住宅業界では、多くの専門業者、そしてさまざまな業種の人たちが協力しあって建物をつくっています。
そして「カラーコーディネーター」も、それら業種のひとつです。
色は人間の心理を動かす力を持っており、家づくりにおいて色選びは重要なポイントとなります。
では、実際の「カラーコーディネーター」は、具体的にどのような役割を担うのでしょうか?
また、仕事に就くには資格を取得する必要があるのでしょうか?
そこで本記事では、「カラーコーディネーター」の仕事内容や必要資格について詳しく解説したいと思います。
カラーコーディネーターの仕事内容とは
カラーコーディネーターは、色が与える影響や効果などの専門知識を生かし、配色やデザインなどの提案をする仕事です。
住宅業界だけでなく、ファッションや広告などさまざまな業界で活躍することが可能です。
■住宅業界のカラーコーディネーターの仕事について
住宅業界におけるカラーコーディネーターの仕事は、おもに住宅の新築工事において、色選びに関する提案をしながらクライアントと総合的なプランをつくりあげていきます。
外装や内装の仕上げ材やインテリアなど、クライアントが思い描くイメージを引き出し、専門的な見地から、配色やデザインについてアドバイスを行います。
またつくり上げたプランは、設計図面に落とし込み工事に反映させなくてはならないため、設計や工事担当との調整も重要な仕事のひとつです。
■カラーコーディネーターの活躍の場
カラーコーディネーターの仕事は、なんらかの会社に所属し、業務のひとつとして取り組むことが一般的なケースです。
というのも、カラーコーディネーターの仕事は、専門職として活躍できる場はまだ少ないということが実情としてあります。
例えば、住宅業界の場合であれば、住宅デザイナーやインテリアコーディネーターなどが兼務するケースが多くなります。
よって、カラーコーディネーターとしての業務を行いたい場合は、異なる職種で仕事に就き、経験を積みながら活躍の場を求めることが近道となるかもしれません。
その他にも、カラーコンサルティング会社に就職し、色に関わる業務を専門的に取り組むといった方法もあります。
また、カラーコーディネーターとして十分なスキルを身に付けたうえで複数のクライアントを獲得できるようなら、フリーランスとして活躍することも不可能ではありあません。
カラーコーディネーターの必要資格とは
カラーコーディネーターは、なにか特別な資格がなくても行える仕事です。
とはいえ、クライアントにアドバイスする立場となることから、色に関する専門的な知識は必要になります。
そのため、なんらかの方法で学び、そして必要なスキルを身に付けなければなりません。
もちろん業務を通じて経験を積み重ねることが重要ですが、資格を取得し、一定のスキルを有していることを証明するといった方法も有効です。
カラーコーディネーターとして活躍できる代表的な資格といえば以下の2つになります。
- カラーコーディネーター検定試験
- 色彩検定
■カラーコーディネーター検定試験
カラーコーディネーター検定試験は、「東京商工会議所」が実施している検定試験です。
合格することで、色の性質や特性など、おもに仕事に役立つ実践的な知識を有していることを認定する資格となります。
受験資格はとくにないため、誰でも受験することが可能です。
カラーコーディネーター検定試験のおもな概要は以下の通りになります。
試験級
試験級には「スタンダードクラス」と「アドバンスクラス」の2種類があります。
- スタンダードクラス:日常から見た色彩に関する基礎的な知識について理解している
- アドバンスクラス:スタンダードクラスの知識に加え、ビジネスにおける色彩の活用事例など幅広い知識を有している
試験方法
試験方法は「IBT方式」と「CBT方式」の2種類があります。
- IBT方式:インターネット経由での試験
- CBT方式:各地のテストセンターでの試験(2021~2023年度に限る)
色彩の知識を身につければ、色の持つ効果をビジネスシーンに活かすことができます。仕事に役立つ実践的な色彩の知識を学ぶことができる、それがカラーコーディネーター検定試験です。
■色彩検定
色彩検定は、「公益社団法人色彩検定協会」が実施している検定試験です。
合格することで、色の基礎から配色技法、また専門分野における利用など、段階的に幅広い知識を身に付けられる資格となります。
色彩検定も受験資格はとくにないため、誰でも受験することが可能です。
色彩検定のおもな概要は以下の通りになります。
試験級
試験級には「1級」「2級」「3級」「UC級」の4種類があります。
- 1級:色彩を提案する力を身につける
- 2級:仕事に応用できる各種技法まで学ぶ
- 3級:色彩の理論や法則を基礎から学ぶ
- UC級:色覚の多様性に関する知識を深める
試験方法
試験方法は、各級で若干異なります。
- 1級: 1次:マークシート方式(一部記述式)、2次:記述方式(一部実技)
- 2級: マークシート方式(一部記述式)
- 3級: マークシート方式
- UC級: マークシート方式(一部記述式)
色彩検定とは色に関する幅広い知識や技能を問う検定試験です。1994年には文部省の認定をうけ、名称も「文部省認定ファッションコーディネート色彩能力検定」と変更して現在に至っています
まとめ
住宅業界のカラーコーディネーターは、色の専門知識を生かしクライアントの求める空間づくりのお手伝いをする仕事です。
カラーコーディネーターとして専業で活躍する機会は、まだ少ない傾向にあります。
しかし、資格を取得するなど色の知識を備えることで、インテリアコーディネーターなどその他業務をしながらでも大きな強みとなるでしょう。
※この記事はリバイバル記事です。