【住宅建築の基礎知識】施工管理なら知っておきたい断熱工事のポイント

【住宅建築の基礎知識】施工管理なら知っておきたい断熱工事のポイント

戸建て住宅の建築工事では、いくつもの専門業者がそれぞれ担当する工事を行います。 いずれの工事も重要ですが、とくに暮らす人の快適性を大きく左右するのは「断熱工事」になります。 また「断熱工事」は、施工品質によって効果が大きく変わる工事もでもあるため、施工における精度を高めることが重要なポイントとなります。 そのため施工管理者によって、適正な施工が行われいるかしっかりとチェックしなくてはなりません。 そこで本記事では、住宅建築の断熱工事について、施工管理の立場で知っておきたいポイントを解説したいと思います。


戸建て住宅の建築工事では、いくつもの専門業者がそれぞれ担当する工事を行います。
いずれの工事も重要ですが、とくに暮らす人の快適性を大きく左右するのは「断熱工事」になります。

また「断熱工事」は、施工品質によって効果が大きく変わる工事もでもあるため、施工における精度を高めることが重要なポイントとなります。
そのため施工管理者によって、適正な施工が行われいるかしっかりとチェックしなくてはなりません。

そこで本記事では、住宅建築の断熱工事について、施工管理の立場で知っておきたいポイントを解説したいと思います。

戸建て住宅の断熱材の種類について

断熱材には多くの種類がありますが、戸建て住宅で使われるのは下記の通り大きく3つに分類できます。

  • 無機繊維系断熱材
  • 木質繊維系断熱材
  • 発泡プラスチック系断熱材

これらの断熱材について簡単にご紹介いたします。

無機繊維系断熱材

戸建て住宅では、無機繊維系断熱材が非常に多く使用されています。
無機繊維系断熱材にもいくつかの種類がありますが、代表的なものは以下の2つです。

  • グラスウール
  • ロックウール

グラスウール

グラスウールは、ガラスを原料とし、綿状に加工した断熱材です。
内部には、ガラス繊維でつくる無数の空気層があることで熱移動を抑制します。
非常にコストが安く防音性に優れますが、一方で湿気に弱いなどの特徴があります。

ロックウール

ロックウールは、玄武岩や鉄炉スラグなどを原料とし、綿状に加工した断熱材です。
グラスウールと同様に、繊維による無数の空気層が熱移動を抑制します。
燃えにくく施工性に優れますが、一方で湿気に弱いなどの特徴があります。

木質繊維系断熱材

木質繊維系断熱材の代表的なものといえば、セルロースファイバーです。
セルロースファイバーは、新聞紙など古紙をリサイクルしてつくった天然木質繊維の断熱材で、おもに吹き込みにより充填および敷き詰めを行います。

紙を原料としますが難燃剤を添加することで燃えにくくしており、また吸湿性に優れることで結露やカビ対策にも効果を発揮します。
一方で、比較的コストが高く、施工に専門性が求められるなどの特徴があります。

発泡プラスチック系断熱材

発泡プラスチック系断熱材にもいくつかの種類がありますが、代表的なものは以下の3つです。

  • ポリスチレンフォーム
  • フェノールフォーム
  • ウレタンフォーム

ポリスチレンフォーム

ポリスチレンフォームはボード状の断熱材で、おもに「ビーズ法」と「押出法」の2つの種類があります。
いずれも軽量で加工性がよく水にも強いですが、一方で熱に弱いなどの特徴があります。

フェノールフォーム

フェノールフォームは、フェノール樹脂に発泡剤などを加えて加工したボード状の断熱材です。
内部に無数の気泡をつくり閉じ込めることで熱移動を抑制します。
非常に断熱性能が高く耐久性にも優れますが、一方でコストが高いなどの特徴があります。

ウレタンフォーム

硬質ウレタンフォームは、ウレタン樹脂に発泡剤などを加えてつくる断熱材で、おもにボード状に成型したものと現場発泡し吹き付けるものの2種類があります。
断熱材のなかでも優れた断熱性能を発揮しますが、一方でコストが割高であることや燃えると有毒ガスを発生させるなどの特徴があります。

戸建て住宅の断熱工事で注意しておきたいポイント

戸建て住宅で断熱工事をするおもな目的といえば、建物内の厳しい暑さや寒さを取り除き快適環境をつくること、そして空調効率を高めて省エネ化を図ることなどです。
そのためには、適正な性能を発揮できるような家づくりをしなくてはなりません。

十分な断熱性能を発揮するには、基本性能を充実させるだけでなく適正な施工が行われることが重要なポイントになります。
というのも、断熱性能は施工精度に大きく左右されるためです。

断熱性能を確保するうえで、いっしょに検討しなくてはならないのが気密性能になります。
基本性能を充実させても、施工精度が悪く気密性能が確保できなければ大きな効果は期待できません。

施工管理者は、断熱工事が正しく施工されていること、とくに気密が確保できているかという点はチェックしておきたい重要なポイントとなります。
気密性能は、数値によって判断できますが、その数値は以下の指標が使われます。

  • C値(隙間相当面積)

C値とは、建物全体の隙間を延床面積で割った値で、小さいほど気密性能は高くなります。
C値の確認は完成後に気密測定をすることで判明しますが、施工途中にはわかりません。
しかし、隙間など断熱欠損が生じているかという点は、目視で確認できます。

建物全体の隙間をできるだけ小さく、連続した断熱層で覆うことが断熱工事における重要なポイントです。
施工管理者は、断熱工事が完了して次の工程に移る前に点検を行い、正しく施工されていることを確認する作業が必要になるでしょう。

まとめ

住宅建築において断熱工事は、暮らす人の快適性を左右する重要な工事です。
工事後には隠れてしまうため、問題が発覚するとやり直しはきわめて難しくなります。

施工管理者は、会社が定めているチェック項目に則った検査を行い、問題のないことを確認して次の工程に移ることが重要です。



※この記事はリバイバル記事です。

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