とされないのです。このようなスキルを持ったベテランの施工管理者が、不足しているのです。もともと人数を少なくして、コスト管理もされている施工管理職は、1人でできるようになってから辞められると、他に育っている人材がいなくなります。
1現場で2人などを配置していれば、人材としては人数が足りていたかもしれませんが、教育を行なっていない以上、たたき上げの施工管理者が辞めてしまえば、市場からスキルを持った施工管理者がいなくなるのは当然です。このように、人手不足となっているのは、施工管理職の現状が原因でもあります。
施工管理の業務効率化方法
施工管理は、建設業の中でもITなどによる業務効率化が求められており、各会社で導入も行われています。しかし、慢性的に労働時間を長くして解決していたため、労働者側にとってもうまく業務効率化が進まないという状況です。
施工管理の業務効率化にはどのような方法があるでしょうか?ここでは3つご紹介いたします。
■仕事の可視化および削減
慢性的に労働時間が長くなっている場合、労働者1人の働き方に無駄が多い場合や、そもそも無駄な仕事を行なっている場合もあります。そこで、実際の1日の仕事内容を分単位で記録し、どのような仕事にどれだけの時間をかけたのかを洗い出します。そこから、不要な仕事の削減、無駄な時間を削減して行ってみましょう。
■施工管理アプリの導入
現場ごとに進捗を確認・記録・共有できる施工管理アプリが導入されてきています。これにより、現場ごとに一元管理できるため、業務が大幅に効率化されます。
資料が一元管理されていることで、荷物も減り、確認時間も減ります。また、現場に関わっている人間に、一括で情報共有ができます。5人に連絡をとっているだけでも20分以上かかってしまうこともあるため、非常に便利です。特に職人は、作業中は電話に出られないため、かけ直す必要もなく、便利です。
■職人にスマホを支給・指導
施工管理アプリと似ていますが、建設業では、FAX、電話といった連絡ツールをメインとしている企業が多くあります。しかし、これらは時間が非常にかかり、業務負担を大きくしています。
職人にスマホを支給し、指導することで、慢性的な業務負担を軽くすることができます。しかし、この方法は、親会社にコスト・時間的負担がかかるため、実際には行うことは難しいです。