パンフレットと営業資料は違う
住宅営業は、パンフレットをお客様に最初にお渡しするでしょう。しかし、営業資料とパンフレットは違う場合が多いです。なぜなら、パンフレットというのは、目的が会社のことを知ってもらうためのものだからです。
「会社のことを知ってもらうことは、営業ではないの?」と思うかもしれませんが、違います。アプローチする順番が違います。例えば、商品を買うときに会社のことをわざわざ調べたりしませんし、会社説明を見ても、その商品を買いたいとなることは、実は無いのです。
営業がすべきことは、まず商品を欲しいと思ってもらうことです。この状態にないお客様に、会社説明をしても、見知らぬ人の自己紹介を聞いたようなものです。どんなものかはなんとなく理解してくれますが、営業という目的にはほとんど効果をなしません。
このように、パンフレットと営業資料が違うものなんだということを理解しておきましょう。
■デザインから入る資料は、見当違い
営業資料は、見た目が命!かっこよくしたい!と考えるのは誰もが陥ってしまう間違いです。もちろんデザインとしておしゃれな方がブランディングには効果的です。しかし、営業にとっては、デザインを重視しすぎるあまりに、お客様の購買意欲を高めるという本来の目的を失ってしまうこともあります。
例えば、新人営業はそのデザイン性に頼ってしまい、資料を渡して、そのまま説明し、それで終わってしまっている方もいます。しかし、本来はそのデザイン性は営業効果を高めるためのものであり、本来の営業をしなければ、そのデザインは活きてこないのです。
営業ツールとして、どのようにお客様に響く資料になっているのかを理解して説明していく必要があります。
■営業目線でのメリットトークを資料に組み込め!
営業資料は、お客様が欲しくなるというメリットトークを組み込んでいきます。まずは、住宅を購入するとお客様にとってどのようなメリットがあるのかを話します。
そのためにはまず、お客様が現状にどのような不満を抱えているかを把握する必要があります。賃貸住宅で、部屋が狭いと感じているのか、戸建住宅として資産を持った方がお得なのではないか、毎月の生活が苦しくならないかなど様々な不安があるとします。
これらに対して具体例から、住宅購入を検討しようという意思を固めます。この時点で意思を固めることに成功すれば、成約は意外と早く進むこともあります。
会社説明などは、実はこういった初歩の段階での営業が終わった後でないと効果を発揮しません。資料を見せる順番なども、これを意識して検討しましょう。
資料構成は、1つのポイントを極める
営業資料の作成のポイントは、ポイントを1つに絞ることです。お客様のどのような不安に対して、メリットを提供するのか、もしくはお客様がどのような理由で住宅を購入したくなるかを入れ込みます。
例えば、お客様がそもそも住宅購入を金銭面の問題から迷っている場合には、実際の生活プランを、契約した方のアンケートなどを用いて説明したり、戸建て購入した方の10年後の方にインタビュー・アンケートをしたものを10件ほどお見せするのはどうでしょうか?そのなかで、どういった場合に金銭的に苦しくなってしまったのかも例としてあると良いでしょう。その金銭的に苦しくなる場合も、お客様にとっては事前に知っておけばリスク回避できるものがほとんどです。
このように1つのポイントを絞り、1つずつ問題を解決していくことで、お客様も住宅購入への意思が徐々に固まってきます。一気に様々なメリットを一方的に伝えても、お客様は「なぜこの説明をされたんだろう」と思っていたり、ほとんど内容を覚えていないことがほとんどです。その資料をどのような意図で作ったのかを、営業社員全員に共有することが大切です。
■「もっと知りたい!」という状況を作れ
お客様の不安を1つずつ解決していくと、お客様から、「こういうことはどうなっているの?」と、もっと知っておきたいと質問をしてきてくれます。このようにお客様から、「もっと知りたい!」という状況を作ることが営業活動です。
お客様が興味を持ってくれているということなので、購買意欲が高まってきています。ここで会社説明や、実際に住んだ時のイメージなどを膨らませてあげることで、お客様は気づいた時には、住宅をあなたの会社で購入をする前提で打ち合わせをしています。
このような関係性を築くことは、営業にとってもお客様にとってもプラスになります。一生に一度の住宅という買い物を、お互いにより良いものにしようと信頼しながら打ち合わせを進めることができます。営業資料は、パンフレットではなく、営業ツールだということを忘れずに活用しましょう。また、営業資料がただのパンフレットになってしまっている会社は、構成を見直してみましょう。