建設業において、施工業者が一定以上の規模の工事を請け負う場合、取得が必要となるのが「建設業許可」です。
「建設業許可」は建設業法に基づいて定められた制度であり、多くの種類があります。
また、誰にでも取得できるわけではなく、一定の条件を満たさなくてはなりません。
しかし、「建設業許可」は、よく耳にするワードであっても、詳しい内容についてはよくわからないという人も多いのではないでしょうか?
そこで本記事では、「建設業許可」の詳しい内容について解説したいと思います。
【建設業の基礎知識】建設業許可とはなに?
建設業許可とは、建設業を営むときに取得しなくてはならない許可のことをいいます。
ただし、「軽微な建設工事」のみを請け負う場合には、必ずしも取得しなくてもよいとされています。
「軽微な建設工事」とは、以下の通りです。
①建築一式工事で、工事1件の請負代金が1,500万円未満の工事、または延べ床面積が150㎡未満の木造住宅工事
②建築一式工事以外の建設工事で、工事1件の請負代金が500万円未満の工事
つまり、上記の「軽微な建設工事」以外の工事を請け負って建設業を営む場合は、必ず建設業許可を取得しなくてはならないということです。
また、この請負代金には、消費税が含まれること、そして注文側が材料を支給する場合はその材料費が含まれることなどは注意が必要となります。
なお、建設業許可を取得せずに「軽微な建設工事」以外の工事を請け負った場合は、建設業法違反となり、ペナルティの対象となる可能性があります。
建設業許可の種類について
建設業許可にはいくつかの種類があります。
その種類とは、以下の通り大きく2つの区分を理解することが必要となります。
- 大臣許可と知事許可
- 一般建設業と特定建設業
■大臣許可と知事許可
まずは、国土交通大臣による許可なのか、あるいは都道府県知事による許可なのかという違いです。
その違いとは以下の通りになります。
国土交通大臣による許可
2つ以上の都道府県の区域内に営業所を設置する場合
都道府県知事による許可
1つの都道府県のみに営業所を設置する場合
■特定建設業と一般建設業
続いては、特定建設業で取得するのか、あるいは一般建設業で取得するのかという違いです。
その違いとは以下の通りになります。
特定建設業
元請となって受注した工事のうち4,000万円以上(建築工事業の場合は6,000万円以上)を下請けに発注する場合
一般建設業
特定建設業以外の場合
建設業許可の対象となる業種について
建設業許可の対象となる業種は、2種類の一式工事と27種類の専門工事からなる29種類があります。
一式工事の2種類は、建設工事を総合的に企画や指導、調整する工事で、その他の27種類よりも比較的規模大きな工事を行う業種とされています。
しかし、一式工事の許可を取得することで、その他のあらゆる専門工事が請け負えるようになるわけではありません。
専門工事を単独で請け負う場合は、それぞれ必要な許可を取得しておく必要があります。
29種類の建設業許可とは以下の通りです。
- 土木一式工事業
- 建築一式工事業
- 大工工事業
- 左官工事業
- とび・土工工事業
- 石工事業
- 屋根工事業
- 電気工事業
- 管工事業
- タイル・レンガ工事業
- 鋼構造物工事業
- 鉄筋工事業
- 舗装工事業
- しゅんせつ工事業
- 板金工事業
- ガラス工事業
- 塗装工事業
- 防水工事業
- 内装仕上工事業
- 機械器具設置工事業
- 熱絶縁工事業
- 電気通信工事業
- 造園工事業
- さく井工事業
- 建具工事業
- 水道施設工事業
- 消防施設工事業
- 清掃施設工事業
- 解体工事業
建設業許可を取得するための要件について
建設業許可を取得するには、一定の要件を満たさなくてはなりません。
一定の要件とは、建設業法に定められている以下の5つです。
- 経営業務の管理責任者がいること
- 専任技術者がいること
- 請負契約に関して誠実性があること
- 財産的基礎などがあること
- 欠格要件に該当しないこと
以上の5つの要件を満たすことで、建設業許可の取得が可能となります。
要件を満たすことが確認できたら、必要となる添付書類を作成し、許可申請書といっしょに各都道府県の担当窓口へ提出します。
その後、審査を経て、問題がなければ許可が下りるという流れです。
なお、上記5つの要件に関する詳しい内容については、以下の「国土交通省:建設業許可の要件」を参考にしてください。
国土交通省のウェブサイトです。政策、報道発表資料、統計情報、各種申請手続きに関する情報などを掲載しています。
まとめ
建設業許可は、建設業を営むうえで、一定規模以上の工事を請け負う場合は必ず取得しなくてはならないものです。
建設業界の仕事に就く場合は、必ず耳にするワードであるため、ひとつの知識として身に付けておくとよいでしょう。