注文住宅と建売住宅の売り方の違い
一番の違いは、お客様の要望を取り入れることができるかです。注文住宅の場合は、お客様のご要望を聞き、できる限り実現していきます。一方で建売住宅の場合は、出来上がった住宅のため、お客様の要望に沿った住宅の提案はできますが、お客様の要望に合わせることはできません。そのためどのような営業を行うかというと、お客様が住んだ時に具体的なメリットを伝えることです。
■具体的な売り方の違う例
駅から徒歩10分圏内で家を探しているお客様に対し、徒歩20分圏内であれば比較的ご要望の物件があった時です。普通に勧めていては徒歩10分圏内の物件は見向きもされず、なぜこのような物件を勧めてきたのかと思われるだけでしょう。そこで、「徒歩10分圏内の物件は駅まで坂が多く、老後には少し不便かもしれないですが、徒歩20分圏内の場所は平坦な立地で駐輪場も充実しており、実際に生活する場合こちらの方が過ごしやすいかもしれません。」という情報をお客様に伝えれば、こちらの物件に気持ちが傾きやすいです。
以上のように、お客様の要望は駅から徒歩10分圏内であったかもしれませんが、それに対するメリットデメリットを事前調査で手に入れておくことで、断然売りやすさが変わってきます。注文住宅では建物に対する知識が必要で、建売住宅では現地の周辺知識やお客様の具体的な暮らしを想定したメリットを伝える必要があるとも言えます。
建売住宅の設計意図をメリットとして伝える
建売住宅を購入しようとしているお客様でも、気分は注文住宅を買うような状態です。もちろん金額も建売住宅と言っても何千万もする大きな買い物です。様々な要望があるのは当然です。しかし、住宅を買おうとしているお客様でもそこまで知識がある方はほとんどいらっしゃいません。お客様が思い描いている要望は、お客様の真に叶えたい目的とは違う間取りであったりすることもあります。そこで営業マンが、お客様のニーズを汲み取り、丁寧に商品のメリットを伝えていく必要があります。
■設計意図のメリット例①
・玄関タイルの床は黒が良いお客様(実際はクリーム色)
シックな雰囲気の建売住宅を探しており、玄関周りに黒を使用した物件を探されているお客様がいらっしゃったとします。実物は、間取り等気に入られていますが、玄関タイルだけがクリーム色で悩まれている場合です。この際、何も提案できない営業マンであれば「ここの物件はタイル色はクリーム色になってしまうんです。これだけお客様のご要望に沿った間取りでありながら、タイル色も黒という物件はないですねぇ。」と言うでしょう。これは、お客様に他に良いところはないから、ここにしましょうよと訴えかける営業です。
一方、できる営業マンは、「タイルがクリーム色なのには理由があります。汚れが目立つタイルの色は、実は白と黒なんです。なのでこの物件はシックな雰囲気を持ちながらタイルはあえてクリーム色を採用しています。黒いタイルにされると、雨汚れや砂などが非常に目立ち、掃除が面倒になります。玄関マットを黒にするなどした方が雰囲気も崩さず住みやすいですよ?」と提案できます。
このような説明であれば、お客様の要望は黒一択でしたが、じゃぁ玄関タイルはクリーム色のところを選ぼうとなるはずです。
■設計意図のメリット例②
・吹き抜けの玄関が良いお客様(実際は通常の2階建)
お洒落な建売住宅も増えてきており、吹き抜けの住宅はインパクトがあるため人気が高いです。自分の提案する住宅が吹き抜けでなく他社に負けてしまいそうな時どうしたら良いでしょうか。例えばお客様が、共働きで日中は家におらず、受験生の子供がいらっしゃるという方に対して、「吹き抜けはエアコンが効くのに時間がかかり、電気代もかかります。日中はエアコンを切っておくことを考えると、吹き抜けは室温調整の面で済みにくいかもしれません。また、生活音も1Fと2Fで響くため、受験生にとっては通常の2F建の方が音が気になりにくいです。」と提案できます。
このようにお客様の実際の生活スタイルに合わせたメリットを提示することができれば、お客様の真のニーズを掴むことができます。何軒も住み替えているお客様はほとんどいないため、このように様々な住宅を比較して実際の住みやすさを伝えてくれる営業マンの方が頼もしいですよね。
まとめ
建売住宅では、お客様の要望を聞いて実現することはできませんが、様々な住宅を提案できるからこそ、お客様の真のニーズを聞き提案することもできます。注文住宅の場合、お客様はこだわりすぎて、建てた後に住みやすさを考えたら、こうしない方が良かったと思うことは多々あります。住宅営業で注文か建売か選ぶ際に、少しでも転職の参考になれば幸いです。
※この記事はリバイバル記事です。